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~スイーツは大事~

翌朝――


家を出て1日目、目を開けたら見慣れない天井が見えた。


リコル「ん~・・・・・」


ぐいーと、伸びをして、部屋を見ると、テーブルの上に朝ごはんのパンとシチューが並んでいた。


ゼロ「リコル、おはよう」


リコル「ゼロ・・・おはよー・・・・これは?」


ゼロ「宿屋の主人が、ドアの外に置いといてくれたんだ。サービスだって。」


リコル「そうなんだ!おいしそう!食べよ!ゼロも、座って座って!」


私が椅子を引いてあげると、ゼロはそこに座った。


ゼロ「うん、ありがとうリコル」


リコル「わ~!パン美味しい!シチューもあったかくて美味しいねぇ。」


ゼロ「・・・・・うん、暖かい食事・・・・・美味しいな・・・・」


リコル「町へいったら、美味しい物もっとあるかな?」


ゼロ「どうだろう、あるかもしれないな」


リコル「とりあえず、ご飯食べたら外へでてみよっか!」


ゼロ「ああ、リコルについていくよ。」


―――


そして、宿を出て

私とゼロは町へやってきた。


リコル「賑わってるね。」


城下町の、中心のマーケットへやってきた。

色んな露店が立ち並び、人が沢山いる。


ゼロ「・・・・ああ、すごい人だな。」


リコル「あ、あの店・・・・剣とか売ってるよ。」


ゼロ「・・・・・武器屋か・・・」


「いらっしゃい!うちはいいモノ揃ってるよ!」


ガタイのいい、立派な髭を生やした店主が笑顔で私に声をかけた。


リコル「・・・・・立派なお店ですね、お店で1番いい剣はどれですか?」


「うーん・・・・・・うちで扱ってる物で、一番いいもんはこれだな。」


そういって、店主が見せてきたのは

龍の彫刻が施されている、緑色の宝石が入った75cmくらいの剣だった。


リコル「よくわかんないけど!強そう!!」


「これは、竜の加護を受けている剣だ。」


ゼロ「・・・・・凄い、立派な剣だな」


リコル「いくらするの?」


「そうだな、金貨1000枚でなら、売るぞ!」


リコル「金貨1000枚かぁ。」


ゼロ「・・・・・1000枚!?」


とても驚愕した様子のゼロから見て、金貨千枚となると

結構大金なのかな?


私は、家から出たことが無かったので、いまいちお金の価値がよくわからなかった。


リコル「じゃ、それください。」


そういって、私は金貨をじゃらじゃらと収納魔法のストックから取り出した。


「おい、お嬢ちゃん・・・・・・本気か!?」


驚く店主、そして無言で固まるゼロ。


リコル「1000枚、きっかりあると思う、数えて?」


「・・・・・ちょ、ちょっと待っててくれ・・・・・」


そういって、金貨の山を1枚ずつ丁寧に数えだす店主。


リコル「あと、1番いい鎧も下さい。この人に合う鎧を。」


ぽん、と、ゼロの肩をたたいて私は微笑んだ。


ゼロ「え・・・・・?リコル・・・・・?いいよ・・・・俺は・・・」


リコル「いいからいいから」


ゼロ「・・・・・・・」


「・・・・参ったな・・・・・・全部本物の金貨だ・・・・・お嬢ちゃん、アンタ、どっかの貴族か王族か?」


リコル「ううん、私はただの一般人だよ」


「・・・・・・・鎧は、ミスリルの鎧がある。これがうちで1番のモノだな」


リコル「わかった、言い値で買うからくださいな。」


こうして、私は店の店主に金貨を1800枚渡して

ゼロ用の鎧と剣を買った。


―――


ゼロ「・・・・・・こ、こんないいもの・・・・もらえない」


リコル「だめだよ、これから一緒に旅するなら、なるべく装備はいいのにするべきだよ」


ゼロ「でも・・・・・・」


リコル「・・・・・・お金は、どうとでもなるからね~」


そういって、私はパチンと指を鳴らした。


金貨を、魔力から錬成したのだ。


ゼロ「これは・・・・・・・錬成魔法?魔力を代償に?」


リコル「そう、魔法。」


ゼロ「・・・・・リコルは、神の使いか何かなのか?」


リコル「違うよ!!普通の人だって!」


ゼロ「そ、そうか・・・・俺、まだ、助けてもらった恩も返せてないのに・・・・こんないい装備まで・・・」


リコル「ゼロ、いいの!代わりに、道案内お願いします。私、地図読めないし。」


ゼロ「・・・・・代わりに、なってないけど・・・わかったよ、リコル」


リコル「・・・・・じゃ、よろしくね!・・・・・・あれ?なんかいい匂いする!」


ゼロ「・・・・ん?」


いい香りのする方向を見たら、焼き菓子のお店があった。


リコル「ゼロ!私、あそこ行きたい!」


ゼロ「ああ、行ってみようか。」


店の前まで来ると


「いらっしゃい、可愛いお嬢さん」


と、にこやかに店主が微笑んだ。

優しそうな笑顔のお婆さんだった。


リコル「あ、このクッキーおいしそう・・・・」


「1枚50銅貨だよ」


リコル「4枚ください!ゼロ、食べよ!」


ゼロ「ああ、ありがとう、リコル」


「まいどあり、おまけにもう1枚つけておくね」


リコル「やったあ!ありがとう!」


と、店主とやりとりをしていると・・・・


「ヴィオラおばあちゃん!」


「あらあら、どうしたの?アンナ。」


アンナと呼ばれた、店主の孫だろうか?10歳くらいの女の子がお店の前にやってきた。


アンナ「お店・・・・・・閉めちゃうってホントなの?」


ヴィオラ「ああ、そうだよ。ここにお店を出すにも、税金が跳ね上がっちゃってるからね・・・」


アンナ「・・・・そうなの・・・・」


しょんぼりと、悲しい声で呟く孫娘。


ゼロ「・・・・・噂でしか、耳にしたことはなかったが・・・・王の命令で税金がここ数か月で数倍になったと聞いたことがある。」


ヴィオラ「ああ、そうなんだよ・・・・」


アンナ「王様は、自分が贅沢をするために皆からお金をとってるってきいたよ!」


ヴィオラ「こら、アンナ・・・・・・そんなことを言うもんじゃないよ・・・・町の兵士が聞いてたら・・・どうなるか・・・」


リコル「ほーん・・・・・・ねえ、ゼロ?」


ゼロ「どうした?リコル?」


私はクッキーをぱくっとほおばってゼロに問う。


リコル「王様に言えば、税金安くしてくれるかな?」


ゼロ「・・・・そう・・・・簡単に行くかどうか・・・」


突然何を言い出すんだと、言いたそうな顔でゼロは答えた。


リコル「こんな美味しいお菓子屋さんがなくなるなんて、駄目だと思う。」


ヴィオラ「・・・・・え?お嬢さん、何を言って・・・・」


アンナ「お姉ちゃん・・・・お城にまず、入れないと思うよ!怖い兵隊さんがいっぱいいるんだよ!?」


リコル「・・・・・んーまあ、やるだけやってみる。」


ゼロ「・・・・・リ、リコル?」


リコル「ゼロ、お城へいくよ~」


ゼロ「あ、ああ・・・」


ゆるーいテンションで、私は指をはじいて異空間へつながるドアを召喚した。

その先は、異空間を経由して城につながっている。


ヴィオラ「こ、これは・・・・・」


アンナ「・・・・・なにこれ・・・・?!」


ドアノブを開けて、私とゼロは異空間の中へ入った。


ヴィオラ「・・・・・・消えた・・・・・・」


アンナ「お姉ちゃんたち、どこへいったの?」


ヴィオラ「・・・・・・・本当に、城にいったのかもしれないねぇ。」


残された二人は、唖然とした顔で

その場に立ち尽くしていた。


――――


リコル「よっと。」


ストンと、ドアをくぐったリコルは、

城を見た。


ゼロ「・・・・・・リヴェル城だ・・・・」


リコル「お城の座標はわかったけど、王様の場所はわからないんだよね。どこにいるんだろ?」


ゼロ「うーむ・・・・・玉座の間かな・・・・」


なんて、のんびり話していると


「おい、お前たち!そこで何をしている!!」


と、城の兵士に声をかけられた。


リコル「王様に会いたいんだけど、どうやったら会えるの?」


「はぁ?王が、お前のような小娘に会うわけがないだろう!!帰れ!!!」


そういって、兵士は厄介払いをするかのように、

怪訝そうな顔で私とゼロを追い払った。


リコル「税金、下げてくれないと困るの~!だから、会いたいんだけど。」


「王の命令は絶対だ!それ以上いうと、牢屋へ放り込むぞ!」


そう、兵士が言うと、ゼロがもっていた剣に手をかけた。


ゼロ「・・・・・」


リコル「ゼロ、いいよ。多分普通の方法じゃ会えないっぽいし・・・・・・」


ゼロ「ああ・・・・」


リコル「・・・・・やっぱ、魔法でゴリ押すしかないね♪」


そういって、私はパチンと指を鳴らした。


ゼロ「・・・・・リコル?」


リコル「・・・・・・・ふふ、みてみて。」


私は、さっきまで怒鳴っていた兵士を指さした。


こちらを指さしたまま、固まっている。


ゼロ「これは・・・・・・・」


リコル「お城に居る人の時間を止めたの。なんだっけな、時魔法の本でみたやつだっけな~」


ゼロ「・・・・・そ、そうか・・・・・」


もう、ゼロは、驚きすぎていたみたいで、少しフリーズしたあと、黙り込んだ。


リコル「さあさあ、行きましょう~!いざ玉座の間~!」


遠足気分で、軽い足取りで私は歩き出した。

ゼロと私以外の人間は、石像のように動かないままだ。


ゼロは、少し戸惑いつつも私の後をついてきた。


―――


ゼロの言った通り、きらびやかな装飾の、国の紋章が飾ってある部屋に王様はいた。


リコル「・・・・・・いたいた!このひと?王様?」


玉座に座った、少しふとっちょなおじさんを指さして私はゼロに問う。


ゼロ「ああ、そうだ・・・・・それが、カーライル王だ。」


リコル「はいはい」


私はもう1度、パチンと指を鳴らし、王様にかかっている魔法だけ解いた。


カーライル「・・・・む?」


リコル「こんにちは、はじめまして王様!」


カーライル「・・・・なんだお前は・・・・・・謁見の予定にお前のような小娘はいなかったはずだが」


リコル「私、リコルって言うの。こっちは私の仲間のゼロね。」


カーライル「・・・・・・無礼者め!!!話し方を弁えんか!!!」


リコル「・・・・・まーまー、聞いてよ、おじさん。」


カーライル「おい!!!!誰か!!!この無礼な娘の首をはねろ!!!!!!!!」


と、カーライルが大声で命じるが、当然ながら誰も返事はしない。


リコル「無理だよ、おじさん。」


カーライル「・・・・・・・なんだと?!なぜ誰も返事をしないのだ!!!!」


リコル「お城に居る人、全員私が魔法で時間をとめてるの。」


カーライル「・・・・・・は?・・・・・・何を言っているんだ?」


リコル「・・・・・・護衛の兵士さん見ても気付かない?」


そう、リコルが問うと、カーライルは周りを見回した。

確かに、護衛の兵士は誰一人まばたきもせずに固まったままだ。


まるで、石像にでもされてしまったかのように。フリーズしている。


カーライル「・・・そ、そんなことが・・・・・・・」


リコル「・・・・・でね、話の続きなんだけど・・・・・・」


カーライル「・・・・・・・なんだお前は!!!得体の知れない小娘め!!!!!!!」


そういって、カーライル王はリコルの話も聞かないまま、切りかかった。


ゼロ「・・・・・・・リコル!」


そう、ゼロがリコルの名前を呼んで剣を出すより先に、カーライルの動きが止まった。


リコル「話くらい、ちゃんと聞いてほしいんだけど。」


カーライル「こ、これは・・・・・・・」


まるで、手足だけが石像になったように動かない自身の身体に、

カーライルは恐怖を覚えた。


リコル「・・・・危ないから、手足だけ時間を止めました。話、聞いてくれる?」


カーライル「・・・・・・・・・うぐ・・・・・わかった・・・・わかったから・・・・・・解いてくれ・・・」


リコル「解くのは、私のお願いを聞いてくれてからね。あのね!税金を下げて欲しいの。」


カーライル「・・・・はぁ!?何故だ!?」


リコル「そもそも、なんで税金を上げたの?」


カーライル「・・・・・・それは、国政で必要で・・・・・」


リコル「・・・・・・・・本当に?????」


私が、疑ったような目線を向けると、カーライルの顔に冷や汗が流れた。


カーライル「・・・・・・・あ、ああ・・・・・本当だとも」


リコル「・・・・・はい。」


パチンと、私は指を鳴らした。


国王のつま先が、氷漬けになった。


カーライル「・・・・・ひっ・・・・・・・何をする!?」


リコル「嘘をついたら、少しずつ全身が氷におおわれていく魔法をかけました。」


カーライル「・・・・・・やめろ・・・・・やめてくれ!!!」


リコル「税金をあげたのは、国政のため?」


もう1度、同じ質問を投げる。


カーライル「ああ、本当だとも・・・・・うわああああああああ!!」


ビキビキビキと、カーライルの膝上までが氷に覆われた。


リコル「嘘かぁ・・・・・・」


カーライル「嘘だ!!!すまない!!!本当は!!!私の黄金の像を作るために金が必要だったんだ!!!」


リコル「ええ・・・・・・!そんなくだらない物を作るために税金あげてたの?!」


カーライル「下らないとは失敬な!私はこの国の王で・・・」


リコル「・・・・・・税金を、前と同じに戻してほしいんだけど。」


カーライル「何故だ!国民は税を納めるのが義務だろう!それに文句を言うなど・・・」


リコル「戻さないなら、戻さないでいいよ。ここに黄金の像じゃなくて、王様の氷像が出来るだけだから。」


私がそうニコっと微笑むと、王の顔が真っ青になった。


カーライル「・・・・・・やめてくれ・・・・・・・わかった・・・・言う通りにするから、命だけは・・・・・」


リコル「・・・・約束ね!」


そう言って、私は王様の魔法を解いてあげた。


自由に身体を動かせることを確認したカーライルは、

ほっとしたように玉座へ座った。


カーライル「・・・・・城の者は・・・・どうなるのだ?」


リコル「戻すよ、王様が約束してくれたから。」


私はパチンと指を鳴らす。


衛兵たちと、大臣も意識が戻ったようだ。


「王!!!この者たちは・・・・・・!?」


意識が戻り、慌てて玉座の前にいる私たちを見て駆け寄ってくる衛兵に対し、


カーライル「よせ!!!その者たちは私の客人だ!!!」


と、カーライルが言い放つと


「・・・・・そうでしたか・・・・いつの間にか・・・・・・玉座の間に居たように見えて・・・・失礼しました。」


そういって、衛兵達は大人しくなった。


リコル「じゃ、おじさん!よろしくねぇ。」


私は、ひらひらと王様へ手を振って、

異空間へつながるドアを開けて、城下町へ戻ったのだった。

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