~チート魔法使いの旅立ち~
ここはリヴェル王国
海沿いの、大きな国
反対側は山と森に囲まれていて、
その森は魔の森と呼ばれ、強靭で凶暴な魔物の巣窟となっており
誰も近付かない。
その、魔の森の奥に
人知れず暮らす少女が一人居た。
少女の名前は、リコル・リコルテット・トッカータ
彼女は、9歳の時に魔法使いであった両親に先立たれて
それからずっと一人で、両親の残した家で暮らしていた。
一人ぼっちで寂しく暮らしているように思えるが、当の本人は
気楽にのんびりと暮らしていた・・・・・んだけど・・・。
リコル「・・・・・・この本も、読んだな。」
パタンと、リコルは本を閉じた。
リコル「父さんと母さんが遺してくれた魔導書も、全部読んじゃったなぁ」
そうぼやくリコルの目線の先には、
本棚に並んだ膨大な数の本があった。
ああ、なんて退屈なんだろう。
家にずっとこもってたけど、そろそろ飽きてきた。
ぐいっと、伸びをして
リコルは椅子から立ち上がった。
リコル「ヒマだし、外出てみるかぁ。」
そうぼやいて、リコルは家の外へ出た。
リコル「うーん、うんうん、いけるかな?多分。」
うんうんと、首を縦にふって
リコルは魔法を唱える。
ストック!
そう、リコルが唱えると、なんと家がまるごと姿を消した。
正確に言うと、姿を消したのではなく、
リコルの管理する異空間に家ごと収納されたのだ。
一般的に知られている収納魔法は、せいぜいカバン一つ分の荷物をしまえるとか
その程度の物なのだが、リコルは自分がどれほど規格外かを知らない。
あたかもそれが出来て当然であるかのように、
リコルは手ぶらのまま、魔の森へ足を踏み入れたのであった。