No.4
ギリシャ神話と原子名って、意外と結び付いてるの。
私がムギを連れて部室を出ようとした時。
「ぐぅぉああああああっっ!!!」
外から声が聞こえた。
全員が、一斉に構える。
…そこ!室内だろとかつっこむな!
聞こえるもんは聞こえるんですぅ。
「禍物れすか…学園上空に」
「…そうみたい」
「1体ではないっぽいな…5体あたりか。しかも声のする方向からすると……敵は上空を飛んでいる」
と、気難しい顔をする菊摘。
…倒せないという気難しいではなく、倒すのが面倒くさいという気難しいである。
「ぐあああああああああああっっ!!!!」
「…声の周波数からすると…ドラゴン…か」
さらに気難しい顔をする菊摘。
…もう一度言うが、倒せないという気難しいではなく、倒すのが面倒くさいという気難しいである。
基本的に学園は、敷地周辺の地上の禍物にしか手を出さない。
…というのも、上空の敵に安易に手を出すと、校舎への墜落などの危険性があるからだ。
一応、学園の敷地上空には透明のフィールドが張ってあり、禍物が通れないようになっているが、それでも念の為、との事だ。
無理な敵は追わない。
…大人め。もう少し子供を見習いたまえ…。
「…ドラゴンって正解したらなんか欲しい?」
「え?くれるんだったら…」
「分かったNo.83あげる楽しみにしてて」
「やっぱいらねー!!!」
叫ぶ菊摘。
素敵なプレゼントなのにぃ。
「取り敢えず、行くか。……成風は周辺に被害がないかの確認を」
冷静に偉夜ちゃんにも指示を飛ばす雷先輩。
「分かりました…っ」
「じゃあ…」
「「「「「れっつごー!!!!」」」」」
理学部員は一斉に外へ飛び出した。
「ここで僕は…」
「おっけい!お互い頑張ろう」
「はい!」
大きく頷きながら、偉夜ちゃんは私たちが向いている方と反対方向へ、駆け出して行った。
「ぐぅおおおおおおおおおっっっっ!!!!」
複数の禍物の、低く大きな唸り声が聞こえる。
しかし、やはり、周辺には禍物らしき姿が見当たらない。
上を向くとそこには…
「正解!おめでとー」
「おめれとうございまーす」
「なんか嬉しくねーな…棒読みじゃねーか。つか俺No.83貰うの?…いらねーよ」
棒読みとか、そんなことはございませんよ?
No.83はお望みどおりあげますわ、おほほ。
にしても…やったあっ!
ドラゴンは金っ♪ドラゴンの核は価値が高いっ♪のだっ!
上を見上げれば水色の翼を広げて飛び回るドラゴンが。
…ってあれ?
「…ってあれノーマルじゃん。最悪…でもうるさいからなぁ」
「ドラゴンが出てきて喜ぶのは『アブソリュート』くらいだな…」
「すぅとハル先輩って今回出番ありますか…?帰っていいれすか…」
「うーん、ないね。ムギは帰っていいよ」
「なんかそう言われると帰りたくないれす…」
澄傘は、絶賛反抗期真っ只中である。
あまり逆鱗に触れない方が良い。
…Hgで殺される。
「取り敢えず戦わね?どーする?数増やそっか?」
「うーん…じゃあ、よろしく」
完全に神術の乱用である。
因みに私の『複製召喚』では、生物は、複製することができないため、彼に任せるしかない。
…死骸なら増やせるよ?意味無いけど。
「りょ。数字を増やせ」
菊摘がそう唱えると、ノーマルドラゴンの数が倍近くに増える。
つまり得られる金が倍になったということである。
ノーマルだけど。
そんなに金にならないけど。
「どーやって殺す?」
「一気に核壊したいんなら落とせばいいんじゃね?」
「あーいいね!…となれば雷先輩?」
「俺か。分かった」
「…やはりすぅに出番はなさそうれす」
ということで、ゆるだるな会議の結果、雷先輩が運動エネルギーを操作して落とすことに決定した。
「じゃあ落とすぞ…気をつけろよ?振動とか」
そこで私はある案を閃く。
「あっ、少し待ってください。学園のフィールド強化しておきます。後で消去しますね」
「了解。よろしく」
「…フィールドを複製って…もうなんでもありれすねぇ…」
元々から学園のフィールドは、上空にあるのにも関わらず、何故か触れたことがあるので、そのまま複製する。
(フィールドを複製。ドラゴンの質量と高度から計算すると、4枚程度…)
見ることは出来ないが、おそらく複製できた。
手応えはある。
「おっけーです」
「おっけ。じゃあ落とすぞー」
雷先輩はそう言い、右手の人差し指をピンと立てて上に向ける。
『運動エネルギーを大きくする』の意である。
あくまでも彼は運動エネルギーを操る神術者である。
運動エネルギーが大きくなれば位置エネルギーは小さくなる=物体が落ちる、である。
すると…
どぉぉぉぉんっ!!!!!!!
ドドドドドドオオオォォオオオオオン!!!
どどどおおおおおおおおんっっっっ
という感じの音が響きそうな落ち方をして、全てのドラゴンが落ちてきた。
音は聞こえていない。
振動も感じない。
複製は成功していたようだ。
(…フィールド4枚の消去)
心の中でそう唱えてから、皆に合図を送る。
ドラゴンが消滅し始めた。
「どーなってますかねー?ちゃーんと死んでますかねー?」
スキップをしながら、澄傘がドラゴンに近付いていく。
「ちょっ、ムギ!?まだ生きてたら近付いちゃダ…」
「ぐわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああっっっ!!!!」
「えっ?」
スキップを止めた澄傘に、一体のドラゴンが近付いていく。
「なんばーはちじゅうさんっっっ!!!!!!」
私が叫ぶと、ドラゴンの喉の辺り…核がある部分に、刀が飛んでいく。
そのまま核が割れ、ドラゴンは消滅し、刀が突き刺さった核だけが残った。
落としただけでは核が割れなかったのだろう。
「ハルせんぱぁい!!ありがとうございますぅ…。何もしないどころか迷惑かけちゃってごめんなさい…」
「…これからは気をつけてね?」
「はぁい」
私は無意識にムギの頭を撫でた。
すると、ムギは嬉しそうな顔をして私に寄りかかってくる。
まるで姉妹。いや、親子のような、ほんわかとした雰囲気に。
「…いや澄傘、お前自分で対処できなかったのかよ?」
「しーっ!黙れ、さく?今いい所なんだから」
その頃、こんな会話が裏でされていた…。
いつもはツンツンしているが、今日は甘々だった春織が、澄傘を存分に撫で回し、部室に帰った後。
「…そろそろ偉夜ちゃんが来るかな…?」
「そーれすねぇ」
私の腕の中にすっぽり収まったムギが答える。
「…お前らまだイチャついてんのかよ…」
「イチャついてませーん。励ましてただけ」
「はぁ…こりゃだめだ」
呆れ顔で菊摘が呟く。
ところで、と雷先輩が言った時。
「せっ、先輩…!!!」
叫びながら、息を切らして、必死の形相で。
桃色のさらさらな髪を乱しながら、ドアを勢いよく開けて入ってきたのは…。
「偉夜!!!」
「偉夜ちゃん?」
「…いよたん…」
どうしたんれすか、と澄傘が言い終える前に、偉夜ちゃんがそれを阻む。
「あの…っ!怪我人が一人…出ていまして…っ、僕じゃ治せない…」
先程のドラゴン達による怪我人。
『奇跡の医者』を使っても治せない怪我。
「…どんな怪我なんだ?」
雷先輩が目を細め、落ち着いた声で話す。
偉夜ちゃんは、切らした息を整え、俯き加減で、言う。
「精神異常です…」
ムギと菊摘はお留守番。
私と雷先輩と偉夜ちゃんで、記憶喪失だという人のもとへ向かう。
その人は、うちの学園の、初等部6年の学生さん。
学園から誤って出たところを、ドラゴンに狙われてしまったのだとか。
そんな彼女は今、保健室に運ばれているそう。
ということで学園内の保健室に向かうと…。
「あぅー?あーあー!あばばばば!!」
廊下から、そんな声が聞こえた。
精神異常ってまさか…?
そう思い、偉夜ちゃんを見る。
すると偉夜ちゃんは、深刻な顔をして、こくりと頷いた。
基本的に、偉夜ちゃんは、身体専門の医者である。
そのため、身体を癒しても、精神状態までの回復は不可能。
「あーあぅー!!やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!!!まままままままままままままままままままああああっ!!!!にゃあああああああっ!」
続いて、そんな声が聞こえる。
周波数的に同一人物だ、なんて菊摘は言うだろう。
勇気を振り絞り(?)、二人にアイコンタクトを送る。
ドアノブに手をかけて…
「…失礼します!理学部部長の、米優春織ですっ」
「ぶえ?」
「え…?」
保健室の先生であろう、白衣を着た女性。
黒髪をふわりとしたボブに切り、前髪で片目を隠した少女。
二人が同時にこちらを向く。
「んー?にゃー!!」
黒髪ボブの少女が何かを叫んだ。
「あなたが…米優さん。Sクラスの…」
「…はい」
自分でSクラスって言うのもなんか恥ずかしいな…。
慣れてるはずだけれど…。
この方からは、何かよく分からない風格を感じる。
…そして、黒髪ボブの少女からも、また違った雰囲気が感じられる。
なんか、私たち理学部と、似たような…。
「…ありがとう。この子を助けるのを…手伝ってくれるかしら?」
「…もちろんです」
…ということで、私は、黒髪ボブの少女を救うための作戦を決行することに決めた…。
「取り敢えず、雷先輩。二人を呼んできてくれますか?…何か役に立つかもしれない」
「分かった」
雷先輩が、保健室から出ていく。
「偉夜ちゃんは、先生と一緒に、症状の解析を。細かければ細かいほど良いから」
「分かりました…っ」
偉夜ちゃんがそう言うと、黒髪ボブの少女も、
「うー!!」
と叫んだ。
そして、偉夜ちゃんはその子から一本、髪を引き抜く。
髪に付着したほんの少しの肉片から、現在の状態が分かるのだとか。
そちらの世界の科学じゃ、意味分かんないね!
「…この子の名前は?」
「明星すばる。初等部6年。Aクラスで、神術は『真夜中の天気師』…真夜中の天気を操る神術なの」
『真夜中の天気師』…初めて見るタイプの神術。
天気…地学。理学。
…同じ者の雰囲気を感じ取ったのは間違いではなかった。
苗字からしても。
明星…金星の別名である。
「問題は、どう治すか…か…。偉夜ちゃん、何か分かった?」
「えぇ…。恐らく、ノーマルドラゴンの雷を受けた、もしくは目の前に落とされたのだと思います…。そのショックで精神異常状態に陥ってしまったのだと…。細胞の破壊、異常などは特に…」
「うーうー!!にゃー!!!」
いかにも構ってほしそうに、黒髪ボブの少女…すばるちゃんが、偉夜ちゃんに抱きつきに行く。
おいおい、偉夜ちゃん大好きっ子だな…。
私は?ダメナノ?
…そんな彼女を、
「はぁい、ちょっといい子にするんだよー?」
と保健室の先生が捕まえる。
「にゃあ!やー!やだあ!」
精神異常状態…。しかも、禍物による被害。
普通の科学は使えない。どうすれば治るのだろうか。
…例えば金属なんてどうだろうか。
金属使いならうちの部にいるし、っていう安易な考えだけど…。
しかも何に金属を使うのかよく分かんないし。
叩く?伸ばす?熱?電気?
うーん…そろそろ雷先輩が二人を連れて帰ってくる…かな?
ガラガラ…
「連れてきたぞー」
「連れてこられましたぁ」
「…ども」
雷先輩、ムギ、菊摘の順に、保健室に入って来る。
「おっ、ナイスタイミーング!手伝って欲しいことは特にないけど!」
「じゃあなんでナイスだ…?」
「ムギに会いたかったの!」
私は適当なことを言って菊摘をはぐらかす。
「もしかして…ハグちゃんのお出ましれすかぁ?」
「うんごめんね、ハグちゃんの出番はないよ」
「…(´・ω・`)」
「澄傘ちゃん…!いい所に来てくれました…!」
ワンテンポ遅れて、偉夜ちゃんが私と同じようなことを言う。
しかし、私のとは訳が違う。
澄傘が、すばるちゃんの精神異常治癒に必要だということを、示しているのだ。
「何の金属が必要れす?」
「人体に害がない金属。できるだけイオン化傾向が小さいもの。粉末状にして出してくれる?」
「なら、Auでいいれすね?粉末状…」
ムギが右手の人差し指をピンと立てると、金塊が出てくる。
それを薬包紙の上に置き、彼女が手で操ると、それが粉末状になった。
「できましたぁ」
「ありがとう…じゃあ…」
偉夜ちゃんは、粉末状のAuの薬包紙を両手で持ち、小ぶりなビーカーの中に入れる。
そしてそこに、どこから出したのか分からないが、透明な液体をガラス棒を使って丁寧に流し込む。
すると金が溶けていき…って待って!?
金が溶けるって、もしかして…王水?
それぞれ濃いHClとHNO3を3:1で混ぜるとできる。
金をはじめ、プラチナなどの大体の貴金属を溶かすことが出来る…まさに"やばい"液体である。
え?なんでそんな液体が…!?
偉夜ちゃん、何してるの…?
…そして彼女はそこに、またまたどこから出したのか分からないが、怪しい液体を流し込む。
すると溶液の色は、まるで沖縄の海のような、アクアマリンに染まった。
あの液体は、何…?
そして最後にビーカーを持ってゆらゆらと振り…
すばるちゃんの口の中に入れた。
「…え」
驚きすぎて、思わず声が出てしまった。
「……ごくっ」
その液体を飲み込んだ明星さんが、いきなり、意識が無くなったかのように、目を閉じて、ベッドに横たわる。
「…偉夜ちゃん…最後の液体について教えて欲しい」
「大丈夫です…命に別状はないですよ。薬代わりですので…そろそろ効果が出ますよ…」
液体についての詳しい説明は、さらりとかわされてしまった。
そして偉夜ちゃんは、私に向かって微笑みかけた。
「安心して下さい」とでも言うように。
それは確かに『聖女様』の笑顔だった…。
では、液体についての考察をしていく。
…まず、偉夜ちゃんは確か、「人体に害がない金属。できるだけイオン化傾向が小さいもの」と言っていたはず…。
胃酸ごときじゃ溶けない金属、金…吸収されずにそのまま排泄されるから、イオン化傾向が大きいものと比べると、まだ安全ではある。
料理なんかにも、金箔とか使われてたりするし。
金箔ソフトクリームとか…ね?
まあ、あれは食用で別の成分の物質が大量に入ってるんだけど…デンプンとか、ね?
とりあえず、金を体内に取り込んでも、そのまま排泄されるだけなので大丈夫。
その次が問題。
金を溶かした液体…。
なんだあれは。
王水以外、私には考えられない。
金の成分を溶かすことが出来るものはない。
もしくは…成風偉夜が、開発した液体か。
なんてったって『奇跡の医者』である。
そんなことをしていても過言ではない。
もう一種の液体も同様に、開発したのかもしれない。
…もしかして、私の母と同じ神術を…?
そして数分後。
「おはようございます…ん?」
明星すばるがぱちりと目を開いた。
先程のような異常な言動はない。
「…おぉ…っ!!!」
「良かったぁ…」
ムギと私が思わず喜びの声をあげ、すばるちゃんが横たわっているベッドに顔を埋める。
「責任問われなくて良かったな、さく」
「え?俺、責任負うことになってたんすか?」
「だってお前がドラゴン増やしただろ?その影響で精神異常状態になってたらお前のせいだろ」
「そっ、それは春織に言われてやっただけで俺は…」
菊摘があたふたして言い訳をする。
実際にやったのはお前だ、菊摘。
「えっと…状況がわからないです…」
明星さんが助けを求める。
確かに分からないよね。
いきなり目が覚めたら保健室のベッドで寝てて、知らない人達に囲まれてるんだもん。
「確かに分からないよね、えっと…」
「あ…僕から説明します…」
偉夜ちゃんが声を発した。
そして、偉夜ちゃんは、保健室から部室に帰るまで、現在に至るまでの内容を詳しく説明した…。
部室に着く頃には、現在に至るまでの説明が終了した。
「そんなことが…申し訳ありません。その時のことを何も覚えていなくて」
「仕方ないですよ。…それよりも、元に戻って良かったです」
本当に申し訳なさそうな顔をするすばるちゃんを、偉夜ちゃんが宥める。
「ほんとにそうれすよ!治って良かったぁ…」
「…ありがとうございます」
そう言って、にこりと微笑んだすばるちゃんは、大人っぽいとはいえまだまだ小学生らしくて可愛らしかった。
そういえば来年は、中学生なんだよね…。
うちの部活にでも入ってくれないかな…。
理学系の神術者みたいだし。
「お菓子パーティーでもしますかぁ!」
ふわふわとしていて、しかし少し緊張感のある雰囲気を打ち消すために、私は言った。
「お菓子パーティーれすか?」
お菓子大好きなムギが反応する。
「うん!…あー、この時間はもう学園から出れないし、部室の薬品でも使って作ろっか!」
「あー、C2H22O11とかNaHCO3とかありますもんね。カルメ焼きぐらいできるでしょうか…」
「す、すくろーす…?たんさんすいそ…?」
まだ小学6年生のすばるちゃんは、化学式を言われても何がなんなのかさっぱり分からない様子。
…それが当たり前だわ。
入学当初から一発で理学部入部テストに合格してきた偉夜ちゃんなんかはおかしい。
ムギは何度も何度もテストを受け続けて、私に何度も何度も色んな問題の講義をするよう迫ってきて、やっと合格したという、ある意味物凄い精神の持ち主である。
菊摘と同様。あいつもしつこかった。
…取り敢えず、普通の小学生の知識では「プラスチックは燃やすと二酸化炭素が出るから有機物」が限界だろうか。
「スクロースは俗に言う砂糖のこと!炭酸水素ナトリウムっていうのはベーキングパウダーとか、重曹なんかに使われてるの。ホットケーキミックスを使って作ったホットケーキがが膨らむのはこの物質が入ってるからなんだよ」
「へぇ…!すごい…」
すばるちゃんは目をキラキラと輝かせて私のことを見つめる。
どうやら化学に興味深々。
うんうん、いいことだ。
「今日は泊まりですか…?」
偉夜ちゃんが不安げに私に問いかける。
そんな不安そうな顔しないでよぉ。
前回、禍物を生きたまま解剖して部室を返り血で汚したのは謝るから…!
「もち!先生には天体観測会とでも言っておくよ」
そう言いながら、私は慣れた手つきでスマホを操作する。
「おいおい、また天体観測会するのか?ってなるぞ…」
菊摘がジト目で私を見つめてくる。
そうそう、前回も天体観測会って言ったんだよね。
「いいの!月とか金星なんかは連続的に観測した方がいいじゃない」
「まあなー…ホントに、権限の乱用だ」
「先生も許してくれてるし大丈夫だよ…えーもしもし。2年1組の米優春織です」
「ってことでOK出ました〜」
「いぇーい」
「はぁ…」
人それぞれで反応は違うが、多分皆泊まってくれるだろう。
「えっと…ここで私は…」
すばるちゃんがドア近くへ行き、帰ろうとするのを、引き止める。
「待って待って、すばるちゃんも一緒にお泊まりしない?」
私がそう言うと、彼女は目を見開いて、私を見つめてくる。
「い、いいんですか…?」
「もちろん!…ね、皆?」
部員全員が、こくりと頷いた。
私はそこにいる全員を見渡して言う。
「そーと決まったら準備だ!」
お久しぶりです!
読んでいただき、ありがとうございます!
投稿遅くなってしまってすみません(-人-`)
甘鷺千鶴です☆°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
テストに絶望する、今日この頃でございます。
新キャラ、すばすばすばるちゃん。
後輩っていいねぇ。
さてさて…!
次回は、お菓子パーティーするみたいですね!?
いいなぁ、私も混ぜてくださいよ。
皆さん、何のお菓子が好きですか?
私は、某、棒菓子が好きです。
チョコが外に付いてる方です(どうでもいい)。
次回も読んでもらえると嬉しいです(*´˘`*)♡
幕間的な感じでお楽しみください…!!!