1 黒いかたまり
「お兄ちゃ〜ん、遊びきたよぉ」
無邪気な俺の妹、萌音が部屋に遊びにきた。
中学2年にもなるのに萌音は俺に抱きついてきたり、手を繋いで買い物に行こうと言ってきたりとかなり重度のお兄ちゃんっ子だ。
「俺は忙しいんだ、後にしてくれ」
小学生じゃないんだからもう兄ちゃん離れしてくれよ……近所や友達から妹と付き合うロリコン兄貴って言われて困ってるんだ……
中学で一番の可愛さだって評判の萌音から慕われることが嫌だなんてことはもちろんない。
けど、兄としてきちんと節度ある距離をとってやるのが正しい兄ってもんだからな。
「な〜んだ、何もしてないじゃん」
「あっこら! 勝手に入ってくるなって!」
ガチャん……
萌音が椅子に座っていた俺に全体重をかけて覆いかぶさってきたせいで転げ落ちてしまった。
「へへん、まいったか! 遊んでくれなきゃくすぐってやるぞ」
「いてて……ちょ、ちょっと待てって!」
俺にまたがっている萌音を退けて座らせた。
困った妹だ……なんでこんな俺のこととは自分でも思うのだが、萌音は俺のことが大好きらしい。
それはもはやライクを超えてラブだ……
下手すりゃ一線超えかねないくらい毎日萌音は俺に迫ってくる。
俺だって極々健全な18歳の大学生なんだ。
妹でさえなければこんな可愛い子から迫られればそれこそ毎日寝かさないくらい迫ってやるのに……
「何エッチなこと考えてるの?」
「はっ!!!!」
こいつ、俺の思考を読みやがった……
ぺたんと体を俺に傾け、俺の耳に囁いてくる。
「パパとママには内緒にしておくから、私はいいよ……」
ドクン……
「ちょっ……!」
バカ! 俺のバカ!!
ドクンじゃないだろ、何ときめいてるんだよ……
「フフ……お兄ちゃんかわい〜」
まさか俺、からかわれてる?
「おいふざけるなよ、もう!」
「あっ」
そういうと萌音は何かを見つめだした。
「あれれ、綺麗好きなお兄ちゃんにしては珍しいね、おっきなほこりが浮いてるよ」
「ほこり?」
完璧主義なこの俺の部屋に大きなほこりなんてあるわけ……
萌音の視線の先には黒くて大きな塊がふわふわと浮かんでいた。
「なんだろこれ……黒いほこりじゃないのかなぁ……?」
なんの気なく萌音が黒いほこりに手を伸ばしたときだった。
「あれ……萌音?」
急に萌音が消えた……さっきまでいたはずの萌音が……
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