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私だって冒険など望んではいない。問題は神様が叶えられるのがどの程度か、というところだが、悩んでも仕方が無いので全部言ってみよう。
「神様、私の望みを言ってもいいですか?」
「おお、言ってみてごらん」
「ではまず、スキルについてなのですが、【鑑定】【言語理解】【アイテムボックス】【弓術】が欲しいです」
少し欲張った気はしなくもないが、とりあえず言ってみた。これらのスキルがあるかもわからないが、小説などでは定番なのできっとあるだろう。
「構わんぞい。むしろそれだけでいいのか?【弓術】以外のスキルは異世界へ行く者には必ず授けているんじゃが…」
「はい。私も安寧を求めているので多くはいりませんし、スキル以外にもお願いしたいことがあるので」
「そういうことなら納得じゃな」
「ちなみに【アイテムボックス】の容量や時間経過はどのようなものですか?」
「そこは異世界特典で容量無限大の時間経過無しにしてあるぞ。【アイテムボックス】自体レアスキルで、容量は通常だと本人の魔力量によるし、大きくても家が入るくらいのもんじゃ」
どうやら随分と便利なものをいただけたようだ。ちなみに、【弓術】スキルは狩りなどに便利かと思って言ってみた。
「魔力は誰しも持っているものなのですか?」
「うむ。君にも生活に困らない程度の魔力は授けるつもりじゃ」
「ありがとうございます。次に自分自身についてなのですが、赤ん坊からやり直すかこのままの自分で行くかは選べるのですよね?」
「そうじゃよ。君はどうする?」
「どちらでもない、は選べますか?生まれ変わるのでもこのままでもなく、若返らせてほしいのです。そして容姿も向こうで目立たぬような平凡なものにしていただきたいです」
鎖国状態のような特殊な場所に住みたいわけではないので、黒髪黒目は不要だ。また、私はのんびりとした暮らしをしたいので、今更子どもからやり直して親などの柵も必要ない。若返りについては、現状では体力の不安があるので非常に切実だったりする。
「では先に姿を変えてみてもいいかの?そい」
神様の気の抜けるようなかけ声の後、体の感覚に変化があった。抽象的だが、元気になった感じがする。
「こんな感じでどうじゃ?よいしょ」
神様がどこからともなく大きな姿見を出してくれる。そこには、三浦莉紗の面影のない西洋風の顔立ちをした私がいた。
髪の色は少し明るめのピンクブラウンで、瞳の色は深めのグリーン。見た感じは16,7歳くらいで、自分の顔なのにこう言うのもなんだが、よく見たら整った美人という感じだ。もう少し平凡でもよかったが、この程度なら目立ちすぎることもなさそうだ。