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「何点かおうかがいしてもよろしいですか?」
「おお、もちろんじゃよ」
わからないことをそのままに異世界に行っても怖いので、今のうちに気になることは聞いておくことにした。
「まず、異世界とはどのような世界なのですか?」
これは非常に大事な質問で、この答えによって望むものは変わる。
「いわゆる剣と魔法の世界じゃよ。この世界とは違って科学はあまり発展しておらんくての、代わりに魔法でなんとかしてるような世界じゃ」
「全体的な文化や文明のレベルはどうなのですか?」
「そうじゃのう、中世ヨーロッパと言ってわかるかの?」
「はい、なんとなくわかりました」
典型的な異世界もののような感じだろう。
「私のような黒髪黒目の人種はいますか?」
「いるにはいるが、極少数でそれも小さな島でほぼ交流などもせずに暮らしておるのう」
「そうですか…」
小さな島で交流なしとは、鎖国に近いのかもしれない。ほとんどの人間は髪の毛も瞳もカラフルなのだろう。
「異世界では戦わねば生きられないのでしょうか?」
「いや、決してそんなことはないぞい。たしかにこの世界よりは諍いや戦争は多いがのう」
「人間以外にはどのような種族や生物がいますか?」
「魔族や獣人がおるのう。数は少ないが、エルフやドワーフも存在しておる。後は普通の動物の他に魔物がおるぞ」
「差別などもありますか?」
「人間、魔族、獣人でいがみ合っているところもあるが、差別なく暮らしている国もあるぞ」
「なるほど…」
ネットで読んだとおりの異世界でありがたい。考えがまとまりやすかった。違う点があるとすれば、どうやら見知らぬ誰か達も異世界に向かうという点だろう。
「あの、私以外にも異世界に向かう人がいるようですが、その方達とまとまって集落を作るというのは無理なのですか?」
同じ世界に生きていた分、価値観などにそんなに差があることはないだろう。
「それが、転生したい者もいれば転移をしたい者もいて、冒険を望む者もいれば安寧を望む者もいる。一概に集めることはできんのじゃよ」
神様はまた申し訳なさそうだったが、私も聞いてみただけなので別に気にしないでほしい。