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まさかまさかの異世界転移 ②

「ここは……何処だ……?」


 目が覚めると、自分は見知らぬ草原で横たわっていた。

 辺りは一面草だらけ。それもRPGに出てくるような見た目をした草である。

 

 そして、目が覚めてから間髪を入れずに、

 

「起きるのがおせえぞ!」


 と、自分に向かって謎の声が飛んできた。

 ゼリー状の物体からだった。


 

 どうやら本当に異世界に来てしまったらしい。余計なオプション付きで。

 

 コイツみたいな弱そうな奴を連れて魔王討伐なんてとても非現実的だ。やることが魔王討伐って時点で非現実的ではあるが。


 

 いや、ちょっと待てよ……?

 もしかしたらコイツ、弱そうに見えて実は相当強いかもしれない。一応神の使いみたいな存在らしいし

 

 とりあえずコイツの基本情報を探ってみるか。

 主にコイツに何ができるかとかその辺について。


「誰だお前は!」


 先程名前を聞いた気もするが一応聞いてみる。


「まったく……人の名前を聞くならまずはお前から名乗れよ!」


 ごもっともである


「俺の名は結城達也。お前は?」


「オイラはスライ、お前のお付け目役さ」


 お付け目役? コイツ、自分の仲間じゃなくて監視役だったのかよ。

 

「ところでスライ、お前って何ができるんだ?」


 自分が気になっていることを聞いてみる。、


「まあ見てなって」


 そうスライが言い放つと、スライのゼリー状の体がみるみるうちに剣のような形に変化していく。

 ――まるで魔法のように。

 

「これがオイラの固有スキル、"武器変化"だ」


 どうやらスライは武器に姿を変えることができるらしい。

 武器としてなら割と使えそうだ。


「武器が無けりゃそこら辺で野垂れ死にそうなお前も、オイラとお前のラーニングスキルを使えば最低限やっていけるはずだぜ」


 と、スライが続けて言った後、スライの体は元のゼリー状の物に戻っていった。


 でもなんでコイツが自分の固有スキルを知っているのだろうか。

 自分は少女に教えて貰った関係で自分の固有スキルを知っているのだが、少女はステータスオープンとやらはできないと言っていた以上、普通は自分の固有スキルを知ることはできないはずなのだが。


「なんでお前は自分の固有スキルとやらを知っているんだよ」


 自分がそう問いかけてみると、


「なぜかって? オイラの持っている固有スキル"能力閲覧"で自分や他人のスキルを見ることができるからさ」


「ちなみにこのスキルは少々特殊な仕様でラーニングができない。お前は自力で他人のスキルを知ることはできないってことだぜ」


 衝撃的な回答である。

 スキル確認が固有スキル扱いだったのである。

 それにいきなりラーニング不可能なスキルと来た。もしかしてラーニングって制限あるのか?


 ただ、コイツは結構旅のお供としては役に立ちそうだ。

 武器に変化できて、他人のスキルを知ることもできる。見た目の割には優秀といえる。

 口が悪そうなのが問題だが。。


「最初は使えなさそうに思ってたけど、お前って中身だけはまともなんだな。流石に神の使いみたいな存在なだけはあるな」


「中身だけって何だよ! 中身だけって!」


「じゃあ固有スキルだけに訂正してやるよ」


「オイラを馬鹿にしてんのか!」 


――――


 このような内容の会話が数分程続いた後、一つ思ったことがあったので、スライに聞いてみることにした。


「そういや、俺達って何処で何をすればいいんだ? 魔王を倒すっていっても、何処に行けばいいのかわからないのなら何もできないじゃないか」


 何処に行くべきかである。

 自分はそれについて何も聞いてないのだ。それどころかここが何処かすら知らないのだ。ここが異世界であること以外は。

 いくら強力なスキルがあっても、この世界の地理がわからなければどうしようもない。


「ここのすぐ近くにヒスブルクって大きな街がある、そこに情報屋がいるはずだからそいつにこの世界について色々と聞いてみるといいぜ」


 どうやらヒスブルクという街の情報屋の元に行けばいいらしい。

 でも、その街に行くには何処の方角に進めばいいのかがわからない。


「とりあえずオイラに付いて来い!」


 スライはそう言うと、自分の向いている方向と反対の方向に向かっていく。

 おそらくコイツが向かう方向に街があるようだ。

 

 しかしコイツ、何気に結構動きが速い。

 少しでもボーっとしているとすぐに見失いそうだ。

 

 「ちょっと待ってくれよ!」

 

 自分は急いでスライの進む方向に走り出そうとする。


 

 その時だった。

 

 

 自分の真後ろから小さな足音が聞こえてきた。

 今までに聞いたことの無いような音だった。だがそれは間違いなく足音であった。


 少しずつ足音は大きくなっていく。もしかして自分のいる場所に向かっているのか?

 

 何かが来る。

 何か不穏な物がこちらに向かってきている。


 そう思いながら後ろを振り向いた瞬間――


「人間は死ねええええッ!!!」


 何者かがそう叫びながら自分に対して飛びかかってきたのだ。

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