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ギルティセブン  作者: 阿部曜一
Anfang Verbrechen
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第一章第七節 変化〜変貌

「こんなの…レヴィじゃない…」

「そうよ、私はリヴァイアサン。七魔柱の一人」

 サトシはその場に崩れ落ちてしまった。リヴァイアサンと名乗ったおt…女はサトシに近づく。

「あなたは殺さないわ。だってもっと苦しんで欲しいもの」

「サトシから離れろ!!」

 俺はリヴァイアサンに飛びかかった。しかし、猛烈な風に阻まれてしまった。

「風…!?あれじゃ近づけないじゃないか!」

 ギルタリアは愕然としていた。その言葉に他のみんなも絶望しているようだった。

「うふふ、いいわぁその顔。私のこのインフィニットサイクロンは何人たりとも侵すことのできない不可侵領域よ。どんな攻撃も跳ね除けちゃうんだから」

 ルンルンと喜び跳ね回るように話す。だが不思議なことに、相手から攻撃してくる様子が全くない。

「ふん、虫唾が走るな。この俺がぶった斬ってやる」

 スバルが痺れを切らして刀を抜いた。その時刀を包むように風と雷が巻き起こった。

「唸れイカズチ、逆巻けシップウ。我が手に宿れ、妖刀ハヤブサ!」

「妖刀、だと…!?」

「聞いたことあるわ…確か、悪魔や妖怪の力を宿す刀で、使用者を飲み込まんとする呪われた刀…世界に数本しかないって聞いてたけど、その一本がこんなところに…」

「あぁ、それも妖刀中の上一級、風雷のハヤブサ…」

 ギルタリアとアイリスはスバルが持つ刀を知っている様子だった。

「そんなにすごい刀なの?あれ」

 アルスが不思議そうに聞いている。それもそのはず、はたから見れば普通の刀にしか見えないのだ。そんな疑問を抱く中、ツバサが肩を叩き話しかけてきた。

「まぁ見ていろ。あいつの剣技を。見えれば、だがな」

「見えれば…?」

 そう言われて俺たちはスバルに注目した。しかしその姿は一瞬にして消えた。

「き、消えた!?」

 俺たちは周りを見渡したが、どこにも姿はなかった。次の瞬間、凄まじい風が吹いた。

「あれがあいつの、ハヤブサの力…超高速移動で敵を圧倒するサイウンという力だ。そして…」

 ツバサがそこまで言うと、スバルが姿を現した。

「一式、月光!!」

 その技は一筋の光を放ち、一閃の刃となってリヴァイアサンを襲う。しかしその攻撃も虚しく、例の風で阻まれてしまった。

「あら、今何かしたかしら?何度も同じこと言わせないでくれる?私には傷一つ与えられないわよ」

「これでもダメなのか…」

 スバルは結構な力を使ったのか、その場に跪いた。俺たちは打つ手を失ったかのように思えた。その時だった。

「だったら…俺が行く!」

 俺には考えがあった。あの風はリヴァイアサンの周りを渦巻くように吹いている。だったら…

「これならどうだ!炎の精霊よ、我に力を!」

 そう唱えると、赤い精霊が現れて炎を吐き出した。するとどうだろう、リヴァイアサンの風が瞬く間に炎の渦に変わった。

「何よこれ、暑いわね…私汗かくの嫌いなのに」

 まるで効いてなかった。それどころか、その渦はこっちに向かって進んできた。

「ちょっ、あれやばいんじゃない?こっちに来てる…」

「ど、どうにかしてよユーク!あなたがやったんでしょ!?」

 アルスとアイリスが慌てふためいている。無理もない。だってこれは…

「絶体絶命ってこういうことじゃね!?」

 ヴァンが一瞬こちらを睨んだ気がする。

「うわああああ!ごめんなさあああい!!!」

 俺たちは逃げ回っていた。これじゃ埒があかない…このまま焼き尽くされるのかと思ったその時。

「全く、今までのシリアス感はどこに行ったんだ。おらよっと」

 どこからともなく大量の水が押し寄せてきた。

「ちょっとここの水道管いじらせてもらったぜ」

 どうやらハイムの錬金術で水を錬成したらしい。助かった。

「もう、濡れ濡れになっちゃったじゃない。これじゃ水も滴るいい女ね」

「いい…女…ね…」

「あら、やっと喋ったと思ったら、何か文句でもあるの?」

 リヴァイアサンの言葉に反応してサトシが声を出した。

「文句しかないよ…レヴィ、君は僕にとって憧れの男だったのに、どうしてこんな…こんなこと…!!」

「なんだ、あれ…あんなサトシ見たことないぞ…」

 スバルが驚きの声を上げていた。普段は温厚で少しお気楽なサトシが激昂していた。それより、ものすごいオーラを放っていた。

「あんた、そんな力を隠していたの?驚きね。でも無駄よ、私には傷一つ…」

 そう言ったリヴァイアサンの頬には一筋の傷が付いていた。

「いったーい!女の顔に傷をつけたわね!?」

 リヴァイアサンは怒りに満ちているようだった。

「あれは…まさか…!」

 ギルタリアは何かに気づいた様子だった。

「どうしたの?ギル」

「あれは…魔剣カザキリ…どんな暴風も鎮めるという、伝説の魔剣だ…かの魔王封印の際に戦いに参じていた剣士が持っていたとされている」

 ギルタリアは流暢に語った。魔剣カザキリ…そんなすごい剣をサトシが持っていたなんて、と驚いていたのもつかの間、サトシは何かに取り憑かれたかのように攻撃を始めた。

「ど、どういうことよ!私の、無敵の風…インフィニットサイクロンが…」

「無駄だ、俺の剣を前に、風は赤子のように無力となる。散るが良い、魔王の手下よ」

 サトシの口調が変わっていた。まるで過去の英雄が乗り移ってるかのように見えた。その攻撃は凄まじく、止むことはなかった。

「こうなったら…あんまり使いたくはなかったけど…嫉妬の激風(ストームオブエンヴィ)!!」

 リヴァイアサンが叫ぶと、辺り一面を風が覆った。俺たちはその風に巻き込まれ、身体中を切られていた。

「くっ、まるで鎌鼬(かまいたち)だな…こんなの防ぎようが…」

 ヴァンがそう言った時、俺たちの周りだけ風がやんだ。

「あれ、風が…」

 気がつくと、目の前にサトシが立っていた。

「言っただろう、俺の剣の前では無力だと」

 サトシは目の前の風を切り、そう言った。

「なんで…なんでなのよ!私の必殺技なのに…妬ましい…妬ましい妬ましい妬ましい!!!」

 怒り狂ったリヴァイアサンは、その姿を大蛇へと変化させた。

「ほう、それがお前の真の姿か」

「こんな姿見られたくなかった…こんな醜い姿晒したくなかった…!許さない…絶対に殺す!!」

「ふん、面白い。ならばかかってこい。返り討ちにしてやる」

 サトシとリヴァイアサンは正面から激突した。

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