第一章第二節 誤算〜解散
俺はアルスに殴られた頬を撫でながらみんなの元に戻った。
「ごめん、ちょっとやりすぎたかな?」
「い、いいってこのくらい…」
絶対悪いと思ってないだろ…そう思ったが心の奥にしまった。
「遅かったな、ちゃんと仲直りできたか?」
ヴァンが茶化すように聞いてきた。
「あぁ、仲直りできた…のかな?」
俺が少し困惑していると、ギルタリアが割って入ってきた。
「すまない、みんな揃ったところで少しいいかな?」
神妙な面持ちのギルタリアに、みんな注目する。
「先ほどマルガス氏を安全なところへお運びした時、ここに転移ができる魔導具があるとおっしゃっていた。それを使って各々自国に戻り、ギルドの安否を確認したのち、後日またここに集合しよう」
「安否を確認するだけなら電話でもしたらいいんじゃないの?」
アイリスがそう聞くと、ギルタリアは首を横に振った。
「どうやら通信手段が完全に遮断されてるらしいんだ。先ほどギースに連絡しようとしたところ、全く繋がらなかった。ハイムやヴァンもそう言っていた」
「あぁ、確かに。メリアも繋がらなかった」
「シャルナも同じく」
ハイムとヴァンが頷く。それを聞いてアルスとサトシがそれぞれ連絡を取ろうと試みるが、ギルタリアの言う通り連絡が取れなくなっていた。
「じゃあ、やっぱり一旦帰ってみるしかないってことね」
納得したようにアイリスが呟く。
「そういうことだ。それでは早速魔導具とやらを使ってみよう」
ギルタリアはそういうと左手に握っていた袋を前に差し出す。どうやらその袋の中に魔導具が入っているらしい。一見結晶のように見えるそれは6個入っていた。
「俺とアルスは一緒に使えばいいよな」
「あぁ、そうしてくれ」
俺たちはそれぞれ魔導具を手にした。
「そんで、これどうやって使うんだ?」
「行きたい場所を頭の中にイメージして、転移、そう唱えればいいらしい」
「ほう、案外簡単だな。頭にイメージして…転移!」
ヴァンがそう唱えると、魔導具が光を放ち、ヴァンを包み込む。その光が消えたとき、そこにヴァンの姿はなかった。
「うむ、成功したようだな。我々も続こう」
ギルタリアの言葉を合図に、それぞれ転移を始めた。
「俺たちも行こうか、アルス」
「そうだね」
俺とアルスも転移を始めた。眩しくて目を閉じた。そして次に目を開けたとき、いつもの景色が広がっていた。
いつもと違ったのは、炎と煙を上げていたことだった