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第12話
朝、霧がまだ晴れ切らずに残っている中を進んでいると、どうにもここが違う世界であるような気がしてしまうから、不思議だ。
視界が悪く、遠くのものは何も見えない。だから想像するしかない。その想像された部分が、あるいは、ここではない別の世界に見えてしまうのかもしれない。
そのようなことをつらつらと考えながら、目的地へ向かう。
「話したいことがある」と彼女に呼ばれて、こうして朝早くから外気の冷たさに身を震わせているわけだが、はて、話したいこととは、一体何であろうか? このような時間に呼び出すほどなのだから、重要な内容であることは間違いないのだろうが。
しかし、ああ、寒いな。