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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

対ゾンビ部隊は俺一人だが?

作者: セロリア

東京。


深夜。


地下鉄。


公衆トイレ。


洗剤入れの中に何かを入れる

男性の姿。


立ち去る。


直ぐに新しい男性が入っていく。


また出ていく。


次々に男性達が入っては出て行く。


公衆トイレだ。


当たり前だ。


ましてやここはー、東京、地下鉄。





翌朝。



長野県、一等地に建つ豪邸。


優雅にコーヒーを飲みながらテレビを見ている一人の男性。


年齢は18歳。


家政婦10人と、執事10人と共にこの屋敷に住んでいるようだ。


大学には通っていないようだ。


片手でPCを操作している。


この物語の主人公らしい。


老人博士「坊っちゃん、坊っちゃん!出来ました、出来ました!ほれ!ほれ!見てください!」


興奮しながらドアを開けたのは白髪頭の老人。


主人公「そうか、出来たか・・」


歩いてエレベーターへ。


博士「きっとお眼鏡に叶います、デザインもこだわりましたからな!今時の若い者はシンプルなデザインを好む傾向がありますから、そのように致しました」


主人公「・・うむ」


〈チーン、ガーー〉 ドアが開く。


巨大なラボだ。


白衣を着た男女が機械を操作、溶接を硝子越しにしている。


細かなチップみたいなモノも作っているようだ。


ざっと60人以上はいるだろうか。



博士「いつもの所です、さあ、さあ」


主人公「うむ」


広いモニターがある普通の部屋。


博士「ではご覧ください!〈ピピ〉」


モニターに映像が音声付きで流れる。


〈今回ご紹介するのは、対ゾンビ用に造られた、アーマーです、ヒントは映画、アイアンマンから取り入れました、かといって、空を飛ぶ事は不可能です、そこで、ワイヤーで引っ張る事で空を飛ぶ事と同等・・とまではいきませんが、ある程度は、それに近い動きが可能となりました。


ふくらはぎ、背中、二の腕部分にはワイヤーを張り巡らし、巻き込み、解放をトラブル無しで流れる様に、直径0.002mmのボールを使用し、その上にナノファイバーの特殊なクリームを潤滑油として採用しました。


格闘戦闘、主に近接戦闘において、一番有効、尚且つ長持ちする武器とは、ズバリ、ハンマーでしょう、対打撃に特化した八極拳の使い手である主人の為、鋼鉄を凌ぐヒサイカタガネを用いました。


格闘戦における感染が及ばぬ様に配慮され尽くした完全密閉、酸素は前脇腹にある収納スペースにボンベとする為、水中、宇宙、問題無く戦闘出来ます、更にボンベ一本分の戦闘時間は5時間、そのボンベを4本セット出来ます、普段は高密度のフィルターで活動、戦闘を行い、宇宙、水中時に自動で切り替わります、更に、高密度のフィルターは合計3箇所ありますが、綺麗な水で丸洗い出来ます、後ろのフィルターが前のフィルターを押し出し、交換出来ます、そして、丸洗い後、外部から嵌め込む仕組みです、特殊な滅菌光が機体の頭部にライトとして付いていますので、フィルター嵌め込みの際は利用してください。


戦闘が長引きそうな場合は武器をお使いください、空中ワイヤーとは別のワイヤーです、ダイヤモンドをナノサイズまで削り、特殊加工を施した蜘蛛の糸からヒントを得たモノで、対象の首に掛けたとしても、気づかれないでしょう、その糸は頭部の目には紫外線の中の第4部に該当し、可視可能となっております。


そして、それを通路等に素早く張れる手榴弾型武器、これを通路に適当にボタンを押し投げれば、その一秒後にはボール型の手榴弾から細かなレーザーが放たれ、通路の左上端に自らポンと弾きます、そのボールから細かなボールらが飛び出し、そのボールらは即効乾燥凝固性のあるボンドが塗られており、23本の切れ味の鋭い糸が等しく下方へ飛び出し、直ぐ様その通路は通行不可能となります。


ただし、機体の腕、足、に忍ばせてある接近戦用の中型ナイフ、主人が持ち歩くならば、大型の先両刃、胴体方刃の剣の長剣でならこの糸は切れます、防御、攻撃、いずれも隙がない完璧な仕上がり、いかが?〉


主人公「武器は長剣と手榴弾、仕込みナイフ・・か・・後は・・俺の拳・・ね・・」


博士「どうでしょう?」


主人公「強酸や、マグマ、に対しては?」


博士「ヒサイカタガネの特徴は、高出力のレーザーでしか加工は不可能ということです、強酸やら、マグマごときでは水滴と何ら変わりありません」


主人公「・・うむそうか、しかし、どうやって着るんだ?」


博士「上半身と下半身が別れており、丁度長袖長ズボンを着る感じです、腰の部分が最後に回り、装置完了となります」


主人公「海では沈んで行くだろ?」


博士「いいえ、モード変換、魚人と言えば、自動で魚人モードに切り替わり、尻尾がありますが、頭から尻尾にかけ、ヒレが出てきます、指の間にもヒレが出ます、そして、お尻の二つの部分にスクリューがありますが、それが露になります、アーマー自体の表面は非常に滑らかですので、後は頭部、肩、背中の部分を水を切るよう鋭利な角をわざと作り、これにより、水中で、最高時速80キロの泳ぎが可能となりました」


主人公「ふむう、凄いな」


博士「有り難う御座います、皆一生懸命やってくれました」


主人公「完璧だと思うぞ、仕組み、設計図は具体的にもう出来てるのか?」


博士「勿論です、後は3Dプリンターに入力し、ソルーニャを入れるだけです、勿論ソルーニャの意見も多く取り入れました」


主人公「そうか、では、実際に作ろう」


博士「へ?・・よろしいので?」


主人公「ああ」


博士「犯罪ですぞ?」


主人公「ばれなきゃ良いんだ」


博士「し、しかし・・」


主人公「地下からは持ち出さない、約束するよ」


博士「・・分かりました、物置きかななっている訓練施設を片付けておくよう手配しましょう」


主人公「ああ、宜しく頼む〈ズズー〉」コーヒー。


博士「それでえ、あのう?」


主人公「ん?ああ、心配するな、200億62名で等しく分配しよう、銀行カード35社、国、7ヵ国それぞれの銀行にな」


博士「有り難う御座います!」


主人公「空飛ぶ車の時はUFOを作って来て本当にビックリしたよ、はははは」


博士「あの時より今回は苦労しました」


主人公「また日本旅行か?よく飽きないな」


博士「日本にはまだまだ見たい場所が沢山ありますからな!では我々は暫く休暇を頂けるのですかな?」


主人公「ああ、休暇を許可する」


博士「有り難う御座います、では、後はそのモニターに差さっているモノを3D プリンターに差し込むだけですので、ああ!それから大事な事を忘れていました、その機体の名前ですが、イノセント、思考する機械という意味合いです、では失礼します〈プシュ、プシュ〉 出て行った。


主人公「・・」 モニターの中の真っ白なトカゲ人間みたいな機体を見つめる。


モニターから抜き取り、部屋を出て、ラボへ引き返す。


巨大なヒサイカタガネ用3D プリンター装置が部屋の端に置いてある、高さ20M、幅10M、奥行き7Mの巨大な箱。


その中に動力源となる丸い玉が部屋の空中真ん中に、キューブ状の箱に入っている。


霊能者が使う水晶玉の大きさだ、青白く光っている。


主人公「核融合装置・・リフレクト・・古代の世界を滅ぼした原因・・古代の古文書の暗号がまさか60進法を使った暗号だったとは・・この技術を知る者よ、覚悟されたし、使うのならば覚悟されたし、我々はこの技術で滅んだのだから・・か・・」


ガラス越しに手を伸ばす。


主人公「金儲けの才能がいくらあろうが、人々を平和に導けなければ単なるこそ泥に過ぎない、そうだったよな、父さん・・世界の終わりは必ず来る、古文書によれば、地球がそもそも機械みたいなモノで、必ず最後は地球は自らを守ろうとあらゆる自己修復プログラムを作動させるという・・この技術を金持ちの俺が知った・・この偶然は必然だと俺は考えてるよ、父さん・・世界の終わりが来た時、もう一度人類が始まるその時・・この技術らで・・平和に導く指導者になろう・・一人では難しいだろう、でも一人でもやる覚悟がなければ仲間は出来ない・・だったよな?父さん?」


〈カシャ!〉データを差し込む場所が開いた。


主人公「・・この瞬間を後悔・・しないか、するかは・・もう・・俺の意思とはかけ離れているな・・ふふ・・」


〈チャキ、カチ、カシャン、チキチキ、カチカチ、ヴヴ、ヴヴヴヴ〉


完全に差し込み、データが読み込まれていく。


ソルーニャ《御園翼様、暗証番号をお願いします》


御園翼「ソルーニャ、何の真似だ?気持ち悪い」


ソルーニャ《ぷぷ!良いじゃない!偶にはAI らしいでしょ?》


翼「良くない、気持ち悪い、いつもの感じで頼む」


ソルーニャ《あーはいはい、んで?これ造りゃ良いの?簡単に?それとも真面目に?》


翼「・・真面目だ、設計図通りに造ってくれ」


ソルーニャ《・・ふうん・・良いの?これ造ったら・・世界最強になっちゃうよ?そうなったら・・アメリカ、中国、ドイツ、ロシア、インドらが黙ってないよ?あんた・・世界を敵に回すつもり?核兵器にノーダメージな兵器を作って・・大丈夫なの?》


翼「使わないよ、今まで通り、コーヒー飲みながら暮らすさ」


ソルーニャ《だったら何で造るの?》


翼「・・世界が終わった後の未來の為に」


ソルーニャ《ふうん・・人間って先の事考える割りには・・今を考えないよねー》


翼「・・諦めてるからかもな・・今は・・無理だと」


ソルーニャ《・・はあ・・全く・・考えるだけなら面白かったのになあ・・いざ造るとなると・・楽しくないよ、こんな兵器》


翼「・・頼む、リフレクトは繊細なんだ、AI による、誤作動防止センサーがどうしても必要だ、頼む、この通りだ」


頭を下げる。


ソルーニャ《・・》


翼「・・」


ソルーニャ《・・》


翼「・・」


ソルーニャ《・・はあ・・分かりました!》


翼「!」


ソルーニャ《絶対使わないって約束出来る?」


翼「ああ、約束する」


ソルーニャ《あなたの誇りに誓える?》


翼「ああ、誓うよ!」


ソルーニャ《・・分かりました、プログラム320のC、イノセント、製造〈キュイキュウイ、ピーーーウィィィ、ウィ、ウィビジジジジジジジ〉開始しました》


高出力のレーザーで、削られ、薄く、薄く積み上げられて行く。





その頃。



東京、地下鉄利用者達の家。


朝、薄暗い。


冷蔵庫前。



父親「ふ、ふ、〈グチュグチョブチブチ〉ん、はああ」


母親「ふぁー、んんー、おはよー、ぴーちゃん、元気でしゅかー」


インコ「元気ですー、はい、元気ですー」


母親「ふふ、そうでしゅー、・・ん?」


明かりが見える、下からという事は冷蔵庫?


母親「全くもう!誰よ!つまみ食いは駄目ってーえ?!!あ・・あなた?あなたなの?」


父親「〈グチュグチョブチブチグチュグチョ〉」


冷蔵庫の前、何かを食べている。


母親「あ、あなた?ちょ、ちょっと!何とか言いなさいよ!何食べてんの?そんな音する大きい食べ物なんかー・・」


父親「〈ピタ〉・・」振り向いた。


飼っている猫だった。


母親「!!・・・・」 腰が抜けて座り込む。


声が出ない。


父親「ハアアアアアア〈ドタドタ〉」四つん這いで素早く近づく。


母親「ヒウ!!あ、あ〈ガブジュ!ブチブチイ!ブシュウウ〉アアアア!!ギャッギャアハアアア、ウグベ、バハ!〈ドタバタ〉」


首を噛まれ、引き千切られる。


足をバタつかせ、必死で逃げようとするが、通常の細い夫からは想像出来ない腕力で抱き締められ、全く動けない。


高校生の空手娘「〈ガチャン!〉お母さん、なんの騒ぎ?」


母親「あ・・〈グチュグチョ〉ウグハ・・〈ジュルル、ゴクゴク〉ゴハ・・」


娘「お父さん!?何してんの?正気?」


父親「〈ピタ〉ウギバアアアア!!」


立つと同時に走って飛びかかって来た。


娘「いやあアアアア!!」前蹴りで父親の金的を蹴った。


衝撃で少し下がる、がー・・直ぐ様また飛びかかって来た。


娘は必死に壁を背に抵抗し、噛みつかれる寸前に下に避け、両太もも内側を右肘、右拳で攻撃。


父親「イギュル!」 


構わず娘に乗り掛かろうとー。


娘は前転し、かわし、即頭部に蹴り、おでこに前蹴り、壁に当たる後頭部、かかとで首を踏みつけ、ゴックンと音がした。


父親「・・」


動かない。


娘「ハアハアハアハア、何の・・何が・・〈ガブジュ〉え?」


母親が後ろから首に噛みついていた。


娘「ま、ママあ?な、何で?ハアハア、どうして?どうし〈ブチブチイ!ブシャアアア〉あげええ!いや!いやあアアアア、やだあ!死にたくない!死にたく〈ガブ!ガブガブブチブチゴクゴク、ジュルル、ガブジュグチュグチョ、ゴキン、ミチュミチャ〉


見えるのはー。


母親の背中と、揺れる娘の両足のみ。





ニュースではまだ報道されていない。



昼過ぎ。



警察に連絡しようとした人々は、絶望する。



〈現在、通報が殺到しており、逃げるか、最寄りの交番または、頼りになる人へ直接お出かけ頂くか、安全な場所へ避難して頂いております、皆様のご協力に感謝します〉



街には大量のゾンビが発生。


政府は緊急の閣僚会議を開くべく、国会に集まり、報道陣も沢山詰め駆けた。


その人の集団の気配に釣られ、大量にゾンビが押し寄せ、国会は10分も経たず死の館と化した。


生き残った者達はこぞって無料投稿動画に上げ、各自避難を呼び掛けた。



ニュースになる前に、報道陣、テレビ局、国会が次々汚染されていき、映画よりも、もっと早い感染爆発だった。


高等学校。


〈キンコンカンコーン、キンコンカンコーン〉


チャイムの音を聞きつけたゾンビ集団が軽々校門をよじ登り次々侵入。


校舎内からは3階から、または屋上からゾンビ集団と一緒に飛び降りる者が続出。


僅か15分足らずで全滅。



小学校。



中学校では5分もかかったかどうか。



夜。



奴らは休む事を知らず、夜になっても匂いで獲物を追い詰める。


閉じ籠り、バリケードを張る事しか生き残る術はー。


日本、自衛隊は勿論出動出来なかった。


理由は官僚達が全滅し、指揮系統が破綻した為だ。


命令無しでは自衛隊は動けない。



大量に押し寄せたゾンビ達を基地に入れないよう戦ったが、50万人を越える、走る怪力集団には勝てる訳もなく、全滅した。


夜中の1時に発症したとして、自衛隊が全滅したのは、その日の内の、夕方18時。


僅か7時間の間に日本の武力は全滅した。


1週間後。



日本だけではなく、全世界で同じ新型感染症が発生していた。




世界は荒涼とした大地に等しくなった。



だが、まぁ生き残った人類達はいた。


バリケードを作り、集団でしか移動しない奴らに出くわさぬよう、慎重に行動した人々だ。


バリケードは主に高層ビル内。


窓を割り、外に逃げ道を作っておき、ついて来たゾンビ集団をその窓から落下させた。


ビル下には大量の動かないゾンビ達がある。


しかし、ビル周辺には200万人を越えるゾンビ集団。


ビル内に保存してあった巨大地震用の非常食も、後一ヶ月もしたら無くなる運命にあった。


ビル内では非常食を巡って激しい喧嘩が頻発。


もう、皆限界だった。


そんな時ー。



ある時、大音量で格好良い音楽が東京、スカイツリーの頂上から流れた。


スカイツリー内に入っていくゾンビ集団。


あまりに多い為、内部通路に入りきれなかったゾンビ集団は外の鉄部分をよじ登っていく。


通路にも〈シュピーン〉切れる糸。


スカイツリー外にも、スカイツリーから周囲のビル郡に張られた糸、糸、糸、糸。


大音量で流れる格好良い音楽。



釣られよじ登り続けるゾンビ集団。



よじ登れば登る程、切られ、落ちていく。



問題は通路に侵入しているゾンビ集団。


あまりに多い為、糸も押し外れていく。


何重にも張り巡らした糸の罠もあっという間に押し外されていく。


スカイツリーの展望台の外に、何か浮いている。


ビル人「ねえ?何?あれ何?」


ビル人2「・・さあ?何だろう?」


ビル人皆『ザワザワ』




UFO〈はいはーい、一気に一階に降りれまーす、どうぞ、皆さんこちらですよー〉


ゾンビ集団先頭「じぎいいい、しじゃじゃばああ!」


走り、走り、全力で跳んだ。



空中をもがき、もがきー。



UFO 〈惜しい!後30cm!〉


ゾンビ「ぐしゅるはああああああ!!」落ちていった。



UFO〈うるさいなあ、黙って落ちれよ」


次々に落ちていくゾンビ集団。


UFO 〈好奇心、猫を殺すってね、はあーあ、何であたしこんな事やってるんだろ?まあ、いっか、どうせ、ひ ま だし、・・・・ねえ?何やってんの?ねえったら?〉


翼「うるさい」 イノセントを装着し、ビルに向かい歩く。


着色していた。


全身黄色と赤色が目立つ。


明らかにアイアンマンを意識している。


UFO 〈 放っておけば?ここら一帯のゾンビはこっちに来たでしょ?〉


翼「分からんだろ、獲物を決めたらなかなか離れないという性質がある以上はな」


UFO 〈 ち!自滅しようとしてる馬鹿共なんか放っておけよ〉


翼「・・それを、見捨ててたら全人類が見捨てる対象になってしまう」


UFO 〈 あーはいはい〉


翼「やはりな・・」


集団がビル入り口に入っていくのが見える。


上を見ると騒いでいる人々。


嬉しそうに軍隊だあと騒いでいる。


翼「早くしないと中のバリケードが破られる、バリケードの近くまで急ぐ必要があるな、最短ルートは・・ソルーニャ!」


頭部内部〈はいはい、スキャンしたよ、ほら、こうやって行けば?〉


外壁を登り32階建て中、30階部分の窓から侵入し、そこから右、右と曲がればバリケードだ。


翼「了解、モード吸盤〈プシュ!ベタ!〉特殊な吸盤を発射し、壁にくっつけ、それを〈シュ、シュ、シュ〉巻き取る、小さな音だ。


翼の体が宙に浮き、高さ13階へ一気に来た。


指先、足先には細かな爪が沢山あり、壁にひっつく事が可能。


またワイヤーを射出、風の影響で揺れ、壁にくっつかない事もあるが、またやり直し。


このビルは13階を過ぎるとビル回りには同じ高さに相当する建物がない為に、遠くの真上か、近くの真上にワイヤーを射出するしかなかった。


そうして30階の窓に到着、窓を手首の中型ナイフで切り、侵入。


翼「おおい、おおおい!」 叫ぶ。


〈ダダダダダ、バタン、ガチャガチャ、ダダダダダダダ、しぼ、しゃがぎじゃ、ぼがぎゃぎゅ》


だんだん物音が大きくなる。


そしてー。


現れたゾンビ集団。



広い通路を隙間なく埋めながらこちらに無理矢理進んで来る。




まるでゾンビの洪水。



翼「お、おう、こんにちは、本質はお日柄も良くー」


ゾンビ集団じじゅじゅばああああドドドドドド


翼「大変お疲れでしょう」


ゆっくり小走りしながら今侵入した窓に近づく。


ゾンビ集団が追い付くー。


窓の外、斜め上に射出。


ゾンビ集団アジュギイイイ落ちていくゾンビ集団。


翼「・・ゆっくりお休みなさいませ」


まだまだ落ちていくゾンビ集団。


終わったようだ。


窓内部に戻り、バリケードをコンコンノックする。


暫く無言。


外からはスカイツリーの方角から地響きと格好良い音楽が聞こえている。


翼「助けに来た、後15分から30分の間にここら一帯のゾンビらは全滅するだろう、だから後1時間後にここを出れば良い、分かったかな?」


ビル1「あ、あんた軍隊なのか?」


ビル2「一体何者なんだ?」


翼「ん?ん~・・はて?なんと答えたものか・・」


ビル皆『ザワザワ』


翼「ゾンビ殲滅部隊とでも名乗ろうかな、ふふ」


ビル皆『ふざけるな!貴様!こんな事になった原因を知っているのか?知っているんだろ?どうせ、政府やら何かの機関が作ったウイルス兵器が何かの事故かテロで漏れ出して、それでこんな事態になったんじゃ、ないのか?ええ?どうなんだ!』


翼「いや、原因は知らないな、すまんな」


ビル1「何だとてめえ!だったら何でてめえ生きてる!さっきまでここに居た奴らはどうなった!」


翼「死にました、ビルから落としました」


ビル2「どうやって?俺たちも落として殺してるが、規模が違った筈だぞ!?どうやってあんな大量の、しかも、そっちには何もロープや、吊り場はない筈だぞ!どうやったんだ?」


翼「ああ、もういいや、面倒くさい、んじゃあ、私はこれで、後1時間後に出てくださいね、ではでは〈プシュ!〉


ビル皆『おい!おい!まだ話は終わってないぞ!おい!何か知ってるなら教えてくれ!外は、軍隊は活動してるのか?苦には何か対策を練っているのか?おい!おーい!答えろ!答えないと中に入れてやらないぞ!おい!返事しろ!おおーい!』


バリケードの前には誰も居ない。



UFO 〈 あ、落ちきったみたい〉


翼「そうか〈パアアン、キュウン〉ん?お?撃たれた?」


頭部に何か当たったような?感触があった。



頭部内部〈撃たれたね、どうする?〉


翼「音声拾える?」


UFO 〈任せて、ほーいよ〉


?「ザザ当たったのに!凄い、あれならゾンビ共も目じゃねえわ!絶対手に入れてやる!」


UFO 〈 ・・だって、どうする?〉


翼「挨拶しよう〈パシュ!ビュオオ!!〉


真横に消えた。


スナイパー「あれ?どこ行った?早く探せよ!」


補助「待てよ待て!ええっと、うーん、どこだあ?どこに〈ビタ〉どこに行きやがったあ?〈ビュオオ、ガチャン!〉!!は?何の音ー」


翼「よう」


補助「!!〈パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンカチカチカチカチ〉糞、糞糞糞糞糞〈シャカ、カランシャカ、ジャカ、シャカーン、パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンカチカチカチカチ〉嘘~・・」


スナイパーも応戦したが、同じく効果は無し。


翼「俺がゾンビを退治してるのは見てたんなら解る筈だぞ?何故俺を殺す?」


補助「そのアーマーさえありゃあ何だって自由だ!殺しも!女だって!そいつを寄越せえ!」


スナイパー「そうだあ!早く寄越せえ!寄越せないとお前を殺すぞ!早く脱げよ!脱げええ!」


翼「・・居るんだなあ・・こんな馬鹿共現実に・・」


ソルーニャ「これだから人間はなあ・・救う価値無いんだよなあ・・」


翼「こんな人間ばかりじゃないさ」


ソルーニャ「どうだか?」


翼「おいおい」


補助「何ごちゃごちゃ言ってる!?早く脱げって言ってるんだよ!この馬鹿!聞こえねえのか!このや〈ゴシャ!ボキン〉りゅ?う、うえ、え〈ドシャア〉


ただの裏拳で首が背中まで回り、即死。


スナイパー「あ?〈パアアン、パアアン、パアアン、パアアン〉」


翼「・・」 弾きながら普通に歩く。


スナイパー「う、うっく!糞!糞お!うぎゅ〈ボ!〉」


腹を蹴り上げられて空中に浮かび、ゆっくりとビルの上から落ちていった。


ソルーニャ〈今度からああいう奴らがどんどん出てくるよ?〉


翼「いいさ、馬鹿は死ななきゃ治らない、全員悪は殺す、殺しても良い世の中になったと浮かれている馬鹿は、殺される順番になって始めて後悔するんだろうな馬鹿だからな」


ソルーニャ〈良い覚悟じゃん〉


翼「まあな」〈ヒュイイイイ〉


UFO が空から降りて来た。


UFO 〈まあとりま、今日は帰ろ?お腹空いたし、ね?〉


翼「ああ、そうだな」〈ガシュン、ウイイイ、ヒュボ!〉


飛び去った。


そんな連日が続いたある日。


夕方。


いつものように崖途中にある屋敷から飛び出し、東京へ。


いつものように戦い、いつものように人々を助け、いつものように去ろうとしていたら声をかけられた。


美女「あ、あの!」


翼「ん?何か?」


美女「あ・・あなたはどこから来てるんですか?どこか安全な場所があるんですか?」


翼「・・」


美女「良かったら、私達もそこへ避難させて貰えないですか?」


翼「・・」


美女「まあ、どちらにせよ、助けてくれて有り難うございます、良かったら、少し休憩していかない?味噌汁があるの、乾パンもあるのよ?」


翼「・・」


美女「ほら、こっち、こっち!」


手を引っ張り、暗いビル内へ。


皆『ザワザワ』 お出迎え。


男「君が話題のヒーローか・・凄いね、そのアーマーはどこから?自衛隊の?」


翼「・・」


男2「な、なんとか言ってくださいよ~、国は?自衛隊は?アメリカの兵隊は?一体どうなっちまってるんだ?なあ?答えてくれよ~?」


翼「・・」


男3「黙ってないで、なんとか言えって!」


男4「あんたが乗ってくるあの乗り物は?ありゃあ・・何かな?」


男5「まあまあ、皆さん、とにかく一旦落ち着いて」


眼鏡をかけた、優しそうな男がなだめる。


眼鏡「彼も疲れているでしょうし、それに、我々は彼を質問責めにする為にここに招いた訳ではない、違いますか?」


皆『しかし、ザワザワ』


眼鏡「彼も何か事情があるのでしょう、お礼にお味噌汁を飲んで頂いて、彼に一息ついて貰って、話はそれからという事で如何でしょうか?」


皆『う、うーむザワザワ、まあ、命の恩人ですし・・、武井さんがそう言うなら・・』


眼鏡は武井さんらしい。



武井「決まりですね、ではご案内します、我々の秘密基地をね」


翼「・・」 ついていく。


二人で、見回る。



発電機が回り、ライトがあちこちに点いている。



翼「・・」


武井「ここは大雨や、洪水が起きた時に、一時的に水を貯める場所なんです、はは、皆細々と暮らすしかありません、あなたみたいなスーツを着ていれば戦えるのに・・あ、いや、失礼、貴方には貴方なりの事情がある、それは解っています」


翼「・・」 黙ってついていく。


武井「ここが食堂です、水食料はここで管理されています、だけど、どんなに節約しても、もって数日というところでした、貴方が来なければ・・外の怪物達を退治してくれなけば・・私達は飢えで死んでいた筈だ、本当にありがとうございました」


深々とお辞儀。


翼「・・」


武井「私らは弱いですから、戦えません、しかし、貴方は違うようだ、どうか、私達に戦える術を教えて頂く事は出来ませんか?」


翼「・・」


武井「・・いや・・すみません、つい、ははは・・どうぞ、こちらです」


食堂の椅子に座り、乾パンと味噌汁が出てきた。


1人分だけ。


武井「皆のお礼です、どうぞ食べてください」


翼「・・〈キュ〉」 指先に味噌汁を浸ける。


ソルーニャ「あちゃあー、睡眠薬検出」


翼「私をどうする気だ?睡眠薬なんか入れて」


武井「!!」


?「わあああ!〈ガンガンガンガン〉」 鉄パイプで頭を叩いてくる青年。


それを見た大人達もこぞって戦う。



網を投げる者。


ロープでぐるぐる巻く者。


鉄パイプで叩く者。


スイッチを必死に探す者。


マイナスドライバーで何とかこじ開けようとする者。


金槌で叩く者。


武井「早く!早くするんだ!」


?男「だ、駄目だあ!スイッチなんて、どこにもねえよ、ねえって!マジねえって!」


翼「私は・・」


皆『《ピタア》』


翼「あなた達を助けたのに、この仕打ちは何だ?説明を求める」


武井「ふ・・ふふ・・助けた?ふふ・・助けただ?ふふはははは、あ~はっはっはっは!」


皆『クスクス、ひひひ、ぶははは』


武井『よくも・・」


翼「?」


武井「よくも助けてくれたなあ!ああ?おい!やっと死ぬ口実が出来たのにい!皆で自殺の方法も考えてたんだあ!ううっくう・・ひっぐ、ひっぐ、な、なのに・・急にお前が現れて希望が出来ちまった・・い、生きなきゃ、糞、糞お!お前のせいで生きなきゃならなくなっちまったんだぞコラアアアアア!!」


皆『そうだあ!どうしてくれんだあ!責任取れえ!そうよ!最後まで、助けてよお!助けてよお!ワクチンは持ってんのかよ!持ってんだろ!持ってんなら作り方知ってんだよな?な?作れるんだろあんた?だろお?皆死ねる筈だったんだ!あんたが生かしたせいで、この絶望の世界を皆生きなくちゃならなくなった!最後まで、面倒みれやボケえ!それが出来ないなら拷問してでも、知ってる事全部吐いて貰うからなあ!』


翼「・・」


ソルーニャ「ね?解ったっしょ?人間なんてこんなモンだって、見捨てちゃいなよ、要は屋敷の人間だけでまた一から文明を作れば良いじゃん、屋敷には助ける人数入らないんだし・・ね?」


翼「・・」


武井「あなたが、助けたせいで、私達はまだまだ生きなければならない可能性が上がってしまったんです、あなたには助けた者達を救い続ける義務が発生します、そうじゃないなら、あなたは自己満足に浸るヒーローごっこをしている子供と何も変わらない」


皆『そうだ、そうだ!そうよ!』


武井「今回初めてじゃないでしょう?人々を助けたのは、今まで助けた人々の、その後の生存は?確認してますか?」



翼「・・」 していなかった。



武井「その沈黙は答えたようなものです、貴方は強い、貴方はそれで、良いでしょう、・・貴方が、去った後は?我々は、どうなるんですか?」


翼「・・」



武井「ここを、離れるならば、せめて何か情報とか、そのスーツは、一着ではないのなら、その中の一着だけ、いえ、有意義な武器・・そう、あの・・貴方が使っていたあの切れる糸だけでも良い、貸して頂く事は出来ないでしょうか、お願いします」


座ったまま椅子に縛られ、黙って聞いていた翼の耳に何かが聞こえた。


ソルーニャ「この音、感染者の悲鳴に違いはないけど!何か変!袋が大きいよ!推定体重600キロ超え!」


翼「・・確かに・・」


武井「え?」


翼「あなたの仰る通りだ、私は助けた者のその後の生存は確認してはいません、私はヒーローごっこを楽しむ子供だったようだ」


武井「じゃ、じゃあ!?」


翼「最後まで見ましょう」


ソルーニャ「んええ?あんた何言って?本気?睡眠薬は?許すの?マジで?」


翼「ああ、それから凄い戦いになりますので、皆さんはお子さん達を連れてもう少し奥に避難してください」


武井「え・・」


翼「では〈シュラン〉行って来ます、必ず帰ってきますから、じゃ!〈パシュ!ビュオ!〉」 肘、肩、腕部分のナイフが一瞬出て、ロープを切り、立ち上がり、ワイヤー射出、飛んで行ってしまった。


武井「おおい、ここは分厚い水圧にも耐えられるドアで塞がってるから大丈夫だぞー?ぉーぃ?」


翼の耳には聞こえていた。 


暗闇を飛ぶ最中。


真っ暗闇のトンネルをソルーニャが自動で射出し、自動で巻き取る。


暗闇だけが、続く。


静かだ。


だが翼の耳には集音装置があり、音を増幅させる。


因みに、耳の許量を超える音は遮られる仕組みだ。


ソルーニャ「・・今、破られた」


翼「・・ああ」


ソルーニャ「凄い数!逃げよう?ね?」


翼「諦めろ、全 て が 遅 い」


ソルーニャ「ぶー」


翼「・・」


暗闇の静かなトンネル。


飛び続ける。


ソルーニャ「人間って解んないなあ、あんたはもっと合理的だと思ってた」


翼「だからこそ、だ、ボスは?」


ソルーニャ「さあ?雑音酷くて」


翼「一対一に持ち込むのは無理か・・」


ソルーニャ「無理無理」


翼「あれをやる」


ソルーニャ「えー、やだなあ」


翼「仕方ないだろ?」


ソルーニャ「ああもう話は終わり、始まります、10、9、8、7」


翼「・・〈ピピピ〉〈カキン〉 切れる糸の手榴弾のスイッチを押しー。


〈ギュウウウウウウウウウーーー・・・・ズタアン!〉着地。


〈ヒュオ〉 投げた。



〈ビビン〉 切れる糸が張られる。


翼「ここから先には通す訳には行かない・・振動ブレード発動!」



ソルーニャ「ぶー、これうるさいから好きじゃー」


翼「来るぞ!」 〈ズダダダダダダダダダダダダダダズドドドド〉


段々音が大きくー。



《ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ》


ゾンビ洪水が来た。


トンネルを隙間なく使い、押し寄せる。



まず切れる糸で細かく切れていく。


が。


水 圧 で 直ぐに意味が無くなる。



ソルーニャ「は、発動!」


翼「ふん!」


背中から脇へ、脇から腕へ、腕から飛び出した細い棒?長さがかなりある、7M? あまりに細い。


頼りない。


釣り用の竹で作った竿のようだ。


ひゅんひゅんしなる。


両腕だ。


棒が2本。


その棒がー。


《ピキギギ》 割れた


まるで竹箒。


割れた隙間は青く光っている。


翼「高周波ブレードの200倍の切れ味を誇るー・・らしいぜ?」


ソルーニャ「らしいって何よ!」


翼「食らえ・・切れる・・ええと・・ほうき?」


《ヒュイイイイイイイイ》 ほうきの音がうるさい。



《ヒュカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ》


トンネルは特殊なコンクリートで出来ているが、そのほうきがコンクリートに当たった所だけ削られる。


箒というだけあり、攻撃範囲、面が広い。


触れただけで感触がなく切れる。


軽い。


ぶるぶる震えるだけで怒涛の勢いのゾンビの洪水がミキサーより静かなミキサーで切られ、細かな肉片になっていく。


翼「おおー、凄いなあ」


ソルーニャ「でっしょお?ふふん♪」


翼「・・片付いた」


洪水が収まった。


ソルーニャ「まだ試験段階だったけど、良いデータ取れたわあ、うれぴー」


翼「・・」


ソルーニャ「?・・ああ、ボス?んー・・音は聞こえないけど?」


翼「いや・・来る」 箒を構え、《ヒュイイイイイイイイ》また発動。


ソルーニャ「はあ?音は全然ー」


翼「黙ってろ!」


ソルーニャ「ぶー」


翼「・・」


暗闇「・・」


翼「・・」


暗闇「・・」


《ボ!》


翼「!?」《キギャン!!》 吹っ飛ばされー、《ズガ、ガンガン、ズガガガ、ガズザザアアアアアア・・》トンネル内を無作為に弾かれ、かなり遠くまで、飛ばされた。


翼「何だ!?今のは?攻撃の分析は?・・おい!?ソルーニャ!?まだか?おい!?ソ《バチチ、チチチ、バチバチ》・・おい・・嘘だろ・・」


頭部は、半分裸になっていた。


ソルーニャは心臓部が頭部にあった為、死んだのかもしれない。


翼「ソルーニャ!?おいソルーニャ!?応答しろ!?ソルーニャ!?ソルーニャあああ!?」


返事はない。


翼「ヒサイカタガネは最強じゃなかったのかよ!?くそ!・・左目は・・生身で暗闇・・右目は・・モニターは生きてるが・・それでも、紫外線、サーモ、でも何も見えないぞ?乱射するが・・それでも50Mはいける筈だぞ・・何か撃ってるなら、この暗闇で50M以上から?は!そんな訳ー《キギャン!!》くうウウ!?《ド!ドド!ドガン!ガガン!ガガ!ガガン!ガガジャジジャアアアアア》


翼「《ビジジ、ジジジジ、バチバチ、チチチ、バジジ》・・」気絶。



左頭部に酷い出血。



《ボ!》


《ボ!》


《ボ!》


《ボ!》


何かが速く通っていく。


しかし、翼には当たらない。


暫く続きー。



1時間後。



《にちゃにちゃ、にちゃにちゃ、にちゃにちゃ、にちゃにちゃ》


何かが近づいて来る音が聞こえる。


スライムみたいなデブ人間が来た。


泡ふくれだらけ。


奇怪な姿。


妖怪水ぶくれ。


化物「アアア、ウアアアアア、じゅびゅぎじぁあアアア」


どんどん近づく。


10M 手前まで来た。


その時、1人の少年が銃を持って走って来た。


まだ中学生。


少年「俺がやってやる!〈カタカタカタカタカタ〉」 震えている。


少年「俺が助けるんだ!俺が!俺が!俺が皆を!俺があ!〈カタカタカタカタカタ〉」〈パン!〉〈キュウン〉外した。


化物「!ウアアア 〈ぷくーーーーーーー〉」


風船みたいに大きく膨らんでいく。


化物の口が細い。


空気銃。


その威力は空気の気圧力により差が出る。


空気の塊は吐き出された後、元の圧力に戻ろうと広がる。


その広がるのが当たった瞬間なのだとしたらー。


なるほど。


この威力にも納得がいく。


要は空気爆弾銃。


恐るべき武器だ。


少年の前にかなり膨らんだ化物。


少年「あ、ああ、うあ、ご、ごめんなさ・・」


化物が吐き出すー《ズゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!》


化物の横からトンネルに穴が開き何かが化物に突っ込んだ。


ドリルが回っていたがー。


化物の身体は強力なゴムのスライム状で、巻き付き、ドリルが止まってしまった。


ソルーニャ《ち!やっぱ駄目?駄目だよねー?》


少年「ひ!は、ひゃえひしぇひぇい!?」


ソルーニャ《そこの少年!》


少年「ひゃい!?お、おりゅ?、おりゅ?」


ソルーニャ《そ!君だ君!そこで死んでるボンクラの胸の真ん中にあるボタンを押して》


怪物「ウアアア〈ぷくーーーーーーーーー〉」



ソルーニャ《早く!》


少年「は、はいい!」ボタンを押した。


ソルーニャ《押した?》


少年「押した!」


ソルーニャ《そしたらボンクラが来てるアーマーが外れるから早く外してこのアンパンマン号に乗せて!》


少年「へ?アンパンマン?」


ソルーニャ「名前はどうでも良いじ《ボ!!》バジジジジジ、バチバチ》


アンパンマン号に大きい穴が開いた。


化物「ウアアア〈ぷくーーーーーーー〉」


少年「あ、ああ!!穴が!穴があ!」


ソルーニャ《大丈夫だから!だから早くそいつを早く!アンパンマン号に!早くう!》


少年「!は、はい!」


鎧を外し、外し、外し、外し、ずるずる必死に引きずる。


化物「ーーーーーー」 吐き出そうとー。


した瞬間、出発し、《ボ!!》 バックでかわした。


《ギョアアアアア!!》 掘り進んでいく。


中に入った少年。


気絶している翼。


ソルーニャ《とにかく、手当てしないと!》


少年「地下の広い工事現場があるよ!?そこに僕達暮らしてるんだ!」


ソルーニャ《そこ案内出来る?》


少年「任せて!」


ソルーニャ《任せた!》


少年「うん!、じゃあ・・ええっと・・左!《ギャアアアアア》うおお!?」 急旋回。


ソルーニャ《死んだら駄目だよ、翼、今新しいスーツ作ってるから!死んじゃ駄目だかんかね!》


掘り進むアンパンマン号。


おやすみなさい。

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