【十三章】危険信号 〜侵される精神〜 3
【削除のお知らせ】
クロス・ガーディアンを読んで下さっている皆様にお知らせです。
この度、読みづらいということと、ラストがグダグダしているという理由で、クロスを削除することにしました。
8月10日より、毎日一話ずつ削除をしていく予定です。
リメイク版のアップ予定は今のところ未定ですが、なるべく努力はしたいと思います。
ではでは、いつかまた会いましょう(´艸`)
有澤透真
翌日、沈む気持ちを無理に引き連れて、力と姫は学校に出ていた。
しかし、その二人の姿は授業時間中にも関わらず屋上にある。
力は携帯を片手に、彼の肩に頭を寄せて、まるで甘えているかのように落ち込んでいる姫の栗毛色の髪を撫でていた。
昨日の今日で、淀んだ気分が一変して澄み渡る、というような非現実的なことは、願ったとしても、まず起こり得ない。
祐也が落ち着きを取り戻せたのか、そうであってもなくても、彼が今どうしているのかが気になるばかりの姫の顔からは、彼女に一番似合う笑顔がすっかり消えて無くなっていた。
「……ああ、わかった。要にも伝えといてくれ。じゃ、後で」
通話を断ちながら、力は姫に開口一番で緊急の用事を伝える。
授業中に突然掛かってきた見夜都からの電話は、そのくらい気を急かす内容だったからだ。
「……祐也がいなくなった。ちょっと探してくるから」
「えっ?!」
姫が感じた驚きと疑問は、要も、そして見夜都でさえも既に味わっていた。
加えて、力もこの話を聞いた時には何かの間違い、又は病院側の勘違いではないのかと首を捻った。
四人の人間が揃いも揃って同じ感情を抱いたのは、決しておかしなことではない。
厳重に鍵がかけられ、出入りがこの上なく制限されているはずの閉鎖病棟に、彼等の仲間は入院しているのだから。
姫は困惑を打ち出した後、思い立ったように力の腕にしがみついた。
「あたしも行く!」
ダンボールの中の子猫が『拾って』と必死に懇願しているような彼女の眼。
女の『お願い』にどこまでも弱い力にとって、子猫の頼み込みは抜群の破壊力を持っている。
しかし、立ち上がって車の鍵を出した彼は、それに惑わされることなく、厳しい表情で突っ返した。
「お前は残ってろ。今はここの方が安全だ」
「嫌っ! あたしも」
「姫!!」
瞬間的な激情に駆られていた力は、気がつくと勢いよく彼女を壁に押し付けて、とっさに何かを口走ろうとしていた。
明らかなイラつきを眉間に醸し出して。
しかし、もしも言ってしまっていたなら、最愛の彼女を泣かせるだけでは済まなかったその言葉を、喉の奥に引っ込めて胸にしまった。
祐也と正反対で、平和にやり過ごす為なら言いたいことを我慢し、必要があれば嘘だってついてしまう力の性格。
ライオン頭は姫の髪を掻き上げて、右耳に唇を押し当てる。
「言うこと聞かないと、ベッドの上で失神させちゃうぞ……」
囁かれたのは吐息混じりの甘い声。
その言葉もやはり、嘘であった。
言葉通りのことをした経験は今までに何度かあったが、大事な婚約者にそれをやるつもりは更々無い。
またしてもプレイボーイの技を巧みに悪用し、我が儘を言う彼女をねじ伏せた獣。
彼の目論み通り、全身を竦めた姫は、顔を熱で赤く染めてへたり込んでしまった。
「お利口さん!」
力は素っ気なく安心をして、足早に屋上を去る。
そして姫を学校に残したまま、殺し屋達との合流点である華園インターに向けて車を急がせた。




