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物理を1から作りましょう! ――見習い神様の世界創造  作者: するめいか英明
第1章 慣性の法則
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第2話 ちゃんと動くかな?

『物理法則1:止まっている物体は、他の影響がない限り、止まり続ける』




「じゃあ! 次は動きを入れてみようか! 石が1個あるだけで止まってると、動かないことがもう確定しちゃったね。じゃあ、どうしたら動きが入るかな?」


 先生がそう言うと、ボクたちはまたウンウンと唸り始めた。


 するとすぐにサラミちゃんがバアッと明るい顔を見せて


「最初から石が動いてればいいっ」


 と言った。サラミちゃんが細い腕を振りかざすと、止まっていた石が動き出した。




 ―=≡● 「ビューン」




「そうね! さっき作った物理法則は、『止まっている物体』についてのルールだから、『動いている物体』については好きに設定できるわけ!」


 と先生が言い、今度はサラミちゃんの肩を嬉しそうに叩いた。


 サラミちゃんも照れくさそうに笑っていて、ボクはちょっとドキッとした。


「じゃあ最初から動いている石は、その後どう動くか決めようか!」


 するとサラミちゃんがぴょんぴょんと飛び跳ねて手を上げた。


 サラミちゃんの柔らかそうな髪がふわふわと舞った。


「ねね、あのね、そのまま、ずっと、動き続けるっていうのは? だめ?」




 ―=≡● 「ビューン?」


    ↓


 ―=≡● 「ビューン?」




「いいよ! 『そのまま』ずっと動き続けるんだね!」


 先生がそう言うと、今度はさっきのルールの下に、新たな文字が浮かび上がってきた。




『物理法則2:動いている物体は、他の影響がない限り、【そのまま】動き続ける』




「れれ? 変なカッコ、ついちゃったよ?」


 サラミちゃんが指をさす部分を見ると、確かに【そのまま】と書かれていた。


 すると先生は両手を腰につけて、フフーンともったいぶりながら言った。


「失敗しちゃったね! このカッコは、意味が定まってない言葉に付くんだよ!」


 そのまま、という言葉に何か問題があったのかな?


 そう考えていると、ボクはふとあることを思い出した。


「さっきの石、ちゃんと『そのまま』動いてない!」




 ―=≡● 「ビューン?」


    ↓


 ―=≡● 「ビューン?」




 その石の動きをもう一度よく見る。


 左から右へ「ビューン?」と動く。



 ―=≡● 「ビューン?」




 すると左に一瞬で戻ってまた右へ「ビューン?」と同じ道をたどる。




 ―=≡● 「ビューン?」




 これじゃ何度も繰り返しちゃってるだけで、「そのまま」動いてくれてない。


 普通に考えて、「そのまま」というのは同じ動きを繰り返すという意味じゃないのに。


「そうだね! じゃあハムくんが考えた『そのまま』っていう言葉は、どういう意味なんだろう?」


 先生がそう問いかけたけど、どうしてかボクには手も足も出なかった。


 普通に考えてそのまま、ということを、どうやって説明すればいいんだろう?


 だって、普通は普通だもの、説明しようがないと思う。


 こんなの、なぞなぞみたいなものだよ。

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