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異世界捜査官〜異世界チートは違法です。〜

作者: えつ

 見渡せばそこは一面レンガ造りの町並みに町人や商人が聞いたこともない言語で賑わっている。その街で浮いた服装の二人が並んで歩いている。一人は着物を着こなした身長180cmはゆうに超えている大男。一人は小柄で童顔な女性、慣れない都会に周りをキョロキョロと見回しており、何処か田舎臭く見える。

 しかし、服装は町人たちとは違いスーツを着こなしておりどこか違う世界から来たような風格が感じられる。


 すると、目的のものを見つけたのか大男が女に小さく耳打ちする。

「当たりだ、奴がいたぞどうする?」

女は、当たり前のように今回の目的である勇者、沢辺を見やりながら答えた。

「もちろん保護するに決まってるじゃないですかスーさん」

「お前……俺の事はスサノオ様とよべとあれ程……っておいヒスイ!!」

 スーさんと呼ばれた男が怒りをあらわにしているところ、ヒスイはそれを無視して沢辺に近づいていった。


 沢辺 光輝、いかにも異世界の勇者よろしくの名前、更に顔の造形も良い。その上、実際にこの世界で勇者をやっている。ヒスイは沢辺のプロフィールを思い出しながら。余計なことをしてくれたこの世界の神に殺意を芽生えさせながら沢辺の肩をそっと叩く。


「あの?なんでしょうか?」

 沢辺はスーツ姿の女性とその後ろに居る大柄で和服を着た男に怪訝しそうな目線でそう尋ねた。

 彼のパーティメンバーの女性たちも何か異様な気配を感じたのか杖を構えたり剣に手を掛けていたりと臨戦態勢を整えていた。そんな中でヒスイは手帳型のある物を沢辺に見せつけ

「えーと、私は異世界捜査官 櫻島ヒスイです。貴方を地球に戻すために派遣されました」、と真顔で言ったのだ。

 それには、沢辺も驚きで固まりパーティメンバーたちは沢辺の困惑した表情に何とも言えない空気を滲み出すのだった。


〜〜〜〜〜

 時は遡り2ヶ月と半月前だ。櫻島ヒスイ(25)は3年かけて院を卒業した後に就職するはずだった。

 しかし、どこで間違えたのだろうかヒスイは100社全て落選、後が無いどころか就職で詰んでしまったのだ。


 銀行から借りた多額の学費、就職出来なければ間違いなく奨学金破産というやつだ!両親は生きている……だがこんな事言えるる訳が無いのだ両親の期待を裏切りたくは無い。

 だが、手元にある不合格の通知が現実をヒスイに突き付けヒスイは涙を浮かべながらアパート飛び出した。

 就職活動でボロボロになった二足目の靴がコツコツと音を奏でる。我武者羅に走った先には小さな社がポツンと建っていた。


 鳥居の付け根には天照大御神と書かれており奉っている神が天照大御神だとわかる。こんな末端にもアマテラスの社があった事に驚きながらも何かの縁だと思いヒスイはその気なしに境内へ入る。

 夕焼けが沈み暗くなったそこはいつもならうぜ気味悪く感じるのだが今はどこか神聖なものに感じるのだ。そしてヒスイは社に手を合わせて大きな声で

「アマテラス様どうか内定の決まった者達に不幸をかけてください!」

と言い放つ。ヒスイ自身なぜこんな事を言ったのか分からなかったのだが言えたことにスッキリしている。


「あ〜もうホント、どうしよう奨学金破産とか人生オワタもう死にたい」

そんな事を口ざさ見ながら踵を返して帰ろうとすると

「嬢ちゃん、ちょっと待って遅れ!」

と社の方から爺さんの声が聞こえたのだ。

振り返ると、白ヒゲを生やした筋肉質の爺さんが息を切らして居る。

「ゼウス〜!ちょっと待ちなさいよ!先に突っ走って。ここは私の社なのよ!!」

その後ろからは、小学生低学年ほどの可愛いらしい幼女が出てきたのだ。


 突飛なことに固まるヒスイ。目の前の二人はギャーギャーと騒いで喧嘩中だ。騒ぐたびに二人の周りが黄金に輝くのは何かの仕様なのかそう言うの機械があるのだろうか。

 まず、二人が出てきた社は中に人が居ればすぐわかる作りなのだ非科学的な出来事にヒスイの頭は更に混乱し……


鈍い音をたててヒスイは倒れ気絶したのだった。

〜〜〜〜〜

──知らない天井……ここは……

 ヒスイは高い天井を眺めながら単純にそう思った。すると耳元から女の子の大きな声が聞こえる。

「あっ!!気が付いたのね!ゼウスー気がついたみたいよー!!」

「五月蝿いぞアマテラス。彼女も困惑してるではないか。」


 ──ゼウス……アマテラス……この人たちって……

 いきなり会話に出てくる神の名にヒスイは戸惑いを隠せない。

 「見ろ、アマテラスのせいで困惑してるではないか!」

「違うわよ!あんたがそんなに大きいからビビってんのよ!ねっ、ヒスイちゃん」

 そう言うと、アマテラスはヒスイに抱きつき頬ずりをする。その頬は餅のように柔らかく肌はとてつもなく滑らなだった。

 成されるままにされるヒスイはその時やっと声を出せた。

「あの……お二人は何者なんですか?」


「「神」」


 即答だった。何当たり前の事聞いてんの?って言う顔で即答されたのだ。それには流石のヒスイも困る。思わず「あ、神か。神なのか」と納得してしまいそうになるくらいには困ったのだ。

「とにかく、ここは何処であなたちは何物なんですか。私、帰らないといけないんですけど」

 ヒスイの困りきった言葉に二人は少しの間を置き、ヒスイの目を見て言い出した。

「そうね……まず言うけど私たちは嘘もつかなければ貴方に危害も与えないわ」

 アマテラスを名乗る少女とゼウスを名乗る翁の真剣な眼差しと神聖な雰囲気にヒスイも素直に「はい」と答える。


 「まずここは高天原よ。そして私は天照大御神、んでこのでかい(ジジイ)がゼウスね。そして私たちは貴方たち人間の言う神って存在よ。OK?」

 何か隣の爺さんが憤慨しているがヒスイはそれを流して「お……おーけー」とぎこちなく答える。

 実際、二人からは思わず平伏したくなるような雰囲気のようなものが漂っている以上ヒスイは信じる以外の選択肢はなかった。

「そこで私たちは貴方を異世界捜査官として雇いたいの!」

「はぁ!?」

驚く声にゼウスが笑顔でこう添えた。

「給料は月30万ボーナス2回、週休2日、年に4日と6日間の連休の義務と有給があるぞ」

「はい、喜んで」

 一瞬だった……。それはもうナチュラルに流れる川のように迷いなくヒスイはアマテラスの手を握っていたのだった。


〜〜〜〜〜


思いつきで書いた作品。


本当は

「あなたの失踪した息子さん今嫁が5人いますよ」

「は?」


という冒頭で行くつもりでした。(と言うかこのセリフが急に頭に浮かびこの内容になりました。)

そして、異世界転生を地球の神様が黙って見ていないだろうなとも考えました。そこでそれなら地球の神様目線で書いても良いんじゃね?と思い書いちゃいました。

次回は、別の男の子主人公で書いてみようかと思います。しっかり完結させてね。2万字行けたらいいなと思います。


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