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弱者を演じる魔物使い~それでも俺は弱者です~(仮)  作者: かこのいさん
第一章 アーセウス コロモ村編
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まずはモブを演じよう

ザルテからいろいろと聞き出しながら歩いていると村についてしまった。結局レベル上げしてないな…


「よし、村についたな。アキトはどうする?」


「えーと、宿なんかはあるのかな?」


「そりゃあ、あるに決まってんだろ。昨日俺が泊まってた宿紹介するからアキトもそこに泊まんな。」


「ありがとう!」


「おう!それよりお前金あんのか?」


「………ごめん。ちょっとお金見せてもらっていい?」


「なんだぁ?そんな堂々と泥棒発言して」


「違うよ!ただ見せてくれるだけでいいから」


「ま、まあいいが…ほれっ」


「おっとっと」


ザルテが投げたものを危なげなく取った俺は、もう片方の手にあるものと交互に見た。

間違いないな。


「はい、ありがとう」


「おう。いきなりどうしたんだ?」


「なんでもない。それよりお金はあるよ」


「そうか?なんだったんだ?」


「いいからいいから」


もちろん、ザルテからお金を見せてもらったのにも理由がある。俺のステータスを見る限りでは金はいっぱいあるようなのだが、この世界では使えるのかはわからなかった。いちよう、ザルテと村に向かっている間にこっそりスマホを見て、お金が実体化できるのを知っていた。そこで、ザルテのお金と実体化させといたお金を見て、同じものだと確認したのだ。

ちなみに、この世界のお金は絵が違うだけで日本円とまったく同じだ。1円玉~500円玉。1000円札~10000円札となっている。言い方は500ジェルとか1000ジェルとなるが。ザルテが投げたのは500ジェルだった。

まずは、宿に行って状況の整理と、今後について考えよう。



ーーーーーーーーーー



宿屋につき、俺とザルテは別々の部屋に泊まることにした。宿代を払う際に、ザルテに『一人で寂しくないのか?』とか『一緒に寝てやってもいいんだぜ』とか言われていたが、気持ち悪く感じたので拒否した。

誰が男と一緒に寝るかっ

それに、一人でいろいろ考えることがあるし確認したいこともある。ザルテは邪魔だ。


「そんじゃ、俺はいったん村長の所に依頼報告をしてくる。アキト本当に一人で大丈夫か?」


「大丈夫だよ。気持ち悪いなぁ」


「なっ!純粋に心配してる人に対して、なんだその態度は!」


「わかってるよ。こう見えてもここまで野宿とかしてきたから、いまさら宿がどうなんだって話だよ」


「それもそうか…ったく、生意気なガキだ」


頭をかきながらザルテは宿を出て行った。さて、俺も部屋に行くか。




ーーーーーーーーーー



「ふう、やっと一息つける…」


部屋についた俺はベットに腰かけ、今日の出来事を振り返ってみる。


「疲れたなぁ…」


そう、なんやかんやとここまで来たはいいが、本当に疲れた。いきなり変なイベントが始まったと思ったら、別の世界に飛ばされてテンパりながらもモンスター倒したり、この世界の人とコミュニケーションとったり…何ともないように振る舞っていたけど、やっぱきついな。


「母さん心配してるかな」


あっちの世界で俺はどうなっているんだろう。行方不明?それともいなかったことになってる?今となっては確かめようもない。


「まぁ、帰る方法ははっきりしてるからいいんだけど」


そういいながら俺はスマホの電源をつけ、モンサモを開きイベントの所を見る。



イベント『帝国の支配者と異界の勇者』


ミッション 帝国の支配者リズベル討伐 未

ミッション 帝国の七魔天将討伐 0/7未

サブミッション 帝国が進行中の炎の国を守れ 未




クリア条件 リズベルと七天魔将討伐完了

※クリア後地球へ帰還可能



この一番下に書かれてる内容だと少なくともイベントをクリアすれば元の世界に帰れるようだ。


「それならさっさとクリアして帰ろう…と言いたいとこなんだけどそうもいかないんだよなぁ」


このイベントクリア条件のリズベルと七天魔将討伐、これだと最低8人は倒さなきゃいけない。七天魔将やリズベルがどれほど強いのかもわからないし、今の俺自身、強力なモンスターを召喚できないぶん不利だ。

となると力をつけたり、情報も集めなきゃいけないから結構な時間がかかる。


「やるしかないか…」


早く帰りたいのは確かだが、これは自分で始めたことなんだ。覚悟を決めるしかない。


「それよりも七天魔将やリズベルを倒して目立ってしまう方が心配だ」


そう、俺の信条には『目立てば碌なことがない』というものがある。実際、中学時代……

いや、あの日のことは考えない方がいい。

なんにせよ良くも悪くも目立つのは、絶対に嫌だ。目立った分だけ厄介ごとに巻き込まれるのは目に見えている。でも、倒さないとクリアはできない…まあ、目立たないようひっそりと倒せばいいか。


「自分の強さも隠さなきゃな」


今はまだレベルが低いため大したモンスターは召喚できないが、レベルが上がるたびに強いモンスターが召喚できるようになる。強者と思われれば目立ってしまう。それだけは避けなければいけない。


「というわけで、俺はモブを演じる」


モブとは背景だ。例えば、主人公たちが派手にボスモンスターを倒しているときに、ひっそりと雑魚モンスターを狩っている者達のことを示す。


「俺はモブとして背景の一部となり、誰にもこの強さがばれないままイベントをクリアしてやる!」


そうだ!俺は目立たないためならなんだってやってやる!出来る範囲でだけど。それに、もしかしたら俺の他にも、プレイヤーが来ているかもしれない。あわよくば、そのプレイヤー達に倒してもらえばいい。


「さて、モブを演じるのはいいけど、まずは、レべ上げかな」


明日、ザルテと別れたら隠れてレべ上げだ。さっき聞いた話だと、近くに大草原っていう初心者向けの狩場があると聞いたから、そこでいろいろ検証もしよう。


「そうとなれば、明日に備えて寝るか…」


いそいそと寝る準備をして、俺は横になる。

絶対目立たずにイベントクリアしてやる!



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