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弱者を演じる魔物使い~それでも俺は弱者です~(仮)  作者: かこのいさん
第一章 アーセウス コロモ村編
4/39

子供は便利だ

ゴブリン達を倒したことによって俺のレベルが上がった。

現在のステータスはこうなっている。



ステータス

アキト(12)

LV3

体力14

魔力9

攻力9

防力9


モンスター864/1500

アイテム/装備品349/1000

ガチャポイント165128

ジェル26269308

イベント

ショップ

地図



ひとつレベルが上がるごとにそれぞれの力が2ずつ上がっている。これだと、レベルが100になってもステータスは200前後ということになる。最上級のモンスター達のステータスは簡単に1000は超える。頑張っても一人では最上級のモンスター達には敵わないということか。

それでも、モンスター相手にある程度戦えるならそれでいい。

モンサモでの真骨頂は、モンスターを使った戦いだ。魔力が200になれば、強力なモンスターが10体は召喚できる。それに、今だとあとひとつ魔力が上がれば、レアなモンスターが何体かは使えるようになるし、あいつも召喚できる。これなら、この辺のモンスターは大丈夫なはずだ。


「確か、近くに村があったはず」


王都の前に、地図にはいくつかの村があった。俺のいる場所から数キロの所にはコロモ村という村がある。まずは、そこで体を休めよう。


「村に行く前にまずは、ある程度レベルを上げないとな」


村に着く前には、あいつを召喚できるようにはしておきたい。あとひとつ上がれば召喚ができるから、あと2、3体はモンスターを倒さなきゃいけない。まあ、村に着くまでには上がっているだろう。


「さてと…ん?」


何やら金属がぶつかり合う音が聞こえる。誰かが戦っている?

とりあえず、様子を見に行こう。



ーーーーーーーーーー



音のする方へ行ってみると、案の定、人らしき者とモンスターが、剣を交えていた。モンスターは…ゴブリンソルジャーかな?

ゴブリンソルジャーはさっき戦ったゴブリンと同じノーマルモンスターだが、ノーマルモンスターの中では、中位のモンスターとされている。そんなゴブリンと生身で戦えるということは、それなりのレベルがあるということか?

戦っているのは、茶色い髪をした、冒険者風の格好をした男だ。


「グギィ!」


「ふっ!はあっ!」


「グキャー!?」


どうやら決着がついたみたいだ。隙をついて頭に剣をおとし、とどめをさしたようだ。ゴブリンソルジャーの基本ステータスは、攻防平均70前後。今の俺ひとりではとても勝てない。それを悠々と倒したあの男は、やはり、なかなかの実力者なのだろう。


「さて、どうするか…」


あの男は見たところ、見た目どうり冒険者なのかもしれない。なら、道案内をしてくれるかも。だけど……いや、声をかけるべきか。


「おい、入るのは分かっている。出てこい!」


「っ!?」


突然男が俺の方を向いて、出てこいと言う。隠れていたのがばれていたようだ。ここは、素直に出てきて事情を話そう。


「出てきたか…ん?子供?」


「えっ?」


今、俺を子供と言ったか?いやおかしい…目の前の男に近づいて気づいたが、この男の歳は俺と同じか少し上ぐらいに見える。なのにこの男は俺を『子供』と…聞き違いだろうか?


「おい、なんでお前みたいなガキがこんなところにいるんだよ?」


「んん?」


やっぱりおかしい…明らかに俺のことを子供扱いしている。俺の歳は17。ここ最近は、子供っぽいなんて言われたこともないのに。


「あ、あの…」


「なんだ?」


「俺ってそんなに子供っぽいですかね?」


「子供っぽいも何も完全に子供じゃねぇか」


「……」


あ、あれー?完全に子供?見た目からして同じくらいの人に子供って言われちゃたよ。確かに背は高いなーとか思ってたけど。


「す、すみません。ち、ちょっと待ってください」


「ん?あ、ああ」


俺は男に断りをいれて、自分の姿を改めて見てみた。


「……」


「おい、どうした?」


男に心配されているが、今はそれどころではない。

この世界に召喚された時、服装が冒険者っぽくなっているのには気づいていたが、容姿は気にしていなかった。いや、気にしている暇がなかった。いきなり別の世界にこさせられて、状況を整理するためにも、今必要がないことは、頭のすみにやっていた。だが、男の発言によってはっきりした。


「俺、子供になってんじゃん…」


って、いやいやいやいや!?なんで若返っちゃってんの俺!?

何をどうしたら若返っちゃうんだよ!と、とりあえず、まずは落ち着こう。


「そういえば…」


そういえば、ステータスの名前の所に数字が書いてあったな。あれ、今の俺の歳ってことか?なら今の年齢は12歳ということに…いやいやだからなんのために!イベントが長期的になりそうだからか?いや、それだと本来の歳でもいいはずだ。何も若返る必要はない。何か別の理由があるのかもしれない…

まずそこはおいといて、自分の顔も確認しよう…


「大丈夫か?」


「う、うん。大丈夫だから、もう少し待って」


「ああ、わかったよ」


この人、案外優しいな。それよりも顔だ。スマホの画面からある程度は見えるはずだ。


「…なるほど」


そこにあったのは確かに俺の顔だった。しかし、そこに写っていたのは、子供の頃の自分そのものだった。


「はぁ…」


「もういいのか?」


「うん、もう大丈夫」


とりあえず、見た目のことはいい。どうせ変えようもないんだし。今はとにかく怪しまれないようにするべきか。


「お兄さん、実は俺ね…迷子みたいなんだ」


「なるほど迷子か」


子供は迷子って定番だよな。本当は迷子ではないけど、今はこれでいい。あともうひとつ嘘をつこう。


「家は何処だ?送るぞ?」


「いや、迷子は迷子なんだけど、家に帰るわけじゃないんだ」


「ん?家出か?」


「違うよ。俺は冒険者になるために王都に向かってるんだ!」


「なに?冒険者に?」


通用するか?俺の考えでは、冒険者を目指して旅をする子供をイメージしているが、冒険者がこの世界に存在するかもわからないし、歳も若すぎるかもしれない。だか、冒険者はあるはずだ。モンサモでは、俺達は冒険者と呼ばれていたからな。


「冒険者になるには若すぎなんじゃないか?見たところ11、2歳くらいだろ?冒険者になるには最低でも13歳ぐらいじゃないときついぞ?」


「えっ、そうなの?母さんも、父さんも許してくれたよ?」


「お前の親は心配してないのかよ…」


「『お前は大丈夫だ』って見送ってくれたよ」


「まだ幼い子供を見送る親とはいったい…それよりお前強いのか?」


「もちろん!俺の力見せてやる!はぁ!」


俺はスマホを弄ってスライムを召喚する。いろいろリスクがあるが、試したいことがあるからだ。


「へぇ、召喚か。でもスライムか」


よし。


「どうだ!すごいだろう!」


「はっはっは、確かにすごいな。スライムを召喚できるなんて」


「だろう!」


明らかに俺を小馬鹿にしているが、それでいい。これが、子供なんだ。それに、いろいろと確かめられた。


「よし!ガキ、俺についてきな!近くに村がある。実は俺も冒険者で、依頼があってここまで来ていたんだ」


「そうなの!?やっぱりお兄さん冒険者なんだ!」


「ああそうだ。」


「すごい!」


「ああ。ただ、ひとつ注意しておこう。モンスター召喚ができるのは確かにすごいが、スライムだけじゃあこの森は危険だ。モンスターには遭遇したか?」


「まだ、モンスターには遭遇してないよ」


「そうか、ここまでモンスターに遭遇しなかったのは運が良かったな。遭遇していたら確実に殺されていたぞ」


「ええっ!?そんな…」


「それほど、ここは危険なんだ。次来るときは他の冒険者と一緒にくるんだぞ」


「……わかったよ。次からは気をつけるよ」


「よし、良い子だ。ついてこい」


「うん!」


我ながら名演技だな。今なら天才子役と言われてもいいはずだ。

とりあえず、怪しまれることなく村まで付き添ってくれるようにできた。それに、いろいろと情報もとれた。

まず、モンスター召喚はこの世界にも存在していること。それと、この歳でモンスターの召喚ができるのは珍しい可能性があること。他にも、スライムは下級モンスターだと認識していることや、冒険者が13歳からでないとなるのは厳しいこと。まだまだ、情報が仕入れそうだ。


「そうだ、名前何て言うんだ?」


「俺はアキト。お兄さんは?」


「俺はザルテ、よろしくな!」


「よろしく!」


いろいろと話を聞きながらザルテと共にコロモ村へと向かった。

子供は便利だね。







………そういえば、レベル上げてねぇな。





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