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弱者を演じる魔物使い~それでも俺は弱者です~(仮)  作者: アルマ次郎
第三章 アーセウス 冒険者編
30/39

弱者とは

「どうしたの?」


「えっ、えっと…」


黒目黒髪の俺と同じぐらいの身長をしたイケメン野郎の勇者が現れた!

なんなんでしょうね、これは?どれだけ面倒なことが起きれば気が済むんですかね…神様?仏さま?運営様?これは誰かの陰謀じゃないのか?

なんで、注意しなければいけない人物に立て続けに合わなきゃいけないんだ!いや、まだ大丈夫だ。勇者は俺のことを知らない。あの時俺は、村人達に祭り上げられる前に出て行った。だから、名前は知っているかもしれないが、見た目については知られてないはず。ここは、素早くこの場を離脱だ!


「えーと、なんでもないよ…それより、あの騒ぎだっけ?あれは、ザルテっていう冒険者が他の冒険者と喧嘩してるんだ」


「また、ザルテさんか…教えてくれてありがとう」


「ああ、それじゃ!俺も用事があるんで!」


「あっ、ちょ……行っちゃった…見たことない顔だったな」



ーーーーーーーーーー



「はあ、はあ、はあ…ここまで来れば…」


なんとかあの場を離脱し、依頼の場所、王都外の原っぱまで出てきた俺は一息ついた。


「さすがにこれ以上は何も起きないだろ…それにしても、これじゃあ完全に俺はモブでなくなったな」


周りから俺は完全に認知されてしまった。勇者にも見られた。これによって、どうあっても背景に戻ることはできなくなった。つまり俺は、モブから登場人物へとクラスチェンジしたってことだ。登場人物は、モブとは違い主人公の周りによくいる連中のことだ。モブは背景で周りから認知されない。しかし、登場人物は主人公を、時に導いたり、時に助けたり、時に恋に落ちたりと、物語を盛り上げてくれる存在になる。


「このままだと、普通に目立ってしまうなぁ…」


そう、あの勇者はザルテのことを知っていた。しかも、さん付けで呼ぶぐらいだ。あの二人はそれなりの仲なのだろう。となれば必然的に、俺と勇者は知り合いになってしまう。それだけで、どれだけの注目が集まるか…考えただけでぞっとする!


「だからこそ、弱者なんだ」


『弱者』とは、力が劣り弱い者のことである。

『弱者』とは、他者から期待されないものである。

『弱者』とは、『強者』につく寄生虫である。


弱者ってのは、強者に惹かれてどんどん近づいてくるものなんだ。その中に紛れていれば、俺のことを気にする奴も少ないだろう。ただ、注意しなければいけないのが、勇者と親密な仲になることだ。

勇者と親密になれば、周りからの嫉妬や妬みが来て、違う意味で目立ってしまう。勇者とはある程度話す仲でいればいい。


「だが、それも難しいんだよな…」


ザルテと勇者は仲がいいはずだ。となれば、ザルテが俺のことを話していないはずがない。少なからず、俺に期待を寄せているザルテのことだ、俺の自慢話だってしてると予測してるべきだ。つまり勇者は俺に興味を持っている可能性が高い。興味を持たれれば、どうなるかわからない。だからこそ弱者を演じて、勇者の興味を逸らさなければいけない。


「次会う時が楽しみだよ勇者君…絶対に君の俺への興味を引っぺがしてやる!」


まあ、まだ俺に興味をもっているかはわからないんだけどね。


「さてと、とにかく今は初依頼を終わらせるか…あれ?あそこにいるのは…」


「あっ、ザルテさん!いましたよ!」


「ああ!あんなところに!おーい!アキー!」


「なんでだよ…」


ほんと勘弁してほしい…俺に恨みでもあるのか?

どういうわけか、勇者とザルテが一緒に王都の門前で俺に手を振っている。ザルテと勇者の仲は予想通りってとこか…とにかく、予想より早い再開になったが、計画通りに事を進めるしかない。



ーーーーーーーーーー



「お前なあ…なんで何も言わないで出てくんだよ」


「いやあ、なんか忙しそうだったから」


「待っててくれてもいいだろう!」


「あはは、あっ、君は…」


「やあ、さっきぶりだね」


俺の前まで来たザルテは俺に文句を言ってきた。そしてついに、勇者との完全な接触。さあ、弱者を演じようか。


「なんだお前らあってたのか?」


「さっきすれ違ったんですよ、ザルテさん」


「そうだったのか…アキ、こいつは今噂の勇者様のサトルだ!」


「へえ…この人が!?」


「あはは…そんな大げさなもんじゃないよ…ってあれ?君、アキト君だよね?前にコロモ村で見てなかったかい?君もいたはずだけど…」


やっぱり、俺のことを知っていたか…まあ、ここは無難に…


「確かにあの村で起きたことは俺も見ていたよ。だけど、君の姿はちゃんと見れてなかったんだ。そのあと用事で違う所に行ってていなかった」


「そうだったんだ。それであの時いなかったのか…あっ、名前は何て呼べばいいかな?ザルテさんも呼び名を変えてたみたいだけど」


「ああ、ザルテと同じでアキって呼んでくれ。俺としてはそう呼ばれたほうが楽だ。」


本当は、お前や他の人たちからのカムフラージュに使うつもりだったんだが…もともとそう呼ばれたりもしてたからアキでいいか。


「わかった、俺はサトル。よろしく、アキ!」


「よろしく」


「あっ、そうだ。…ザルテさん、ちょっとアキと2人で話したいことがあるんだけど…いいかな?」


「…んっ?ああ、いいぞ。同じ歳の若者二人、話したいことも色々あるだろう。俺はその辺で暇つぶしてるから行ってこい」


「ありがとうございます」


ザルテよ、お前もまだ若いだろ?

それより、どうしたというのだろうか?二人で話したい事とは…なんかあったかな?



ーーーーーーーーーー



「さて、ここならいいかな」


「えっと…二人で話したい事って?」


「ああ…実は…さ、君に聞きたい事があるんだ」


「聞きたい事?」


何を聞きたいんだ?俺と勇者に何か接点でもあったか?あっても同じ年齢で、同じ黒目黒髪で、同じ日本人っぽい名前で……って、まさか


「変なこと聞くんだけどさ、アキって日本人?」



どうやらここが、正念場らしい。


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