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弱者を演じる魔物使い~それでも俺は弱者です~(仮)  作者: かこのいさん
第一章 アーセウス コロモ村編
3/39

スライム最強説

「ゴブリン…か」


俺の前にはゴブリンがいた。数は…五匹か、まさに冒険の定番だな。


「グゲェ」


「グギィ」


ゴブリンはすでに俺を狙っているようだ。まぁゴブリンだし大丈夫だろう。そもそも、ゴブリンはモンサモにもいた。というより、モンサモのゴブリンそのものだ。

モンサモのゴブリンはモンサモを始めた頃に出てくるモンスターで、レア度はノーマルの下位、序盤で簡単に倒せるモンスターの一体だ。訓練にはもってこいのモンスターだな。


「フッ」


「グゲェ…」


「グギィ…」


どうやら不敵な笑みを浮かべる俺に困惑しているらしいな。よし!


「フフフ…さらば!!」


「「「「「グゲェ!?」」」」」


フフッ、俺がいきなり逃げ出したことに、驚いているな。どうして逃げるんだとでも思っていそうだ。

逃げるのは当たり前だろう。なんせ…


「どうやって倒せばいいかわからん!!」


いや、まじで今は無理!

モンスターを召喚して戦うのは確かなんだが、まだその方法を確かめてないから、モタモタしているうちにやられちゃうでしょ。とりあえず今はいったん逃げて安全な場所でその方法を探ろう。


「グギギィー!!」


「グゲェ!」


むう…なかなか追いすがってくるな。でも、直接戦えば俺は簡単に負けるだろう。なんせ、今の俺のステータスはゴブリンにも劣っている。なんせ、あの下級モンスターのゴブリンでさえ攻力50近くはあったはず。俺の攻力、防力はそれぞれ5だ。


「…うん。勝てる気しないね。」


直接戦うのは無理だ。そもそもモンサモは、モンスターを使って戦うゲームだ。プレイヤーが直接戦うようにはできていないのだろう。それでも、俺自身にも攻力、防力が追加されているということは、自分自身でも戦うことがあるかもしれないということだ。だが、まだその時ではない。


「まずは、逃げ切ることだ!」


俺は森の木々を利用して、なんとかモンスターをまくことに成功した。


「ふう…まだ安心はできないけど、とりあえず大丈夫かな」


大丈夫とは言うが、とりあえず木の陰に隠れてモンサモのアプリを開く。

見るのはモンスターの所だ。



召喚

強化

進化

売却

モンスター閲覧表

図鑑



変わっているのは、モンスター編成だった所が、召喚になっている所かな。モンスターを出すのは、この召喚の所だろう。

……なるほど出したいモンスターを選択して召喚の所を押せばいいのか。単純だな。


「とりあえず、こいつがいれば勝てるか。『いでよ我がモンスター!!』…なんてね」


俺がここに来て初めて召喚するのは、青い色で、プニプニしていて愛嬌がある。そう、スライムだ!

正確にはブルースライムだけどね。


「…今、魔力5しかないからこれしか召喚できないんだよねぇ」


………………………あれ?やばくね?ゴブリンより弱いよね?そういえばスライムのステータスって、功防どちらも20ぐらいだったな。………………………………………やばいじゃん!?えっ、これやばいじゃん!ただでさえゴブリン一体のステにも負けているのに、それが五体って。


「グギィ」


「グゲェ」


「あっ」


あれ?おかしいな?今日雨降ってたっけ?体が濡れてきたよ?でも、空は晴天だぁ。うーん…あっこれ汗だ!


「「「「「グゲェェー!!」」」」」


「ヒィィィーー!!」


やべぇよ!あっち五匹。こっち一人と一匹。勝ち目ねんじゃね?


「グッゲッゲ」


「ギッキッキ」


やばいよ。あっちのあの余裕そうな笑い。完全に舐められてんじゃん。いきなり俺つんだのかな?ハハハッ。

それよりスライム君、俺のまわりを嬉しそうに飛び跳ねてる場合じゃないよ?君の下に落ちてきてるのは雨じゃないよ?俺の汗だよ?


「ギッギッギ、グゲギャ、グギ」


「ギギ、ギグギ」


ハハッ、どうやって殺すか相談でもしてるのかな?どうとでもなれ!!


「ギギィ、ギィー!!」


「「「「ギィーー!!」」」」


あの中のリーダーっぽいゴブリンが指示を出して、残り四匹のゴブリンが俺とブルースライムに襲い掛かる。ああ、さよならアウルス、さよならモンサモ。これで俺の物語は終わ…


「なんてね。やれ、ブルースライム+99」


襲いかかる四匹の前に飛び出したブルースライムは、ゴブリンたちの攻撃すべてを自身の体で受け止めた。


「ギギィ!?」


「グゲ!?」


「驚いてるとこ悪いけどそのブルースライム、ただのブルースライムじゃないよ」


やはり、ゴブリン達は驚いているな。まあ、ただのスライムに自分たちの攻撃が受け止められたら驚くだろう。ただのスライムではないけど。


「ギギィ…」


「ギギグ…」


「言葉は通じないと思うけど、いちよう説明するとこのブルースライムはただのブルースライムじゃない。正確にはブルースライム+99だ」



そう、こいつはブルースライムではなく、ブルースライム+99だ。モンサモに出てくるスライムたちは基本的にとても弱い。どんなに強化しても、功防どちらも70前後、レベルをマックスにしたとしても100にも届かないだろう。(ちなみにゴブリンレベルマックスだと100前後)今いるゴブリン一体には勝てるかもしれないが、複数にはまず無理。これがスライムの限界となってしまう。

しかし、ここでスライムだけにできる…いや、他のモンスターにもできるが、とてもめんどくさい方法がある。それは、同モンスター合成による限界突破というものだ。合成というより融合と言われていたが。


「この限界突破はレア度が高ければ高いほどめんどくさいものなんだ」


限界突破は同じモンスターどうしを合成させることでできる。例えば、普通のブルースライムに、もう一体のブルースライムを合成させれば、限界突破が起き、ブルースライムのステータスが上がる。そして限界突破が起きたモンスターには決まって名前の後ろに+◯◯とつく。その数字が高ければ高いほど、限界突破を多く起こしていることになる。


「ちなみに、このブルースライムは、同じブルースライムを98体合成させたからブルースライム+99になっている。さらに、ついでに言うとブルースライムの限界突破は+99までだ。それ以上はできない。」


限界突破はモンスターのレア度が上がれば上がるほど出来る回数が減っていく。スライムはノーマルモンスターなので+99まで上げられる。ゴブリンも+99まで上げられるが、自然に+99まで行くゴブリンはそうそういないだろう。つーか、いたらびっくりだ。


「というわけで俺のブルースライム+99のステは普通のスライムの倍以上はある。これだと、下手なレアモンスターよりは強い部類に入る。それに、見たところゴブリン達は、レベルも3~4ぐらいだと思うのでこのスライムには勝てん」


なぜこんなモンスターを持っているかというと、あるイベントでひたすらにブルースライムを限界突破させなければいけなかったからだ。あの時はほんとしんどかった…


「まぁ、ゴブリンに言葉は通じないようだから、説明しても意味ないんだけどね。証拠に俺のスライムとずっと戦ってるし…」


つーか、まったく聞いてないし!俺の説明が入ってから、今もなおスライムとひたすらに格闘中だよほんと!これじゃあ独り言と変わんねぇよ!……はぁ、なんかむなしくなってきた。


「おーい、そろそろぶっ倒していいぞー」


「キュキュ!!」


「へー、スライムってキュキュってなくんだ…あ」


俺がスライムのなきかたについて考えようかと思っていると、スライムの突進によってゴブリン達が吹っ飛ばされている所だった。


「あっさり終わっちゃったな」


やっぱスライム最強だ。




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