修行場所を確保しよう
ゲルガ村へたどり着いた俺とエルバはこの後どうするのか、話し合っていた。
「それじゃあ、俺は薬を届けてくるよ。エルバ兄ちゃんは?」
「俺はすぐにでも軍に合流しなければいけないが…お前が薬を届けたら送ってやってもいいが…どうする?」
「大丈夫だよ!エルバ兄ちゃんは今すぐにでも軍のところに行って!俺は少しだけここに滞在するつもりだし、これ以上は兄ちゃんに迷惑はかけたくない」
「お、おお。そうか…それじゃあ俺は行くが、しっかりな」
「うん、立派なモンスター使いになってみせるよ!」
「その意気だ!じゃあな!」
「うん!またいつか!」
こうして、なんとかエルバと別れた俺は、病気の知り合いの元へ………ではなく、いったん体を休めるために宿屋へと向かうのだった。
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宿屋へとついた俺は、一休みしつつ召喚方法『サモン』を実行しようと考えていた。
「成功するかはわからないけど、やるだけやろう。失敗しても、『サモン』といいながらスマホの召喚を押せばいいだけだし…よし、『サモン』フルメタルブルースライム!」
『サモン』と唱えると俺の体から何かが抜けていくような感覚と共に、小さな魔法陣が出現。そこから、俺のよく知る、メタスラがいつもどうり現れた。
「成功か」
「キュ!」
ゴブリンの森以降久しぶりだからか、メタスラは嬉しそうに俺に抱き着いてきた。メタスラを撫でつつ、俺は今の『サモン』について考えてみる。
「『サモン』と唱える以外は変わらないな…召喚方法が楽になるからいいけど」
俺がスマホを使って召喚するときは、モンサモで召喚を押すだけだが、そのあとに自分の魔力が抜ける感覚がし、目の前に魔法陣がでてそこからモンスターが現れる。召喚されるところは完全に一緒だ。むしろ、いちいちモンスターを選択して召喚を押す必要がない分こちらの方が楽かもしれない。
「デメリットもなさそうだし、召喚はこっちでやるのは決まりだな。それよりも、これからどうするか…」
なんだかんだとここまで来たが、やはり王都に行くのは速すぎる。この村に居ても、いずれあの軍の人達も来るかもしれないし…
「どこか、別の場所…いや、レベルもあげたいから、一人でレベルを上げられる場所…そう、修行場所がほしいな」
王都に行くのも、ここに長くいるのもまずい。実際に王都に行くのはいいんだが、ザルテに見つかると面倒だし、レベルを上げたいのも事実。なら、しばらくあまり人が来ない場所でレベルを上げながら身を隠した方がいいだろう。
「誰も来なくてレベルを上げられる場所か。なら、強力なモンスターが出る場所とかだよな」
強力なモンスターがいる場所なら、並の冒険者なら来ないだろうし、強い冒険者が来ても隠れればいい…
その他にも人が寄り付かない場所とか、隠れやすい場所などいろいろと知りたい。となれば、この村で情報収集するしかない。その前に…
「疲れた。情報収集は明日にして今日はもう寝るか」
そして俺は限界まで来ていた目を閉じ、意識を手放した。
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朝。さっそく俺は村で、修行場所になりそうなところについて聞きまわっていた。
「ねえおじさん、この辺で強いモンスターがいっぱいいたり、人があまり来ない場所とか知らない?」
「ん?そうだなぁ…この辺だと、ゴブリンの森やウルフの森があるが…そういえば、『太古の大森林』なんかはこの辺でも有名だな」
「太古の大森林?」
「そうだ。そこには伝説の龍がいるらしくて誰も寄り付かないらしい。もともと、強力なモンスターが闊歩していて近づけないってのもあるが」
「へえ、伝説の龍か」
「坊主も近づいちゃだめだぞ」
「わかってるよ」
何人かに聞いてみたがそろって『太古の大森林』と答えていた。そこにいる伝説の龍についても知りたい。もう少し聞きまわってみよう。
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「『太古の大森林』って強いモンスターがいっぱいいるの?」
「ああ、いるな!俺も挑んでみたんだが、森の入り口らへんにいたモンスターを見ただけで中に入るのを諦めたよ」
「そうなんだ…じゃあそこにいる伝説の龍ってなんていうの?」
「ああ、そいつはスピリチュアルドラゴンと呼ばれているらしいぜ。本当にいるかもわからねぇんだがな。だが、最近ある噂も流れてきてるんだ」
「スピリチュアルドラゴン…ん?噂?」
「そう、なんでもそのスピリチュアルドラゴンが千年に一度の出産時期らしくて、この辺だけでなく王都や他の国でもちらほらと噂が立ってる」
「そんな噂があったんだ…」
「王都の奴らは基本不干渉と公言してるが、どこぞの誰かが狙っているかもしれねぇ…まあ俺も見てみたいと行ってみたが、このざまだ。あそこに行ってもほとんどの奴が諦めるさ」
「ありがとう!面白かった!」
「おいおい、坊主は行くなよ…」
「大丈夫、太古の大森林について知りたかっただけだから」
「そうか?」
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いろいろ聞きまわったおかげで、そこの強力なモンスターについてや、伝説の龍についても聞き出せた。俺の表情を見て訝しんでいる奴もいたが、仕方がないだろう。なんせ…
「スピリチュアルドラゴンだって!?聞いたことないぞ、そんなモンスター!!ああ!早く見てみたい!あわよくば手に入れたい!」
少なくともモンサモにはスピリチュアルドラゴンというモンスターはいなかった。だが、伝説の龍と言われるくらいだ。少なくともURぐらいの価値はあるんじゃないだろうか?おかげで、話を聞いている際ずっと頬が緩んでしまわないよう頑張っていたくらいだ。
「よし!『太古の大森林』で決定だ!絶対に見つけてやるぞ、スピリチュアルドラゴン!」
こうして俺は、もう少しで日が暮れるのも気にせず、ゲルガ村を飛び出していったのだった。




