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当たり前の言葉

作者: 尚文産商堂
掲載日:2011/12/31

「ねえ、私のこと、愛してる?」

そのたったワンフレーズを、俺はなんども繰り返す。

「ああ、愛しているよ」

当たり前すぎて、答えがわかっていても、きっと、君は安心したかったから。

だから、俺はその言葉を繰り返した。

それが、本心じゃなくても。


付き合いだしたのは、高校生の頃。

よくあるパターンだ。

彼女から見て、部活の先輩というだけだった俺だが、彼女が1年生から2年生に上がろうという頃、おれに告白をした。

俺はその時は、失恋したての恋愛恐怖症になりかけの、小さな男だった。

一度は断ろうとも思ったが、彼女のその眼を見ているうちに、断れなかった。

そして、何度もデートを繰り返しているうちに、彼女とは徐々に意識がずれていくことが分かった。

なんとなくのことだが、会話がかみ合わなかったり、俺以外の何かをじっと待っているかのような、そんな感じだ。


それでも、今でも付き合い続けているのは、惰性であるところが大きい。

どちらもわかっていながら、傷つけるだけだとわかっているから、なかなか言い出せれない言葉がある。

でも、それは今日も言えない。

だからこそ、俺たちは明日も付き合っていく。

明後日も、明々後日(しあさって)も。


互いをだましあいながら、永遠に付き合っていく。

それが、俺たちが決めた道だから。

どちらかが言うまでは、これで行こうと決めたから。

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