ポーカーフェイス
「はぁ、今日も離しかけることができなかった。」
誰も居なくなった教室で、ポツリと呟く。
「こんな私、嫌い。」
独り言のはずなのに、なぜか空しく木霊する。
片思いして、どのくらい経ったんだろうか。
この期間で、彼と交わした言葉は数えられるほど。
他の女の子の呼びかけには反応するのに。
私が勇気を出して声をかけても、無視。
無視、無視、無視。
なんか、とっても悲しくなって
声をかけることが、軽いトラウマになりつつある今日この頃です。
「はぁ。」
今まで何回ついただろう、彼を思ってつくため息。
私の目は、いつも彼を追っている。
今だって、そうだ。
陸上部で、長距離の選手の彼はグルグル、校庭を走っている。
真剣な表情である一点だけを見て走る、彼のその姿が好きで、
いつも、気がつかないうちに何十分も彼を見ている。
そんな事をしている私に気付いたとき、恥ずかしい様なちょっと嬉しいような、不思議な感情になる。
そして、顔を埋めていつも口にする言葉。
「なんて、恥ずかしいことしてるんだろう…。」
この一言で、さらに恥ずかしさが増してゆく。
ふと彼のほうを見ると、彼もこっちを見ていた。
視線がぶつかり合う。
どっかで聞いたことがある気がするが、
時が止まったように、一瞬が永遠に感じた。
私は、ずっと見ていたかった。
でも、話すことができない私にとってそれはとっても大変なことだった。
私は、自分の足を見ていた。
何分か過ぎ頬の火照りが冷めたころ、私は走り続ける彼の姿をみた。
ほんのり頬が赤くなっていて、こっちを見ている。
明日、話しかけてみよう。
大きな声で、はっきりっと。
朝の挨拶からはじめてみよう。
私は、頬たたき気合を入れた。
軽く、実話です。
今私がしている恋もこんな感じです。
片思いをしている方・恋を成就させた方、ぜひ感想や評価をください。
お願いします。