黒猫とその人はやって来る 1
日曜日。朝の六時半に家を出る。
休日も学校に行くなんて、と普通は思うのだろうけど、私にしてみれば、一日を自宅で過ごすことほど気の休まない時は無い。まだ学校で部活をやっていた方がマシなんだ。
自転車を漕いで、いつもの道で見かける休日の関係無いいつものヒトたち。
垣根の前で一日中朝顔を眺めているお婆さん。ガードレール前に立っている血塗れ片足の少女。最近になって良く出会う、首に生々しい縄の後を付けながらも毎日通勤しているサラリーマンさん。
目新しいことは何も無い。今日も何事も無い平凡な一日だ。私にとってはだけど。
でも、今日は違った。とても大きく違った。
今日から私は非常識の玄関から、非常識の住人に引き込まれて行く。夜の世界へ。
自転車で十分、電車で十分、露花駅。後は十分歩いて露花高校。少しは気分良く目的地に着けると思ってた。
駅の柱に貼ってあるいつもの一枚のポスターが私の目に止まる。黒い下地に白い文字。普通のポスターじゃないのは分かる。何か不思議な感じがするから。
私と同じにミえる人が居るかも?私の問題を何とかしてくれるかも。
このフラットを訪ねてみようか何度も迷い、何度も私の引っ込み思案な性格が勝っている。
私の頭に突然、強い衝撃が走る。
「な~に、見てんのかな~、幽霊女」
竹刀袋で肩を叩きながら嫌な笑みを浮かべる男。本当に嫌な奴に会ってしまった。
「何、幽霊でも見えてんのか~?幽霊とお話し中かな~?」
いつもの嫌味。言い返したところで意味は無い。というのは、言い訳。悔しくてしょうがない。私は言い返す勇気が無いだけなんだ。
黙って堪えている私に、気分を良くした先輩は、私なんか居なかった者にして去って行く。恐らく、今日の部活の前に、あの先輩から駅の柱の前で何かを見ていた霊感後輩の話が面白可笑しく語られる事だろう。
少し部活に出たく無くなって来たけど、サボったら余計何を言われるか分かったものじゃない。家には帰りたくない。
行くしかない。どっちみちこれが私の日常だ。気味悪がられ、蔑まれる。もう覚悟…、諦めは着いた。
そんな私の日常は先生によって変えられていく。
ハイ、女の子を主人公にしてみました。
書けるのか?天見酒よ?いや、書くのだ!天見酒よ!
更新遅くてすいません!頑張って早めに更新をします。