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愛した人は死んでもやって来る 5

腹に俺の愛刀が刺さり、ぐったりと五芒星の上に横たわるオニ、いや、オニだった者。


「邪気も抜けて、少しは落ち着いたか?」


煙草を口から外して尋ねると首を動かし口を動かす幽霊君。


「ご迷惑を掛けました。すいません」


由子ちゃん同様に礼儀正しいね。関心だ。


「僕はルール違反ですよね。これからどうなるんですか?」


夜空を眺めながらそう聞いてくる。


「そいつは俺の知ることでも、決められることでも無いな。閻魔様に聞きな。そこまでの道は開いてやるよ」


「それでは、お願いします」


これまた素直だね。もう少し足掻いて貰いたい気もするけどね。まぁ、そう急くことも無いでしょう。


「十分間だけやる。彼女と御別れしろよ。また、こっちに帰って来ないように未練を全て棄てて置いてけよ」


由子ちゃんを残しその場を離れる俺達。幽霊君が許しを乞う涙声が聞こえた。

何を謝っているのだろうか。こっちに戻って来たこと、彼女を怖がらせたこと、それとも死んでしまったことか。まぁ、俺には関係の無いことと割り切ろう。死んだ人間が何を思うか何て分かりようも無いしね。



十分後、彼は在るべき場所に帰った。ただただ泣き続ける由子ちゃん。俺達に掛ける言葉もあるはずなく、このまま公園で朝日を拝む訳にも行かず。


「クロ、ケイちゃん。由子ちゃんを家まで送ってあげて」


俺の指名した二人に促されて歩き出す由子ちゃん。少し冷たい対応だったかな?


「由子ちゃん。さっき、リュウさんが意味が在るから存在し、存在するから意味があるって言ったよな?」


泣き顔で振り返り、頷く少女。


「今、ここに彼は存在していた。それがどんな意味があるのか。良く考えてあげな」


まぁ俺って、人生の後輩に助言を与える良い大人ですね。

お節介かも知れないが言わずにいれなかったのが本音だけどね。由子ちゃんよりも、俺がセンチメンタルなんだ。



三人の背中が闇に消えたところで、リュウさんが煙草の灰を落としながら口を開く。


「それで、お前はあのオニが存在した意味をどう捉えるんだ?」


鋭いことで、先手を盗られた。それを聞くためにリュウさんと残ってデートしてるのに。


「おかしいよな~。悪霊がこんなに早くオニに成るなんてね。リュウさんの見立ては?」


眼を細めながら、流し眼を送る中年男性。社長とかにやられたドキドキするんだけどなぁ。


「あの幽霊の恋人への想いがとても強かった」


オニになるには十年かそこらは負の想いが必要。その説だったら愛って偉大だね。


「それか、他の強い邪気に曝されたか…だな」


俺もそっちの説を指示するね、オニさんが急に現れたら。


そして、確信はないが俺とリュウさんが同時に想い描いているだろうアイツの顔。アイツが関わってる可能性。


これはこれはとても面白いことになりそうだ。愉快な狂乱の幕開けかな。

やっとこさ、一話が終了しました。


次回、本作品のメイン主人公が登場いたします。やっと出てきますよ。


えっ、シロウがメイン主人公じゃないの?違いますよ。まだメイン主人公は出てきて無いもん。


天見酒の書く、迷走する迷作『夜はやって来る』これからも御応援よろしくお願いします!

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