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愛した人は死んでもやって来る 3

彼女は語り続ける。話すのを止めるのすら恐怖しているように。


「はっ、始めは全然気付かなかったんです。暗い道だったから、誰か他の人かと思って、でも、後ろから段々とあの足音が近づいて来て、それで怖くなって走ったら、後ろも走って追って来て。後ろから私の名前を呼ばれて余計怖くなって」

名前を呼ばれた。


「返事を返したのか?」


「い、いえ、怖くて」


それが正しい。あの世の住人に下手に返事を返してはいけない。結び付きが強くなってしまう。

あれ、ケイちゃん何故睨むの?あのぅ由子ちゃん、お兄さんは全然怖い人じゃないからね。優しく質問しただけだからね。


「それで、その後はどうしたのかな?」

社長が由子ちゃんの背中を擦りながら続きを促す。


「家に逃げ込んだんです。そしたら、私の名前を呼びながら戸を叩く音が聞こえて、お母さんが帰って来るまでずっと。お母さんに言っても信じて貰えないし」


家に招き入れては無いようだな。


「それでその日は終わったんだけど、昨日の帰り道にまた足音が聞こえて来て、逃げたんだけど腕を掴まれて、振り向いたら彼の顔が合って、無理に振りほどいて逃げたんだけど」


「ちょっと待って、腕を掴まれたんだな?」


俺の確認に彼女は首を縦に振る。それを見て社長の柳眉も曲がる。

彼女に触れたと言うことは、こいつはもう只の霊では無い。ヤバい臭いがプンプンするぞ。これは簡単な案件では無くなったぞ。

素早く片付け無ければ由子ちゃんが危険だ。その前に…。


「由子ちゃん、一つ確認するぞ。彼と会って話す覚悟はあるかい?これは彼と君を助けることになる」


強制する気は無い。でも、俺の欲しい答えは決まっている。彼に怯え泣く彼女には酷な答えだが。


「…どうすれば良いのか分からないです!でも、会って話します。話したいです。なんで…」


泣き出す彼女。中々の頑張りだな。


「社長、この件は俺とクロ、リュウさん、ケイちゃんでやります。ケイちゃん、クロとリュウさんに伝えて」


頷いてケイちゃんが部屋を出て行くのを見て、社長が由子ちゃんの背中を擦りながら俺を見る。


「シロ君、気をつけてね」


気をつけろか。この人に言われると重みを感じてしまうな。


眼鏡を外して、ティシュで拭きながら、応接室の窓を見た。薄緑色のブラインドの隙間からは、橙色な西陽が射し込んでいる。


逢魔が時。そして間もなく、夜がやって来る。

久々な更新です。待たせて申し訳ないです。


これからは週一、二は更新していきます。天見酒は書き出すと歯止めが利かなくなるんで少しは更新が速くなります。


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