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黒猫とその人はやって来る 7

ランポさんの爪に無念果たせず散る魍魎の絶叫。


その大きな影が光に消える。



と、同時に。


「ランポさんっ!」


その影の巨大の視角の影から飛び出したランポさんに牙を向ける小さな影に。



ランポさんを守ろうと振るった竹刀は空振る。

確かに、そいつの(メン)を捉えていたのに、素振り。空気を切っているように、まるで手応えが無い存在なのに。


「ナナちゃん!」


「ナナ嬢!」


ランポさんの前に勇み出て、空を切った私は、斬ったはずの空、ランポさんが倒した巨体に比べて小さな影に、体当たりされていて、現実的な痛みと、衝撃と、浮遊感。


私の浮いた身体は、蟲毒の陣の方へ。真内さんの近く、もっと言えば……。


「馬鹿かっ、てめぇはっ!コイツらに物理的な打撃は効かねぇ。お前ん家じゃ、そんな基礎も教わってねえのかよ!」


私の身体は床に叩かれる前に真内さんにキャッチされて、真内さんの間近な説教を受けて。


「あの、寧ろ、私の家では、コッチ関連の話は禁句で、誰も……」


そう、“我が家”と言えるだろうか。彼処にいる私は、両親にさえも気味悪がれた子。

霊がミえる。霊とハナす。

普通の子とは違うコ。普通の人間とは違うニンゲン。

その私は、現在、父と母の帰りを見ない、彼らの子。

一応、学費は振り込んで貰ってるし、光熱費も支払って貰ってる。中学校に入った頃から、私以外誰も使わなくなったダイニングテーブルの上に、月初めには、いつの間にか“〇〇月生活費”と、書かれた茶封筒が置かれている。偶然に、彼らと鉢合わせてしまっても、挨拶以上の言葉は交わさない。交わせない。


何時からの事だろう。そんな、普通の人間が普通に思う親子関係が崩壊してしまったのは……。


「ちっ!しゃらくせぇ!……ナナちゃんの事じゃねぇよ」


私を横抱きに受け止めた、刀を投げ棄てるしかなかった真内さん、その大きな隙を狙った周囲のモウリョウ達の爪や牙を一喝で止める。


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