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Desire  作者: 碧川亜理沙
Open1:誰のため
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誰のため⑦



 ──玲奈ちゃんを、助けないと。




 玲奈と久しぶりに会った日から数日後、瑞希は悩み続けた結果を出した。


 このままだと、玲奈がダメになってしまう。

 そう思い、瑞希は玲奈を助けることが必要だと感じた。

 その時に思い出したのが、以前唐突に渡された名刺だ。



『今後、もし君の悩み事が君自身の手だには負えないと思った時、連絡しておいで。そうしたら私が、その悩み事を解決できるかもしれない人へ、繋いであげるから』



 怪しいことこの上ない。

 だけど、玲奈に連絡をしても一向に繋がらない。おそらく一緒にいるであろう玲奈の彼氏のことも、瑞希は顔と名前以外何ひとつ知らない。


 瑞希ひとりで解決するのは、いささか難しい状態だ。気が進まないが、早期に解決したいなら、人を頼るのが早いと思った。


 瑞希は決断するや否や、名刺に書かれた電話番号へと電話をかけた。






 数日後、瑞希は行きつけの店の前に来ていた。


 ──クローズって書いてあるけど……。


 名刺に書いてあった神宮寺と言う人へ電話をかけ、ことの経緯を説明した。

 その後彼から、今日のこの時間に店に行くようにと指示を受けた。

 どうやら話を聞いて解決してくれるのは、神宮寺ではなく別の者だと言う。


 瑞希は約束の時間に来たはいいものの、クローズの札がさげられた店の前で立ちすくんでいた。このまま店の中に入っていいか迷っているのである。


 少し早く着いたとはいえ、入口で悩んでいる分時間は過ぎていく。気付けば約束の時間までもう数分だ。



 瑞希は意を決して、まずドアを叩く。

 だがその後少し待ってもなんの応答もない。

 仕方なしに、瑞希はドアに手を伸ばした。

 どうやら鍵はかかっていないようで、鈍い音を鳴らしながらゆっくりとドアを開けた。


「こ、こんにちわ……」


 流石にこのまま中まで入っていく勇気は無かったので、入口で声をかける。

 2度目の声かけで、奥のほうで人が動く音が聞こえた。


「ごめんなさい、気付かなくて」


 出てきたのは、店に来たときに1度だけ見たことのあるスタッフだった。

 20代後半だろうか、中性的な雰囲気で、男と言われても女と言われても納得できるような見た目の人だ。


「あ、あの、神宮寺さん……という人から、教えていただきまして……」

「聞いてますよ。とりあえず、中にどうぞ」


 どうやら話はきちんと通っているらしく、瑞希はほっと胸をなでおろし、誘導されるまま店の中に入って行った。





 通されたのは、店内の奥の方の個室。テーブル1つと椅子が数個。2畳あるかないかの広さだ。


「どうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 ハルカと名乗ったスタッフが、瑞希の前に淹れたてのコーヒーを置いてくれる。

 そして、ハルカは瑞希の向かいに腰を下ろした。


「えっと……神宮寺さん経由で、あなたが困っているから相談したいって聞いたんだけど、間違いないですか?」

「あ、は、はい」


 さっそく本題に入る。

 瑞希は神宮寺に詳しく話をしていたが、どうやら詳細までハルカに伝わってはいないようだ。

 瑞希は改めて、ハルカにことの経緯を説明した。



 ─────


「……なるほど。つまり瑞希さんは、そのお友だちと彼氏を別れさせたい、と」

「わ、別れさせなくても……せめて玲奈ちゃんの体調が戻るまで、会うのを控えてもらいたいんです」


 説明を終えたあと、瑞希はコーヒーを一口飲む。すっかり温くなってしまったが、相談事はきちんと伝えられたはずだ。


「話は分かりました。それで、その話をお友だちもしくは彼氏の方に話伝えたい……ってことでいいですか?」


 ハルカがコーヒーを飲みながら、瑞希の話をまとめつつ聞いてくる。


「は、はい。そんな感じです」

「話を聞く限り、お友だちの方は、瑞希さんの話に耳を傾けなかったんでしょう? なら、第三者が話を持って行ったとして、同じようになる可能性は高いですね」

「それは……そうかも、しれません」


 言われてみれば、瑞希の話に耳を傾けなかった玲奈が、見知らぬ人の話を聞くとは思えない。そうなると、彼氏のほうをあたるのがいいのだろうか。


 けれど、これは完全に瑞希の偏見だが、彼氏側もあまり深く物事を考えてくれそうな見た目では無い。口だけでかわされそうな気がする。


 それでも、瑞希は何とかしたかった。


「だけど、もしかしたら話の分かる人かもしれません。玲奈ちゃんだって、彼氏から言われたことなら言うこと聞きそうですし」

「ご家族とかは? いちばん手っ取り早い気がするけれど」

「家族は……あんまり玲奈ちゃんと上手くいっていないって聞いた事あって。それならまだ、彼氏さんのほうがいいかなって」


 家族や瑞希の言葉より、彼氏からの言葉の方が、きっと玲奈も言うことを聞くのではないだろうか。

 玲奈のためにも、できることはやっておきたい。


「……分かりました。じゃあ、あなたの希望は、お友だちと彼氏が会うのを少しでも控えて貰えるよう話を通すこと。それでいいですか?」


 ハルカが確かめるように瑞希に問う。


「はい……ひとまず、それで構いません」


 瑞希はお願いしますと、ハルカに頭を下げた。



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