MISSION:98 元祖
エルフの幼女が現れた!
「きゃー! カワイむぎゃーっ!?」
ワワンパァはエルフの幼女に飛びついた!
しかし避けられてしまった!!
合気の使い手って感じで、飛びつく勢いを殺さないまま投げ飛ばされて、コロコロ転がってワワンパァが戻って来た。
『た、たまげたぁ。オラ、コロロの森のフィアフィアスーだべ! 初めまして!!』
フーちゃんが緊張しながら自己紹介をしてるよ。
つまりこの幼女こそが伝説の人っていう、こと? ぇえ? マジで?
なんかゴエモンの言ってた容姿とは違うけどなあ。スレンダーな女優っぽかったと聞いてるんだけどね。
でもまあ……異世界だしエルフだし世界樹のダンジョンだからなあ。なんでもアリな気もする。
「はい。こんにちは。私はコロロの森のネーネスーでしゅ」
≪あら? 初代コロコロさんではない、と≫
「コロコロ様に会えると聞いて、それがしたちはやって来ましたっ! お会いできるでありますか?」
「身のこなしが尋常じゃなかったわ。つまり、この子がコロコロ様じゃっ」
「私、そう思うするー!」
「バレた~。正解っ。私は元コロコロでしゅよー。ネーネと呼んでくだしゃい。スーはゴエモンのアイデアで家名になっちゃいましたし」
わぁい! ナンデモアリダー。まあワワンパァみたいな分身かもしれないけどね。ダンマスなら3Dどころか現実アバター作れるからさ。
応接間に向かう途中に聞いてみたら、やっぱりそうだった。
「エッ!? コアと同化しちょるんですか!」
「長いこと生きてましゅからね。残りの人生はチョイチョイっとダンジョンの管理でしゅ」
のんびりしゅるーだって。やっぱり長生き過ぎるのも困るんだなあ。このネーネちゃんは強くてニューゲーム的な感じで、成長していくみたい。
聞いたところ、培ってきた技術は継承してるけど全部じゃなくて、成長に合わせてダウンロードする感じっぽいかな。
あと今の話を聞いて思った。以前フーちゃんが言ってた「じっちゃまは木になったんだべさ~」は世界樹の栄養になってそうだなって。だって初代さんも栄養になってんだもの。
今は残機を増やしてる状況だけど、増えすぎてどうにもなんなくなったら僕もダンジョンの栄養になればいいかな。ワワンパァのダンジョンも強化されるしね。
「しゃて、ここに来た目的はポーちゃんがどんなしぇーれーなのか、調べるんでしゅよね」
テーブルにオヤツと飲み物を並べながらネーネさんが質問してくる。
≪はい。あとは銀コケシの対処ですかねえ≫
「しょっちは長しゅーと会議しましゅ。アレは危ないので手を出しちゃダメ」
発動条件は分からないみたいだけど、銀コケシに攻撃されたら、魂が奪われるそうだ。しかもその魂を利用して技を発動してくるから厄介なんだって。
「ダメするー? 絶対~?」
「ダメでしゅ。世界樹の場所を知られるくらいダメ」
一撃必殺級の魔法を隠蔽できるくらいじゃないと対処されるし、接近戦をするなら神威成りができる獣人の英雄級じゃないと負けるだろうってさ。
「お、じゃあそれがしはイケますな!」
「おほー!? しゅごい! 成り御雷もできるのでしゅか?」
≪おー、やっぱり武御雷キタッ!≫
「ポーちゃんにバレ申したな。ですがそれがし、成れまする。エッヘン!」
まあ……それが必要最低ラインの戦闘力だってさ。というかルァッコルォってば、若くしてすでに英雄クラスっていうことかあ。
そして僕も平気かもってさ。取り込まれちゃうだろうけど、塊ごとに別口の魂って処理される可能性があるみたい。分離した僕がダンジョンに入れなかったから、そういう判断になったそうな。
「むむー、ズールーイ~」
「魔力の隠ぺいをサボったツケじゃ。ねー、フーちゃん?」
「うぬーっ」
唸っておられる。まあ仕方ないね。ワワンパァの言う通りサボったのが悪いよ。
「むぅ、ポーちゃん、なるしたい」
「確かに。役割分担できるんは便利じゃもんねえ」
「人には無理そうですな」
≪スライムの特性なのか、ユッグベインの技術なのか。それも謎だしねえ≫
自分でも分かんないから困るよなあ。
ンッ? 困ってないや。別に。
≪調べてもらうんだし、ダンジョンに取り込みますか?≫
「はい。問題なければしょーしましょう」
見た感じでは精霊の力とも魔力とも違う、なにかを出してるように感じるってさ。
「文字化けしてましゅねえ。なにかの精霊というのは確かなようでしゅけど」
「最古のダンジョンで分からんのでしたら、もう稀人効果というくらいしか……?」
「はい。この世界で認識されていないパワーでしゅね」
ってことはだよ? 僕がこの世界の精霊の力を察知するのは、ムリってことになりそうだなあ。
聞いてみたら難しいかもって返事だった。世界が輝いて見えるのを体験したかったけどな。まあ異世界で生活できてるんだから、それだけでもラッキーって思っておこう。
≪じゃあもう、いよいよスライムってことでいいかな≫
『なんでもいいべ? ポーちゃんってことが大事なんだべさ!』
≪ねー≫
「ねー」
「いい加減でありますなあ」「適当じゃあ」
≪そんなことより最古のダンジョンってほうが、僕にとっては大事なんだけど!≫
「創世記は世界樹から始まっちょるしね。最古じゃろ?」
おー、なるほど! 名探偵ワワンパァ~。
最古のダンジョンでも解析できない僕は、ナンチャラ精霊の元祖ってことになるね。
≪なにかが分かったらチョットカッコイイかもっ≫
「思い当たる、ない~?」
ンンー? なんだろうねえ。この世界にはない僕の特性かあ。
「増えるヤツとかでありますか?」
「しょれなら解析可能だと思いましゅねえ」
「ん。魔物いる思うする」
「あ、あれじゃ! どこにおっても連絡できるじゃろ!」
「「あー!」」「しょれは便利でしゅ」
≪あー……なるほど。スマホみたいなものかあ。つまり僕は電波の精霊ってことになるのか≫
便利なんだけどさあ、なんかあんまり嬉しくはないなあ。
元祖電波精霊です。かあ。
う、嬉しくないんですけど。
≪スライムってことでお願いしまーす≫
「そりゃあ別に良えんじゃけど。だってポーちゃんじゃし。それよりもポーちゃんの世界はどこでも連絡できるんが普通なん?」
「そうー。それ、不思議! スゴイする!」
≪普通だし、なんなら映像付きで話せるよ≫
「とんでもない世界でしゅよね……ゴエモンから聞いてましたけど」
「なにがどうなると、そんなことができるのでありますか!?」
≪いや、それはぁ……専門家じゃないと説明できないかな。ものスゴイ難しい学問があるんだよー。僕じゃあムリッ!≫
電波の説明なんてできないよね。音声だけでも不思議なのに、さらに映像付きとかアリエナイデス。
僕がもしホントに電波精霊だったとしても、今までと同じように僕同士での通話だけしかできないね。
しかも異空間のダンジョン内と外で連絡が取れたり、海中とも連絡し合えるし意味がワカラナイヨ? マナのせい? 電波っぽいナニカ?
あー、これが分かる分からないではなく、できるできないの魔法ってことかあ。僕ってば最初から精霊魔法の使い手でしたとさっ。
ウレシクナイィ。
フーちゃんみたいにカッコイイのが良かったよー。
≪散歩と思ったら病院だった犬のように、部屋の隅っこで震えて眠るしかない≫
「少なくともポーちゃんに負けはなさそうですし、いいのではありませぬか?」
「じゃよね!」
「丸い、カワイイ。あと、ばっちゃま、おっぱいなれるする!」
「当代コロコロのはしゅごいでしゅ……カテゴリーオーバーでしゅ」
≪慰めにおっぱい成分はいらないんだけど、ありがとう≫
そういえば回復アイテムのレシピとかないのかな? HPとMP回復が乏しいんだよねえ。魔力のほうに至っては自然回復かマナ風呂だし。
レシピがあればワワンパァダンジョンでも、製作可能になりそうだからね。
≪この際だから、僕らに不足してる回復系を教わりたいかも≫
「深刻な怪我は教会でしゅじゅちゅでしゅよ」
「魔力回復、瞑想、する」
≪魔法使って全回復とかないの?≫
「あははは、そんなデタラメあり得ませぬよー」
≪せっかく魔法の世界なのにー≫
無念っ。
まあポーションかけた上で魔力を注ぐと、効果はアップするみたい。でも切断されたとかになると、縫合手術が必要らしいね。教会が病院みたいなものかあ。でも顕微鏡みたいなものはなさそうだし、ざっくり繋げて魔力でふんわり回復なのかもしれない。
「とりあえず長しゅー会議が始まる頃まで、フーちゃんに魔力の隠蔽を叩き込みましゅ」
「ムムーッ、望むところする~」
手紙で5日後に来てくれって書かれてたってさ。それまでは修行のターンだね。僕らは魔物相手に実戦を繰り返すよ。
「ところこ、する。ばっちゃま、どこいるする?」
「当代は自由過ぎでしゅ。居場所は誰も知りましぇん」
ところこじゃなくて、ところで、でしゅ。
というか……フーちゃんのお婆ちゃんも自由人なのかあ。つまりコロコロパーティってば、みんな自由人じゃん。
ダズ爺もアレだし、先々王もアレじゃん。女好きの芸人みたいな人らしいし、ホントにパーティ組めてたのだろうか?




