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コロロの森のフィアフィアスー ~子エルフちゃんは容赦なし~  作者: ヒコマキ
第4章 大森林の暇人たち

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MISSION:97 浅慮

 山に下りるわけではなく、麓に着陸したフーちゃん。さては出番だな? 魔道具の!


「呪符を使うんじゃね?」

≪僕もそう思った!≫

「それがしも!」


 3人同じ推理だったので、これが正解だろうって思ったけど違うみたい。


「木、探すする」

≪……木だらけだけど≫

「ちょっと違うする、木。探すする」

「なにが違うん?」

「魔力でありますか?」

「形、違うするー」


 要領をサッパリ得ないので、詳しく話を聞いてみると……ポストがある木を探して欲しいみたい。ポストが取り付けられてるのではなく、ポスト用の穴が開いてる霊樹ってのがここら辺に立ってるみたい。魔力もあるってさ。


 初代コロコロさんは世界樹で暮らしてるってことかな? でもフーちゃんも知らなかったみたいだし、他の人も暮らしてんのかも。


「あるしたー!」

「思うたより普通じゃった」

「それがしも、もっと奇抜なデザインかと」


 木に貯金箱みたいな横穴が開いてるだけでした。穴のサイズは腕が入るくらいにはあるけど。

 そんなポストに腕を突っ込むフーちゃん。腕の向き的に上のほうをゴソゴソしてるっぽい。


 そして取り出したるは──


「鍵~」


 ──雑っ! なにその雑な隠し場所っ! しかも古い南京錠の鍵っぽい外見のヤツ。円柱の短い棒の先っちょに、銃のフロントサイトみたいな突起物が付いてて、持ち手の部分が輪っかになってる単純な形の鍵。


「そんな隠しかたでは危ないのでありますが」

≪だよね!≫

「よう見んさい。ありゃあ相当なマジックアイテムじゃわ。万人が扱えるもんじゃないけえ」

「おー、パァちゃん正解。森の民専よムぷッ!?」

≪さっそく起動する羽目になる暴露防止用マスクの僕≫


 僕らしかいないから平気とは思うけど、実用性があるか試しちゃった。


「まあまあ成功でありますな!」

「欲ぅうなら、もう一手(はよ)う塞ぐべきじゃねえ」

≪なに言おうとしたか分かっちゃったもんね。森の民専用って≫

「失敗あるした」


 でも僕らなら知ってもいいんじゃないって、フーちゃんは言ってくれた。信頼は嬉しいけど、フーちゃんだけの判断じゃあダメなヤツなのでは。


「むむむ、確かに、あるする、かも?」

≪ところでポストがあるってことは誰か住んでるの? 初代さん以外にも≫

「んーん。修行、入る時、だけする。世界樹、ダンジョン」

≪は!?≫「ホンマに!?」「えーーーっ!!」


 世界樹ってダンジョンなのか! デッカイ木ってことだけではないんだなあ。

 えっと、つまり……木から生まれた始祖のエルフって、やっぱダンジョンマスターなんじゃあないかな?

 ダンマスってテラフォーマーなんじゃあ? やばい。世界の真理に近づいちゃったかな~? 神様の神秘に触れてる気分だよ!


≪ウキウキしてきたっ。世界樹を早く早く~≫

「早う早う~」

「それがしたちに早く世界樹を~」

「ふふーん、どうする、あるぅ~」


 若干のイジワルを見せるフーちゃんだけど、彼女自身も初代さんに会いたそうだしね。ポストに手紙を入れたあとに、魔法の鍵へ魔力を込め始めたよ。

 そして空間に突き刺した。


 おー、確かにスゴイ鍵だった。形は重要ではないってことだね。

 展開されていく幾つもの魔法円。大きなものから小さいほうへと、何重にも連結されてるみたい。加速魔導砲って感じで強烈なカッチョよさを放ってる!


 でもやってることは金庫のダイヤルを開けてる感じ。

 それぞれの魔法円が右や左に回転してるから、そんなイメージを受けるよ。


 そういえばフーちゃんの魔法には、魔法円が出ないよねってことに気付いた。聞いてみたら魔術だけなんだって。魔法は個人の能力で世界に認識させて、結果を具現化させてるらしい。

 どうやって? っていう質問には分かんないという答えが返って来た。


「魔法は分る分からないではなく、できるできないってことですな」

「魔術は理解して魔力が練れりゃあ使えるんよ」

「人、スゴイ。さすが新人類、言うだけあるする。天才」


 魔法が使える人が魔術を作ったんじゃないかなーだって。分かんなくても使える魔法を、みんなが分かるように技術体系を構築したってことかあ。

 そんなの天才すぎる。


「なんじゃ?」≪おっ?≫「なにを?」

「そろそろする」


 魔法円の回転が止まりそうな時に、フーちゃんの精霊ちからで掴まれた僕たち。

 回転が止まった。

 フーちゃんの手元、一番大きな魔法円から順番に、先端部分に向かって移動していく。そして1つの大きな魔法円になった時、フーちゃんがガチャリ(雰囲気)と鍵を回した。


 魔法円を砕きながら吸い込まれる僕たち。


「うひゃあっ」「キレイであります!」≪スゴイ!≫


 うおおおぉ、キラキラのミョーンと伸びた光るグミが散らばってるような、そんな世界を移動する僕ら。なんていうか、アレ、アレ、SFアニメ的なワープシーンだ! 入って来た魔法円は粉々に砕けて、コッチに吸い込まれてるよ。


「すぐ着くする。衝撃あるする。備えるする~」


 バリーンと魔法円を破壊して、崖の麓に飛び出した。濃密なマナで満たされてるし、ここが世界樹の側なんだろうなって直感的にわかる。でも辺りを見回しても世界樹は見えないね。

 というか、背の低い木とか草原しかないよ。あとはキレイな小川くらいだ。


「違う世界を覗いた感じじゃったあ」

「この世のものではありませんでしたな! キレイでした!」

≪それでそれで? 世界樹は?≫

「これぇー」


 っていってフーちゃんが指さしたのは、目の前の崖だった。えー? 右も左も上も、果てが見えないような巨大な崖ですが? 世界を分断する壁、とか言われても納得しちゃいそうな崖なんですが?


≪これ?≫

「これ」

「崖じゃ」

「断崖絶壁ですな」

「これ、世界樹。おっきい。はじっこ、見えるないする」


 うれしい、ないあるする。だって崖だもの。神秘的な大樹を想像してたのに……ソンナァ。

 大きすぎると感動はないんだねぇ。デッカイ茶色だし。


「世界樹、見るない。心、感じるものする」


 って思ってたけど、それは僕だけだったみたい。ワワンパァとルァッコルォは、すごく感動したみたい。ひざまずいて祈ってる。


「ウチぁ神の息吹を感じちょるかもしれん」

「生きとし生けるものを包んでくれる母のような」

≪僕、分かんないや……精霊関係かあ≫


 やめなさい。カワイソウなものを見るような目で、僕を見るんじゃあないっ。


≪その内辿り着くもんねーだ≫

「ん。いことー」


 僕たちはフーちゃんから呪符を手渡された。


「入場チケット、いるする~」


 ヤ・メ・ロ! 入場チケットやめてくれぇぃ。


「チケット大事する。ない、なる、入るダメ、なるする」

≪世界樹がホントに大事なものなのか、疑問が出てきたヨ≫


 ポストに雑に隠されてる魔法の鍵。

 エルフの魔力。

 入場チケット。

 だけっぽいじゃん。


「エ~? そうある?」

「いやいや、ポーちゃん。あの鍵だけでも大事さが伝わるじゃろー」

「そうですよ。凄かったではありませぬか」

≪それはそうだけどさあ≫


 なんかもうガッチガチのセキュリティなイメージだったからなあ。ユルユルに感じてしまった。


『フフフーンだ。そったらこと言ったって、ここに来れる人は限られてるだよ~』

≪つまり僕らは選ばれし者だったか。さすが魔改造スライムの僕。邪人の選択は愚かだったのだよ、ばかめー≫

「でも一番凄いんはルーちゃんじゃろうねえ」

「ん。分かるする」

「そうでありますかぁ? そうでありますかぁ?」


 ニッコニコだね。でもスゴイってのも分かる。僕とワワンパァは魔改造だし、フーちゃんは修業期間が長い。

 しかしルァッコルォは魔改造でもないし、修業期間だってフーちゃんに比べたら全然少ないもんね。


 45歳だったはずだから……フーちゃんと同じ、10歳から始めたとしても35年。フーちゃんの3分の1程度だよ。そう考えると、獣人の戦闘力ってスゴイんだろうなあ。


「でも今回、戦闘なし。お手紙出すした。お迎えある、はずする」


 そう言いながら、チョコンと設置してある魔術風味のタッチパネルに、呪符を当てた。魔法円の中心が正方形になってて、そこにセットする感じだね。呪符の上に手を添えて、魔力を送ってるよ。


 モールス信号みたいに、送る魔力の長さを調節してる。これは呪符に示されてるから、その通りにやればいいみたい。僕の場合はプ・プププープ・ププープ・プープ・プだよ。


≪ところで分かれてる僕も、僕として認識してもらえるんだろうか?≫

「……分かるない」

≪じゃあチョビっとだけ株分けして、残りは合体しとこーっと≫


 雑なセキュリティじゃなかったね。エルフと仲良くないと入場チケットの呪符も発行はされないだろうし、鍵を使うために同行してくれるエルフも必要だし。

 ワンチャンさ、みそぎのお風呂もさ、アレに入ってないと外敵判定されちゃうのかもしれない。


 スライムの浅知恵では到達できない深淵が、この大陸には散らばってたのだー。僕の負けである。


「最初からでありますな。勝負することはないですよー」

≪うん。勝ち目なかった≫

「そもそもポーちゃんは稀人じゃし」

「分かるない、当たり前あるする」

≪では参ろうではないか。世界樹ダンジョンへ!≫

「「「おー」」」


 ちなみに分離した僕は、僕と認識されずに入り口から弾き出されましたとさ。つまりそれは──


「ちゅっぢゅー!」

「ハヤテ……お留守番するであります」

「ぢゅぃぃ」


 ──カナシイ別れになるのでしたとさ……。頭の上に乗ってなかったら潰れてたんだろうか? ほら、懐に入れてた場合とか……。アブネェ。


<ハヤテと一緒に待ってるね>

「ポーちゃん、お願いします」


 パタリと閉じて消える世界樹の扉。偽装も完璧。葉っぱとか枝とかのレリーフが彫り込まれた、雰囲気のある扉だから消えるのもったいない感じ。


「ちゅぴち」

「あ、ハヤテ?」

<アレ?>

≪おやあ?≫

「いやあ、悪かったでしゅね。お迎えしたでしゅよ」

「ムムー?」

次回≪MISSION:98 元祖≫に、ヘッドオン!

※使わないかもしれない設定

 うおおおぉ、キラキラのミョーンと伸びた光るグミが散らばってるような

  微炭酸ならぬ微走馬灯

   無理すると死んじゃう結界をパワーで抜けている状態

    エルフは脳筋で大雑把なので問題ない

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