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コロロの森のフィアフィアスー ~子エルフちゃんは容赦なし~  作者: ヒコマキ
第4章 大森林の暇人たち

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96/122

MISSION:95 特別

 そんな体臭におびえる女子たちのお茶会と同じ時間に、フーちゃんのお父さんはキッチリと働いてたようです。

 僕のせいで。


「ん、父様、呼ぶしてるする」

「そうね。集会所に向かいましょうか」


 精霊が携帯のように使われてるっぽい。アプリは入れられないけど、バトルは可能なスピリチュアルフォン。精霊使いのエルフは、みんなスピホ持ってるってことだねえ。


 ワワンパァとルァッコルォは熟練度が低いので、受信はできないってさ。僕も熟練度が上がったら、精霊の力が分かるようになるのかなあ?


 なにも分からないから、なにかキッカケでもないと熟練度上げが、できないような気もするんだけど……ここにいる間に解決したらいいな。

 って思ったけど、解決しなくても困ってないか。なにかが便利になるかも、くらいに考えておこう。


 集会所に着くなり、フーちゃんのお父さんに確保される僕。ログハウス調会議室で車座に並ぶ、村の有識者(?)の真ん中に置かれた。エルフんちだからもっと不思議な建物を想像してたんだけどな。


 例えばデッカイ木の実をくり抜いた家みたいなのとか。

 例えば木の枝にぶら下がってる家みたいなのとか。

 残念です。

 あ、でもツリーハウスはそこかしこにあるから、許してあげてもいい。


「ック、なんか笑えてくる光景なんじゃけどッ」

「つ、つ、辛いでありまっしゅる」


 ブルブル震えてるワワンパァとルァッコルォが、ボショボショ話してる。


『ブショォッ、きゃきゃきゃきゃっ、ポーちゃんを、ど、どうしたいんだべか? ィヒヒひきゃきゃキャひひひッ、笑かすのやめてくんろぉ』


 フーちゃんは耐えられなかったみたい。おっかあに頭をペシィってはたかれてるよ。真面目な会議のはずだもんね。

 笑える光景なのは否定できない。その証拠に僕もプルプル震えてるし。滑稽さに身悶えしちゃっても仕方ないよ。


 有識者っぽいエルフたちが真面目な顔なので、より一層笑いをもたらしてくるんだもの。


「皆、どうか?」

「分かりませんな。本当に精霊なのであろうか?」

「であろう? 私も感知できなかったのだよ」

「ウーム……」


 みんな精霊使いの達人級なんだろうね。でも看破できないみたい。


「なにが切っ掛けで精霊と看破できたんじゃ?」


 一番年上っぽいおばちゃんが聞いてきた。人だったら仙人っぽい風貌になるんだろうけどさ。エルフは長寿だから千歳とかでも、おばちゃんくらいに見えるんだろうね。


「──っちゅうことなんです」

「そう。ポーちゃん、オカシイあるする」

「自分でダンジョンに取り込まれるとか、普通は考えないのでありますよ」

≪ムダ毛の抜け毛くらいの感覚だからねえ。いいのだ!≫


 ダンジョン機能は色々とデータが出るからね。って言ったところでワワンパァが「アッ」って声を上げた。


「あ、あのぅ……そういえばウチ、前はポーちゃんがスライムじゃったの知っとったわ」

「どういうことであろうか?」


 おっとうに聞かれたワワンパァが答える。

 僕とフーちゃんが、ワワンパァのとこに攻め込んだときの話だね。ワワンパァはダンジョンマスターだから、権能で魔物の鑑定が可能で、そのときはスライムって看破したってさ。


 あのときはダンジョン攻略してたから、ラプターの形とか戦車の形だったもんね。


≪今見たら精霊?≫

「アレエェェ……? スライムになっちょるで? え、待って待って、向こうで見てみたら精霊なんじゃけど?」

「ダンジョンコアを通すと、精霊って分かるということでありますか?」

「じゃねえ」

「フム。であるならばユッグベインが、人工精霊を作ったということにはなるまい」


 おっとうの話によれば、ダンジョンコア以外では看破不可能な偽装なんて、神の御業だろうってことだったよ。

 当然、邪人なんかには作れるはずもないっていう答えが、導き出された。


「じゃが、万が一もあろう? 初代様に見てもらうのが()え」

いのか? それならばこの子らの希望にも添えるが」


 なにやら票を取って、僕らはなにかの許可を得たよ。しかも初代コロコロさんにも会えるっぽい!


「初代様、いるする~!? 三代目願うするぅ~」

「カーッカッカ。制御の甘いお子ちゃまには千年早いわ」

「ムー」


 なんとフーちゃんは甘ちゃんだそうです。攻撃力が高いだけっていう評価なんだろうか。さすがエルフの国。求められる水準が高すんぎぃ。


『それでそれで? 初代様はどこに行けば会えるべさぁっ!』

「あのお方は世界樹と共におられる。近いうちに向かうといい」


 僕らはじゃあ明日だねって即決した。そしたら「えっ、明日?」みたいな感じになったよ。


「来たばっかりなんだし、もうちょっとゆっくりすればいいじゃないの」

「知らぬうちに、それがしたちも忙しない生き方になっておりますな」

「あー、ポーちゃんのせいじゃね」

「私、少し慣れるしたー」


 幼女組はキャッキャしておられる。てぇてぇ。

 でも……フーちゃんの表情に、若干の違和感を感じるんですが? さてはさっさと世界樹観光を済ませて、北大陸から脱出したいとか考えてるのかもしれないぞぉ。

 嫌なことにはズルくなるからなー、フーちゃんってば。


≪ま、世界樹観光は望むところ! どんな木なのかなあ、楽しみっ≫

「んー……ンッン、内緒する、した」


 ぷぷぷーだって。


「ウチも内緒には賛成じゃわ。見るまでは、なんも情報がないほうがワクワクするけんね」

「楽しみでありますな!」

≪ねー≫


 幸いなことに今のコロロの村の位置が世界樹と近いそうで、1時間程度で行くことが可能みたい。クララの村との間辺りにあるそうだ。


「全然見えませんでしたよ!?」

「どうなっとるじゃろうか」

≪謎だねえ!≫


 軌道エレベーターみたいな大樹ってイメージなのに、全く見えないんだよね。なにかあるなーって感じるヤツが、強くなるってこともないしさ。アレって単純に方位磁石みたいな機能が、僕にあるだけだったのだろうか?


 世界樹の存在を感知しててくれぃっ。だってそのほうが特別感があるし~。北が分かったからといってさ、なにがどうなるとかはないし。

 世界樹を感知してても、なにがどうなるとかはないけど。


 僕は特別な私になりたい。


「ポーちゃん?」

「なにうちょるん?」

「稀人、稀人、所以ゆえんある」

≪特別感ある存在になりたいっていう、恥ずかしい思いが漏れ出てたとはー≫


 あー? いや、でもよく考えたらさ……ユッグベイン製スライムだから、世界樹探しのために探知能力を持ってても、不思議じゃないのかもしれない。


≪たまたま稀人だったから、操られずにいられるみたいですけど、別の僕みたいなのがいる可能性もあるのかあ。もしかしたら、ですけど≫

「そうなのであれば危険であるな」

「急ぎ、集まる必要があるじゃろうの」

「うむ」


 相談役っぽいおばちゃんの意見に従って、長衆会議が決定したところで町内会議はお開き。僕らはお役御免です。

 行動の自由は許可されたので、明日は世界樹観光ですな。


 今日はのんびりするよ。時間的にもできることないし。

 村の有識者たちは狼煙を上げに行ったよ。他の村から村長を呼ぶために。今からどうしよっかなーってときに、おばちゃんが近づいてきた。


「どれ、久々に見てやろうかね」

「むむっ、望むところする!」


 このおばちゃんは、フーちゃんの先生のひとりだったみたい。魔法の練度がどうなったのかチェックするってさ。

 表に出て対峙するふたり。

 高まるフーちゃんの魔力。

 パカァと音が出るフーちゃんの頭。


「ふぎゃっ」


 ェエエ!?


「なってないねえ。というより、悪化してるじゃないかね」

≪え? なにも見えなかったけど……フーちゃん、頭叩かれたの!?≫

「これが精霊魔法における魔力の制御というものじゃ」


 魔法を行使する際に、バレないようにするのが上級の使い方みたい。そういえばヘー氏の最後の魔法は、発動するまで分かんなかった!


≪もう一回! もう一回見たいんですけど! その見えない魔法っ≫


 マジック・ディテクションで看破できるのか試したい。


「それが正解じゃよ」

≪おー、漫画の知識が役に立った≫

「ブブー、魔力出す、いするっ。魔力、敵、釣られるする、倒すするぅ~」


 しかしフーちゃんの意見は違うようだね。確かにソレも一理ある感じ。猛烈な魔力を出せば相手も脅せるし?


「ふぎっ」


 でもパカァと音が出るフーちゃんの頭。


「できないとやらないの間には、大きな違いがあるんじゃ!」

「フーちゃんは苦手なん?」

「うん。ちょっと、できるない」

「それがしは得意です~」

≪お、さすがの忍者ちゃん≫


 なんでも分身の術は、非常識な動きに合わせて、見せる魔力のオンオフで錯覚させてるんだって。魔力に敏感な人ほど引っ掛かるそうな。


「私、接近戦、ルーちゃん勝てる、ないするー」

「接近戦は獣人族にゃあ勝てんじゃろ~」

≪特にルァッコルォは追いきれないよなあ≫

「そうでありますかぁ? そうでありますかぁ?」


 ルァッコルォが嬉しそうで僕らも嬉しいヨ~。

 ニヨニヨ顔が強烈にカワイイんだからもーっ。

 幸せを噛みしめてる僕らに、おばちゃんが一言。


「ほっこりしてるところ悪いんだけどねえ、フィアには説教じゃ」


 フーちゃんはしばらくの間、お小言をもらい続けてたよ。

次回≪MISSION:96 秘密の守り人たち≫に、ヘッドオン!

※≪おー、漫画の知識が役に立った≫

krpk「だがINを使えるのは私も同じ」

ubー「まさか…!!」

krpk「見えたか?GYOーも使えるようだな」

新米魔術師~狩人x狩人風味を添えて~

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