MISSION:51 ワワンパァダンジョン
≪さて、ダンジョンオープンの日がやってまいりました!≫
「ましたー!」
「「いよいよじゃねえ」」
≪僕、花火になって打ち上がろうと思ってんだ~≫
垂直上昇して、法陣術でドーンって音鳴らして破裂して、力込めながら落下したらキラキラすると思うんだよね。
≪練習してみるから見てくれない? キレイだったら実践する≫
「分かるしたっ」
「「おー、ポーちゃんの企画、好きじゃわあ」」
金色のミサイルになって、上昇。小っちゃい穴もあけてピュゥゥって音も出す。そして破裂したみたいに飛び散る。破裂音はピーピーだった。法陣術の音、選べないのかな。
「音、ダメ。ほか、良いものー」
「「じゃねえ。音は拡声の法陣術にして、見えんとこで手ぇ叩きゃあ良えんじゃない?」」
≪ああ、なるほど。ドーンは無理でもポンポンぐらいは出せるかな≫
「「そもそもの話じゃけど、花火買ってくれば良えんじゃない?」」
僕はポンポン音を出しつつ破裂して、やりたいんですぅって応えておいた。うん、まあこんな感じでいいかな。光に反射した僕はキラキラのお星さまなのでーす。
「「ほんじゃあウチらは入り口に行こうか。オープンは本体がやるけんね」」
「おー!」≪おー!≫
入り口に着くと、広場にはすでにたくさんの冒険者が待っていた。僕らが出ていくと歓声と拍手の嵐。
盛り上がってまいりました!
「いまから開くでえ!」
「ポーちゃん、花火~」
≪オッケー≫
僕は打ち上って花火になる。キラキラを撒き散らしつつ集合して、巨大メッセージボードにビルドマイ~ン。
≪強くなれ、人の子らよ! ワワンパァダンジョン開店でーす!!≫
ワワンパァ本体がダンジョンをオープンさせる。入口の結界(?)が消えて冒険者たちを迎え入れた。
「おお、ギルドの人? 準備しとってくれたんじゃね!」
「本物、上がるしたー」
≪一大産業ってことなんだろうねえ。契約ダンジョンってさ≫
僕じゃない花火も上がってる。紙吹雪も舞って出店の人たちが拍手してるね。
「ところでワワンパァダンジョンってなんねえ?」
「名前、付けるした?」
≪え、名前付けないの? ワワンパァのだから、ワワンパァダンジョンになるのかと思ってたんだけど≫
違ったらしい。近くの町の名前になるみたい。ここだったらアベルガリアのダンジョン、もしくは王都のダンジョンとか。チヒ山脈のはチヒのダンジョンみたいな呼ばれかたするんだってー。なおダンジョン側の町には、まだ名前が付いてない。
2日後、僕らは冒険者ギルドに呼ばれた。
「ゴブリン、コボルト、オークが妙に強いらしいのだが」
ギルドマスターに言われた。シングルスタークラス以上じゃないと倒せない、というほど強いわけじゃないらしいんだけど、3~6匹でちゃんと連携してきたりして初心者パーティにはキツイんだって。
なのでなんとかして欲しいそうだ。
「国軍との訓練が経験になっとるけんね」
「それ、程度、倒す訓練する。良いこと」
「じゃよねえ。でもまあ、1層目で出てくるのは2~4匹までにしちょきます」
ギルマスと協議して、入口近辺に小部屋をいっぱい作り、訓練できるようにすることとなった。
訓練横丁の増設ですな。
というか、国軍との訓練がフィードバックされるの凄くない? そんなことになってたら、魔物がどんどん強くなりそうなんだけど……。ワワンパァはゴブリンたちを強化したいみたいだね。コボ&オークも含めて。
「せめて1本角くらいは倒せるようになってくれんとね」
≪なるほどね、対邪人かあ。フーちゃんは全部よこせって言うけど、さすがに現実的じゃないもんね≫
「ウー、無念~。邪人、全部、欲しいあるする」
ゴブ、コボ、オーク、それぞれ2匹部屋が10。3匹部屋が20。4匹部屋が10。
3種混在で2、3、4匹の部屋を同数作ったと、ワワンパァがギルマスに伝えてた。
「おお、もう実行してくれたのか。ありがとう」
「トレーニングルーム言うても死ぬけん、気ぃ付けるように伝えといてくださいね」
「うん、もちろんだよ。初心者パーティにはフィールドタイプの場所へ向かうなら、4匹が楽勝になってから行くようにとも言っておこう」
迷宮ステージだけだと収入は魔石くらいだもんね。フィールドに出ると薬草とかの採取系依頼も受けられるしさ。収入に差が出てくる。
1層目の宝箱なんて大した物は入ってないはずだし。ひょっとしたら化ける可能性のある、フィギュアでも集めるしかないのさ。
「2層目からはパーティに4人はおったほうが良えじゃろうねえ」
前衛、斥候、魔術師、神官ってことかな。僕らはそんな会話をしながら、ダンジョンに向かって歩く。
とあるパーティを尾行中。ワワンパァが偶然見付けたんだ。
邪人。
ホント、どこにでもいるんだね。僕のサテライトでは分からなかった。マジック・ディテクションじゃ探し出せないみたい。
このパーティの人たちは、仲間に邪人がいるってことに気付いてないんだろう。普通に会話してるよ。
≪どうする?≫
「一気、処分するある。私、やる」
「了解じゃ」
≪僕は他の人をガードするね。町から少し離れたところでカウントダウンするよ≫
「ウチぁ念のためにキャノン砲で狙っちょく」
カウントダウン開始。
≪3、2、1、GO!≫
合図とともに、アフターバーナーを吹かして一気に接近。冒険者を覆う。
「うおっ!?」「なんだ!?」
「うわあああっ?」
「グガアアアアアアアッ」
フーちゃんの魔力剣が、邪人を串刺しにする。瞳が赤黒く変色していき、角が生えた。
≪1本角だ! 守るから動かないで!≫
「死ぬ、する」
でも邪人はあっさり半分に切り分けられた。処分完了。元々1本角程度なら余裕のフーちゃんだ。串刺し状態だったし、なにも問題なかったね。
冒険者たちは信じられないといった表情だ。
「2年……組んでたんだぞ」
「王都、冒険者ある?」
「いや、俺たちは全員ラウファルダ近隣の村出身だ」
2ヶ月前くらいに王都に来たんだって。リーダーらしき男が答えてくれた。ラウファルダは僕が一番最初に訪れた商業都市だね。邪人の秘密基地が近くにあったとこ。チンピラのキンタマを殴打して、キンタマの話をフーちゃんが熱く語るから、レンコンのキンピラを連想した街。
≪2ヶ月前かあ……僕とフーちゃんが会ったのも、その頃だったような?≫
「うん。ユッグベイン、拠点、1個壊すする、した頃。コイツ逃す、した、ある」
「まいったな。コイツの強さありきのパーティだったからよぉ」
「ああ。シングルも返上だろう」
シングルスターのパーティだったらしい。まあ訓練横丁もできたし、ワワンパァがダンジョンで訓練すればいいってお勧めしてるね。
≪ソロやデュオのパーティもいたし、誘ってみるのも手だね。ハイ、これ、邪人の魔石。ギルドに報告してくれたら嬉しい≫
「分かった。助かったよ、ありがとうな」
楽しそうにダンジョンへ向かってたのに、意気消沈して町に戻る彼らを見送った。王様とアーさんにも連絡しておこう。
「ホンマ、ろくでもないわ。邪人は」
「ねー」
≪ところでさ、なんでマジック・ディテクションで邪人は見抜けないの?≫
「私、知るない」
「ウチも知らん」
≪ムゥ……≫
邪人力を発揮する時だけ魔石が起動するのかなあ? ワワンパァは魔石に対して感知可能だから、魔力が動いてない魔石にも反応できるのかもしれない。
一方で、マジック・ディテクションは魔力探知なので、魔力が動いてない魔石には反応しない、ってことになってるのかもねえ。
「1本角程度なら倒せる魔物を、召喚しとかんといけんかもしれん」
「邪人、パァちゃんダンジョン、知るするした、可能性?」
≪ああ、あるかもしれないね。でも僕をソコソコ残してるし大丈夫じゃない?≫
「ヤミちゃん、いるする~」
「いや、ヤミちゃんは大げさすぎるわ」
そりゃそうだ。パーティにも被害が出そうだよ。
「ポーちゃんだけじゃ足りんかもしれんし、なにか考える」
まあ……確かに複数の場所で同時多発したら、相対的にそれぞれの僕塊量は減るしねえ。
次回≪MISSION:52 甘い未来≫に、ヘッドオン!




