MISSION:46 9年
「見てください陛下っ!」
ああ、着せ替え人形になっちゃったんだね。でもそれはとても良いことぉ!
≪うおおおお! 正統派ああああああっ!≫
「パァちゃん、カワイイなるしてる!」
「良く似合っておるぞ、ワワンパァよ」
「ウチぁ……もう疲れてしもうたんです」
薄いピンク、桜色のフリフリドレスを身に纏ったワワンパァが嘆いてる。なんでもフーちゃんには軍服をプレゼントしたのに、ワワンパァにはなかったから追加発注でドレスを数着作ったんだってさ。
身体のサイズはお風呂で撫でくり回してたので、分かってたとの談。
「か、可愛いし嬉しいんじゃけど、着る場面がないですけん」
「パァちゃんも1体増やしませんこと? ここにいてくださいませ。ポーちゃんもいますでしょ?」
「これ、無茶を言うでない。ワワンパァには国の未来が掛かっておるのだ」
ムゥ、と口を尖らせるエリヴィラ様。あんまり王妃っぽくないけど、可愛い。でも今は会議中だからと、エリヴィラ様を下がらせる王様。では後程って言いながら退室していく。あとでまた捕まえにくるみたいダヨー。
「スマンな、ワワンパァよ。あれは奔放なところがあってな」
「いえ、本当に嬉しいんです。ほんじゃけど……勢いが……ウチにゃあ猛獣に見えちょります」
≪確かに勢いスゴイよね≫
「エリヴィラ、カワイイあるするー」
「それはホンマに思う」
「うむ、ならば良し。だがエリヴィラには少々抑えるよう言っておく」
少しホッとした表情を浮かべる王様。
まあ……やり過ぎて嫌われたら困るだろうしねえ。でも安心して欲しい。
≪エリヴィラ様がああだから、王様ともわりと話せるようになってると思うよ、ワワンパァ≫
「エッ!? そうなん?」
≪王様への緊張よりも強烈な個性だからさ!≫
「クック、そういった面はあるな」
「そ、そりゃあ良えことなんじゃろうか」
「良いことー!」
落ち着いたところで、話はダンジョンのことに。といってももう開店時期をいつにするかってことくらいなんだけども。
ダンジョンのほうはもう開いても問題はないので、側にある拠点の居住性が上がってたら大丈夫なんだよね。
「そうか。拠点のほうも準備は整いつつあるゆえ、タイミングはワワンパァに任せよう」
「了解です」
「ねーパァちゃん、ドラゴン、願うする。カッコイイあるするー」
「ドラゴンはねえ、ブチ高いんじゃけどぉ」
「ぶちょー、頼む、できるない?」
フラム部長の知り合いに来てもらうってことか! 連絡してみたら、この大陸には自分と同じ程度の強さを持つ、ブルードラゴンがいると返事がきた。
≪ボ・ヤウダジーア山脈ってところに常闇っていう古い友人がいるはずだってさ。でも詳しい所在地は分からないみたい。もし会うんだったら、光玉からの紹介と言えだって≫
「行くするー!」
「待て、姉上、落ち着け。先にダンジョンじゃ」
「ムー? パァちゃん、本体いるする。ダイジョブ」
「それはそうだが、あの辺りに町はない。宿泊や食事に金は必要ぞ?」
「ウッ、村、ダメする?」
「当たり前だ。領主なり代官なりおらねば把握できぬ」
なるほどー、条件付きの保証ということなのか。しかし!
≪こんなこともあろうかとぉ! 実はフィギュアの売り上げをもらってる僕、参っ上ぅっ!≫
「おー、パチパチィ~」
「抜け目ないねえポーちゃん」
「ええぃポーよ、余計なことを!」
≪なんかもらえてるんですよねえ。お金の価値聞いてないけど、金貨と銀貨が結構あるっぽい≫
僕も戻って来てから知った。ついでなので持ってきてもらおう。
<金庫隊現着~。ついでに数えといたよ>
金貨73枚、銀貨152枚。
「ぬぅ……稼いでおるな」
王様の説明では、王都での一般的な家庭が9年弱暮らせる金額だそうだ。マジで!?
1ヶ月くらいでそんな稼いだのか……僕個人だけの配当でもそんなにぃ~?
フィギュア、侮れないじゃん! 色だけじゃなくてホントに成金になったー。
≪スッゴイ儲けてた!≫
「これは止められぬか。致し方あるまい」
≪まあ、ダンジョンに連れてくるドラゴン探しですし≫
「パァちゃんいる、リオいる、ルトいる。ここ、故郷、2番。帰るところする!」
「ハハハ、姉上にそう言ってもらえるのならありがたい」
いよいよだね、ダンジョンのオープン。僕の野望のためにも、ワワンパァダンジョンの成長は不可欠なのだ。
「ポーよ、これをハルトとダズ翁へ届けてくれ」
≪了解です≫
造船に関する補助金と週間コロコロスーについての注意点だそうだ。
≪まだお昼すぎだし、今から届けてきまーす≫
「うむ、頼んだぞ」
「分隊、違うする?」
≪うん。チョット試したいことあるし僕が行ってくる≫
音の壁を突破してみたいんだー。マッハだよマッハ。ロマンあるよね。突破した時のソニックブームで窓が割れたりすることもあるみたいだし、高高度で試したほうがいいかもしれないな。
パワーも必要だろうしラジコンサイズじゃなくて、乗用車くらいになって行こうかな。エンジンの法陣術を少し書き換えて、アフターバーナー用の魔石も10個ほど持って行こう。
練兵場で僕を再構築してたら、フーちゃんたちも見てたみたいだ。
「ポーちゃん、大きゅうなっとる」
「カワイイ、ない、大きさある」
≪可愛さで生きてないのだー。まあ、対大型生物のことも考えなきゃと思ってさ≫
「むー、確かに、ある」
「ウチの身体は昨日できたみたい。あとは中身入れ替えるだけじゃね」
「ダンジョン、明日、行くするー」
≪オッケー。じゃあ行ってくるね。今日中には帰ってくると思うよ≫
てなわけでテイクオフ。バーティカルクライムロールで一気に上昇。雲を突き抜けて青の世界へ。それでは行ってみましょうー。
≪ブーストONッ≫
破裂しそうになるたびに、強度を増加させる法陣術を重ねていく。所持してる魔石で、一番強い魔物のワイバーンのを持ってきてるんだけど、それでも5分くらいしか持たないねえ。アフターバーナー使うとさ。
マッハは遠いかなあ。練り込んだ魔力だけじゃ全然足らないから、もっと強い魔石が必要だね。しかも複数。
消費との兼ね合いを試しつつ、バランスを取ろう。それでも今までの速度よりは随分速くなった。
うん。戦闘時にはこのサイズで動くのがいいかな。普通自動車サイズ。ミサイルも大型化できるしね。敵にくっ付いて増やす前に、大きいので攻撃のほうが即効性があるしさ。
移動の時は、今までと同じラジコンサイズでいいと思う。そのほうが魔力の消費が少ないよ。急ぐ時には乗用車サイズに合体するってことで。
「連絡を見たが空の移動とは、これほど速いものなのだな」
≪今回の飛行は、限界速度を上げる実験をしてましたので。コレ、王様からの書簡です≫
「うむ、確かに。ポーよ、少し話せるか?」
≪あ、すいません、今からダズ爺の所にもいく必要があるんで、少し経ってから連絡用の僕とお願いします。意識の同調はできないんですけど、連絡取り合えばほぼ同じ考えになりますから≫
「相分かった。不思議な生態よな。フッフ」
ではこれにて御免。実験結果をメモ隊に送っといたから見といてくれぃ。ラーハルト辺境伯に書簡を渡して、今度はチヒのダズ爺のとこに向かう。
ビュゥ~ン。
「なんじゃと? 陛下にバラシてしもうたんか。抜けちょるのぉ!」
ガッハッハーって爆笑しちょる。永久凍土のことは、最初から作らない予定だったそうな。フーちゃんのお婆ちゃんと約束してたんだって。
「スー家は代々抜けちょるんじゃろう。気ぃ付けてやれ」
≪知ってた。そんな気はしてた≫
「なら良え。陛下から許可が出たんなら、さっそくチームを組むかの」
≪楽しみにしてますよー! ちなみに──≫
フィギュアはかなり儲かったことを伝えておいた。週間コロコロスーは楽しみだけど、造船のこともあるしすぐ完成とはいかないだろうねえ。完成したら教えてもらおう。
≪ではまた≫
「おう、またの!」
急いで帰ろう。もう夕方になりそうだし、夜のフライトは場所が分からなくなりそう。レーダーなんてないからね。9個の魔石を使って爆速デスヨー。
でも森の上で夜になっちゃってさ、方向見失ってしまった……。着いた街はエリオ氏が治めるミルセラ。行き過ぎちゃってるよ。
河沿いに飛んで王都に帰った。
夜はイクナイ。
次回≪MISSION:47 淑女≫に、ヘッドオン!
※王都暮らし1年約金貨10枚
貨幣は10進法で
銀貨1枚≒1万円なイメージ
金のインゴットx1=大金貨x10=金貨x100=銀貨x1,000=銅貨x10,000=小銅貨x100,000
※バーティカルクライムロール
航空自衛隊ブルーインパルスのカッチョイイヤツ。雲を引いて垂直上昇しながら横回転するソロ演目。ブルーインパルスってだけでもう全てがカッチョイイ。




