MISSION:38 ドラゴン
「なんじゃと!?」「誠か、姉上!」
「ウソつく、ない」
ご飯食べながらの報告なんだけど、フーちゃんがいきなりスタッグビートル・フォートレスと、スケアリー・ジャイアントコングがいたーってさ、軽~く話すもんだから爺と伯が慌て始めた。
「問題ない、ある。倒す、したー」
「スー家のぉ、脅かしおってからに」
≪でもまだその2体と同等のボスが1、ダンジョンマスターも残ってますよ≫
帰りは邪魔されなかったから、ダンマスに知能もありそうだしね?
「明日、終わる、させるする」
「早いほうが良えですけん」
お風呂で話した、実はこの街は大ピンチなことを報告。
≪まあダンジョンの入り口で僕が守ってるから、魔物が出てくることはないと思いますけど≫
今回戦った魔物なんかより、遥かに強いとかなら分かんないけど。相性的に、魔法じゃない高エネルギー攻撃に僕は弱いかな。ワワンパァのイラフティーバとか、フォートレスちゃんの電撃みたいなヤツ。
でもダンジョンに残してるAWACSは、チマチマ僕を集めて大型旅客機くらいになってるから、そうそう遅れは取らないよ。
「ポーよ、お主そんななりで強いんじゃのお」
「陛下から聞いておったが、姉上でも倒せなんだとか」
≪しぶといだけですー≫
やられてもすぐ増えるからね。
≪それで、大量にある素材とか魔石はどうすれば? 大きな芋虫の魔石が60個くらい、クレイジーモンキーのが200個くらいありますけど≫
「スタッグビートル・フォートレスと、スケアリー・ジャイアントコングの外皮も持って帰っちょります」
「必要、あるする? 分けるするー」
≪ああ、それとリング・オブ・アンチポイズン、アンチポイズンジェムも≫
素材の数を聞いて、本当に壊滅しかけてたと顔を青くする伯と爺。ダンジョン討伐目前だし、安心して欲しい。
だってフーちゃんのデュオ魔法見たあとじゃあさ、負ける気しないもん。って伝えておく。
「ふむ、ほんならジャイアントキャタピラーの魔石と、スタッグビートルの外皮を貰うちょこうか」
「しかし姉上たちに渡す報酬に困るの」
≪別に要らないよねえ?≫
「うん、不要。獲物、いっぱい、嬉しい~」
デッカイ芋虫の名前が知れたのも、僕的にはチョット嬉しい。
素材の引き渡し先は冒険者ギルドに、とのこと。ダンジョンクリアしてからまとめて持って行くことになった。
素材、増えるしね。
追加される予定の素材も、欲しいのがあったら譲ることにしたよ。なにがいるのか分からないけど、オイシイ魔物だったらいいなあ。
「失礼します閣下。王都のポー殿が訪ねて来られましたが、いかが致しましょう」
「何用であろうか」
≪え? なんだろう、聞いてないですよ。入れても?≫
入れてもいいそうなので来てもらった。
<頼まれてたフィギュア持ってきたんだけど、タイミング悪かったかな?>
≪明日ならバッチリだったー! 自分にサプライズ仕掛けるなってば≫
でもまあすぐに箱から出して鑑賞するマン。
≪うおおおおおっ! 良きぃぃいいぃぃい!!≫
「おおっ、これは姉上か? ワワンパァも! なんと……素晴らしいものよ」
「見たことないんも混じっちょるのお」
「じ、自分が石膏像になるんは恥ずかしいんじゃけど……これは確かに欲しゅうなるね」
魔法剣を掲げるフーちゃん、空中でガトリングガンを構えるワワンパァが新作らしい。フーちゃんが剣使うのを初めて見た時は、まだローブの時代だったから軍服剣士Verは想像の産物だね。僕は実際に見たけど。フッフッフ。って言ったらワワンパァドールの視点でワワンパァ本体はチラ見してたらしい。
<あとコッチはジオラマとドラゴンね>
≪おおー≫
「カッコイイ、ある!」
「良え出来じゃねえ!」
「チィッ! ドゥのヤツに先を越されたのお」
<アレ? ドゥ爺知ってるんですか>
「師が同じでの。ヤツとは切磋琢磨したもんじゃ」
<あー……それでニヤニヤしてたのか。コッチの僕も、ジオラマのことを絶対思い付くって言ったら速攻で作ってましたし>
そんな話を聞きながら僕たちはジオラマに、ドラゴンとフーちゃんとワワンパァをセットして遊んでた。何気にフーちゃんが夢中。稼働するドラゴンのポーズを、あーでもないこーでもないと弄りまくってる。
≪ドラゴンのサイズが小さいよね?≫
<スケール合わせるとデカすぎるから仕方ない>
「一般家庭では置き場にも困ろう」
<ですです>
「ムゥゥ、ポーちゃん、ない」
≪僕は売れないよ。売れない物はいらないよ。まあ僕は自分でフィギュアになれるしいいんじゃない?≫
スケールを合わせた僕を分離。配置に付く。
「完璧あるする!」
「良えねえ」
「見事である」
ドラゴンと真っ向勝負する一場面ができあがった。
≪あ、ラプターならワンチャン?≫<ラプターならワンチャンある?>
「普通の人にゃあ、ポーちゃんのソレがなんなんか分からんよ」
チチィッ。確かにそうかあ。
「ふむぅ、ホンマに全部がお主なんじゃのお。不思議な生態じゃわい」
「面白い、あるする」
そして同じことを同時に話す僕たちに興味を持つダズ爺。解剖はゴメンですよー?
「ウム、我が家からも発注するかの。ポーよ、このドラゴンと戦う姉上セットを10、高位冒険者のセットを20頼む」
≪そんなにですか?≫
<姉上?>
≪あ、こちらラーハルト辺境伯爵様。王様と一緒にフーちゃんちで修業した方≫
<ナルホド。了解しました。ならば最速で承りましょう>
「いや、姉上1セットのみは最速で頼みたいが、残りは順を追って届けてくれて良い」
<かしこまりました>
欲しいものが手に入り辛いというのは、交渉に使えるからだそうで。伯爵の注文だし、まあなる早で作ることになるでしょう。
「ルト、ズルイ考え、するした?」
「はっはっは、しておりますぞ」
「えー」
「スー家の、為政者っちゅうんは、そういうもんじゃわい」
<じゃあさっそく伝えますんで、僕はこれで失礼します>
≪待った! 連絡だけして戦力増強のために残ってよ。明日ダンジョン討伐するからさ≫
フィギュア作りたいとごねる僕だったけど、実際に軍服剣士フーちゃんが戦ったとか、王シリーズよりも強烈な魔法見たとか伝えたら残ることにしたみたい。
そりゃあ気になるよねえ。
ワワンパァだってさ、ガトリングガンとウォーアックスで空中戦するの、超カッコイイし必見だよ。
<クッ、ズルイ>
≪そっちだってフィギュア制作ズルイじゃん≫
「本人じゃが別の個体っちゅう認識なんじゃろうかのぉ」
「たぶん。ダンジョンマスターの分身体とは、違う感じがしとります。ウチは本体と同期しちょりますけん、ウチ同士で言い合いには、なりゃあせんのんです」
≪そこ! 僕を研究しない!≫
「ガハハハ悪かった悪かった!」
「だって気になるんじゃもん」
「ポーちゃん、〇《まる》カワイイ、それで、おっけぇ!」
≪男ですー。僕は○じゃなくて男ですぅ~≫
なんだかんだ言いながら、全員でジオラマセット作って遊んだ。護衛や文官も遊んだ。
おいコラ護衛!
そして欲しいとか言い出し始めた。文官のひとりはダズ爺に販売開始はいつ頃になるのか聞いている。
「ダンジョン騒動が落ち着かんとのお」
<製作可能になったら素材のレシピを伝えますよ>
「石膏じゃないんね?」
<可動フィギュアは石膏じゃ無理だから、新しい素材になってるんだー>
話を聞くと樹脂粘土みたいなのを開発したらしい。塗料も錬金術師が頑張ってアクリル絵の具っぽいものを作ったらしい。
どんだけェ。
今作ってるのは、もう新素材だそうだ。ドラゴンのジオラマセットとかね。
「休む、する。明日備えるする」
「じゃね。良え気分転換になったわ」
「うむ。万全にな」
僕たちを気遣ってくれる辺境伯。ジオラマで遊んだ僕らはリフレッシュできて、やる気も元気もバッチリです。
なんなら今からでもー。
次回≪MISSION:39 ヴァゥン≫に、ヘッドオン!
お宝
リング・オブ・アンチポイズン
スタッグビートル・フォートレスの魔石 外皮
アンチポイズンジェム
スケアリー・ジャイアントコングの魔石 毛皮
その他の魔石は現時点で264個




