MISSION:35 スタッグビートル・フォートレス
AWACSが扉を発見するまで休憩かな。
≪ワワンパァは魔石をどうすんの?≫
「ポーちゃんと一緒。コアのエネルギーになるけんね」
「パァちゃん、魔石、美味あるするー?」
「ウチぁ魔石の味はせんよ。取り込むだけじゃし」
ご飯を食べながらリフレッシュ中。ワワンパァも魔石食べるみたいなので、さっきのステージで獲得した魔石を分ける。
こんなこともあろうかと残しておいたのだ!(たまたま)
≪芋虫の魔石は味がないなあ≫
「違いあるん?」
≪あるよー。ロック鳥? はババロア味、ゴブリンは難しいな、抹茶とか醤油とか分かる?≫
「知る、ない」
「ウチも」
≪抹茶はねえ、薫り高いグリーンティって言えばいいのかなあ。醤油は調味料だね。ショッパイ味で黒いの≫
どっちも故郷の味なんだーって言うと、興味があるらしくラーメン&カレーと同じく探そうってなった。
≪でさ、人サイズくらいまでの魔物の魔石、基本的に無味無臭なのにゴブリンだけ味があるんだよね≫
「ゴブリン、不思議」
「じゃねえ。なんか異様に強うなることもあるし、でも安いし」
強くなるまではアホなんだけど、強くなったら人と遜色ないくらい賢くなるらしい。獣人族の強者くらいにはなるってさ。
強い獣人が分かんないんだけどね。
≪獣人族、見たいなあ。1回見た時は残機減っちゃったんだよね。興奮して≫
「愚か、する」「アホじゃねえ」
≪僕の故郷ではもの凄い人気あったんだよ。物語の中にしか出てこないし≫
「基本、東大陸、出るない、獣人族」
≪エエエェ!? じゃああの時見た人、超レアだったのか……見たの分離した僕だから残念過ぎるっ≫
「おお、そりゃあレアじゃねえ」
PG1のバカタレめぇっ。ちゃんと絵を残しておけよなー。
≪ところでここは何大陸になるの?≫
「ハイ! 西大陸!」
「違う、南する」
「外れじゃったかあ。ちなみにウチぁ東大陸の指揮蟹島ってとこ出身」
≪島がカニの形してるんだ≫
「カニが指揮者みたいに腕上げちょる感じなんよ」
「私、北大陸。世界樹の森、中ある、コロロ出身~」
アレ? 世界樹が北にあるの、内緒じゃあなかったっけ? アワアワしてたじゃん。
「へぇ、色々候補地出ちょるけど、世界樹って北大陸じゃったんかあ」
「な、ないあるする、世界樹、北ある、ない!」
「そ、そっか、で、伝承調べちょる人らも、南西にある永久凍土の可能性が高いとか言うもん……ねえ」
やっぱ内緒なんじゃん。
チラッとコッチを見るワワンパァに、僕は頷く感じでポニュリと回答を返した。
「そう、伝承するある」
フゥ、セーフみたいな顔してるけどさ、フーちゃん。アウトだよ。バレバレだよ。エルフの極秘情報だと思われる、世界樹の所在地がダダモレなんですよ。
<こちらAWACS。冷えて固まった溶岩を突き破って、地下から巨大なクワガタが出現した。そちらに進行中。数、1。現在のポイントはX38-Y53。速度が変わらないのであれば、接敵までおよそ180《ヒトハチマル》>
「1匹? ほんならボスかねえ。ここのダンジョンマスターも絶対焦っちょるで。ウチにゃあワカル……」
「ムー……魔力、回復まだ、してる。残念あるする」
≪じゃあ僕とワワンパァで≫
「失敗する、したぁ」
精霊王デュオを2連発したせいで、ボス戦を逃しちゃうフーちゃん。ションボリ中です。
≪まあまあ、他のルートにもボスいるかもしれないから≫
「じゃねえ」
「うん……」
ガトリングガンとウォーアックスを装備しながら、ダンマスのワワンパァも同意した。可能性は高いんだろうね。
僕はラプター4機編隊で挑もう。
「準備完了。行こうやあ」
「ウゥ、見るだけ、するある」
空に上がりボスがいる方向を見てみると、ホントに巨大なクワガタがこっちに向かって来ていた。大型のトレーラーを横に2台くっ付けたくらいは、あるんじゃあないかと思う。マジデッカイ。
「うわあ、スタッグビートル・フォートレスじゃあ。お高いヤツじゃあ」
ワワンパァによると、1ステージ追加するくらいのDPが必要なんだって。魔石、美味しそうダナー。
「弱点は冷気じゃけえ、凍結を付与した弾丸に変更じゃね。ちょっともったいない気がするんじゃけど」
「そこ、出し惜しむ、ない」
「分っちょるもん。おお、ほうじゃった! アイツは雷ぃ使うけえ、そこは気ぃ付けんさいよ」
≪ラジャー。あ、向こうも飛んだ!≫
敵は1体だし囲って攻めるのがいいかな。
≪ワワンパァは正面を取らないようにね!≫
「らじゃーじゃ!」
フーちゃんは口を尖らせながら、いいなあとか言ってるよ。どんだけ戦いたいんだ。
≪ジアッロ4はタゲ取ってくれ。特殊兵装は徹甲弾に。接敵するよ、ブレイク!≫
<OK! ジアッロ2 FOX3!>
「ふぉっくす3!!」
2番機に続いて僕たちも徹甲弾を発射。サイズと硬度を増したミサイルになって、装甲を貫いてやる。
ワワンパァもガトリングガンから凍結弾をばら撒く。
さすがにフォートレスと名前が付いてるだけはあるね。凍結弾は表面で弾かれてる。僕の徹甲弾も刺さって入るけど、動きは鈍ってない。
しかし凍結弾も徹甲弾も、HITした時点で効果を発揮していくよ。
そう思った時、ギチチチチと音を出しながら巨大クワガタが発光する。
「来るで! 雷じゃっ」
≪うわ!? やられた! 魔法じゃない!≫
<ジアッロ4 ショットダウン! ブレイク! ブレイク!>
ハサミの間から飛んできた雷撃が、タゲを取ってたジアッロ4に当たって撃墜されてしまった。代わりに2番機が入る。
「しかも纏うんか」
どんな能力があるのかは知ってても、用法までは知らなかったみたい。身体に纏った雷で、徹甲弾もやられてしまった。
でもアイツの体内には少し残ってるので、分解しながら増量していく。
『氷の精霊さん、オラに力を貸してくんろー』
ガマンできなくなったのか、やっつけるべーとか言って手を出し始めるフーちゃん。クワガタへ踊るように纏わりつくダイヤモンドダスト。王シリーズじゃないみたいだけど……それでも強そうなんですが。
「動き、鈍るしたっ!」
「今じゃっ!」
ウォーアックスを抜いたワワンパァが、上空から一気に降下。速度とパワーを2本の斧に乗せて叩きつける。
≪FOX3!≫
僕はクワガタの内外から同時に与ダメを稼ぐ。
「おりゃああ!」
地面に落下したクワガタの足を、ワワンパァが破壊していく。こうなったらもう終わりだね。飛ぼうとしても斧で殴られて叩き落される。みんなの攻撃が重なって、その内動かなくなった。
<エネミーダウン、ナイスキル!>
「勝ち~」
「結構硬かったねえ。素材としても使えそうじゃわ」
≪この大きさでもドールで取り込めたり?≫
さすがに無理だった。ドールで取り込むなら食べられるサイズだそうで。大型オブジェクトは、ワワンパァのダンジョンに持って行って取り込むしかないみたい。
≪エアタンカーに積んで帰る?≫
「ほんじゃ、お願いするわ」
外皮以外はいらないみたいなので、中身は僕が分解していく。ジアッロ4がやられちゃったし、ちょっとでも増やしておきたい。
このフォートレスちゃんは凄く大きいから魔石へ到達するのに時間が掛かっちゃったよ。出てきた魔石も大きかった。そして真ん丸。黄色い真珠みたい。
「〇《まる》ー!」
「珍しい形の魔石じゃねえ」
≪サイズも大きいね! 美味しそう~≫
「待った! ウチも欲しいんじゃけど」
≪えー食べたいぃ。残機増やしたいんだよね≫
「ウチもこれがあったら属性弾作りやすうなるんじゃけどぉ」
「半分こ、するある?」
「それじゃあパワーが落ちるけん意味がないんよ。せっかくの特大魔石が、もったいないし」
僕もワワンパァも戦力増強のために使いたいので、とりあえず残しておいて他のボスのも合わせて分配しようってことになった。
確定で他ボスがいてくれると嬉しいね。
たださあ、ハンドボールのボールくらいの大きさだけど口に入るの?
「そんな訳ないわ! 胸んとこ開いてからコアに直接取り込むんよ」
≪ワワンパァの顔が怖くならなくて良かったー≫
「ウチのことをなんじゃあ思うちょるんね……」
ギミック付きボディでセーフじゃった。ワワンパァの口が、蛇みたいにグパァって開いたら怖いもんね。
「ねえ、ポーちゃん、通路、扉、あるした?」
≪ん? ああ、今のところ見つかってないみたい。僕も探索してくるから、ふたりは入り口の辺りで休んでて≫
「良えん?」
イイヨーってことで分散して捜索に出る。改めてフーちゃんのデタラメさを思い知るなあ。このステージというか、一応部屋になってるっぽいんだけど、スゴイ広いんだよね。なのに辺り一面溶岩が固まった岩で覆われちゃってる。ダンジョンでしか使わないってのも納得納得ぅ。
そして部屋になってるっぽいというのは、流れた溶岩が、ある場所でくっきり終わってるんだよねえ。そこが端っこなんだと思う。異空間にダンジョンは作られてるってことだし、向こう側が見えてても、コッチとアッチじゃ別空間なんだろう。
やはり神様は別の惑星をダンジョンの力で繋げて、テラフォーミングしてる説を推したい。そうやって異世界を作ってるんだと思うよ!
次回≪MISSION:36 モンスターハウス≫に、ヘッドオン!
お宝
リング・オブ・アンチポイズン
スタッグビートル・フォートレスの魔石 外皮




