MISSION:34 饗宴
うーん、かっこ悪いけどさ、罠発見のために道幅いっぱいの板になって進もうかな。ロボがバトルできそうなくらい広いから、平べったくなるのは仕方ない。松明が掛かってて一応明かりはあるんだけど、暗いしサーチライト付きの板になって突貫だー。
進むにつれ魔物がチラホラ現れてきた。デッカイ芋虫。カラーは色々取り揃えております的な。絶対毒持ってる感のある紫なヤツもいたよ。サクサク処理しながら、増量していく僕。分かれ道も安心だね。
落とし穴とか、なにかのガスとか、アラームとかとか。罠もそれなりに発動した。アラームは魔物が来るのでお得です。拡散粒子爆雷を撒いておけば、勝手に処理されるからね。お陰で走る板隊は現在3番機まで増えてる。
扉も当然見つけてるんだけど、中は部屋になってて魔物が配置されてるだけっぽい。扉が石でできてるからなんか不思議。
今のところ隠し通路は見つけてない。強そうなのがいたらフーちゃんに残しておこうと思ってるんだけど、まだ遭遇はしてないんだよなあ。
あと残念なのは魔物を倒しても宝箱がドロップしないこと。ロマンが足りないじゃんねえ。今のところ魔物の素材だけだし、ソレは僕の残機を増やすのに消費しちゃった。
徐々に扇状に広がるマップを、魔物のお陰で増やせる僕を使ってマッピングしていく。最終的に通路は4本に収束していった。そのそれぞれの行き止まりに、今までとは違う豪華な感じの大きな扉。ボスがいて倒したら次のステージになるのかな?
明らかに今までとは違うので、ふたりと合流しよう。この場所に繋がる最初の分岐点に、半分くらい残しておいて呼びに行く。向こうの僕だけじゃマップ表示するための残機が足りないからね。
「──っちゅうことは昇降機を付ける必要はなくなるんかの?」
「私達、解決する」
「ほうじゃね。近いうちにこのダンジョンは潰れる思うわ」
≪お待たせ。なんか豪華な扉がある所までマッピング終わったよー≫
「んっ、じゃあ、行くするー」
「気ぃ付けてのぉ」
「ありがと。行ってくるけん」
ってことで再突入。罠はだいたい掛かっておいたと伝えてたら、壁の罠チェックをしてないことに気付いた。
「ほんじゃあ壁には手ぇ付かんように、しといたほうが良えかもね」
「分かるしたー」
まあ飛んで行けるし壁に触れることもないかなあ。疲れて寄りかかっての、テンプレ罠発動なんて起きないよ。
迷宮内なので、さすがに速度を抑える必要がある。ヘリのほうがいいかな。ラプターにヘッドライトってのも変だしね。
≪さて、分岐点に到着したわけだけど、どこから攻めようか≫
「一番強い、一番最後、良いこと」
「どこが強いかなんて分からんじゃろ」
感で進むことになった。便宜上、番号を割り当てておこう。僕が4面ダイスになって振ってもらう。コロリーン。
「4、行くするー」
「おっけー」≪了~解≫
数分進んだところでボスがいそうな扉の前に到着。
「うーん、ダンジョンマスターとしては悲しいくらい、簡単に攻略されちょる」
「攻略、ポーちゃん、いる、早いなるする」
≪意思疎通が完ぺきな大軍が攻略してるようなもんだしねえ≫
「ま、邪神の眷属じゃろうし問題ないんよ」
「開けるするー」
暖簾をくぐるかのように軽い感じで、オープンザドアー。やってるかーいって部屋に侵入すると同時に、鈍い羽音が多数響き渡る。大型犬サイズの蜂軍団だ。
「あ、ウチぁ見ちょって良えかねえ? こりゃあ魔法使いの領分じゃし」
「うん。良いあるする。煌めく怒りの王」
≪アッ! ズルイ!≫
「早い者勝ちィ~」って魔力が吸われそうな、謎めいた勝利の舞を踊るフーちゃん。
≪せめて朧の王にしておいてくれたらッ。魔石食べられたのにー≫
「ウッ、し、失敗あるする」
「見て見て、なんか仕掛けが作動して宝箱出てきたでぇ」
≪おおー! 初めて出てきたよ!≫
「わー、パチパチ~。開けるする」
≪罠があるかもだし僕が開けるよ≫
「おっけぇじゃ」「おー!」
壁のギミックが作動して、お宝が出てきた。その宝箱を僕で包み込んで、罠があったとしても被害が広がらないようにする。
さあ! 中身はいったいなんでしょうかっ!
それでは──開けてみましょう、オーープン! そんなアレコレ鑑定する番組みたく気分が盛り上がってたのに……。
≪トラップあった。毒霧が僕の中で充満してる。そして解毒魔法を知らない僕≫
「私、知る、ない」
「ウチも知らん」
ダメじゃん? とりあえず中身をふたりに見せた。銀色の指輪だったよ。宝箱のサイズとあってないっ! お相撲さんが余裕で寝そべられるくらいのサイズはあったのに、ポツンと1個。指輪1個。ただこの指輪からは、ご飯の香りがしてる。ワワンパァが鑑定して結果を教えてくれた。
「リング・オブ・アンチポイズンじゃね」
「解毒装備、人気あるす……扉、出るした!」
「このルートが正解なら、もうすぐ終わりそうじゃね」
「それ、つまるない、ある」
≪相変わらずのバトル好きだなあ。ねえ、それより僕ん中の毒霧、指輪で浄化できる?≫
できないらしい。仕方ないから毒霧入り風船状態のまま、先行することにした。様子見&ふたりのいない場所で毒霧散布するよ。
≪チョット待ってて。お、次のステージは……森かな?≫
会話用だけ残して扉の中に。洞穴の中の扉に繋がってた。外に出てみると谷の麓だね。崖の上は森になってるみたいだ。川辺に穴掘ってソコに捨てるかな。人のいない上に溜まっても意味ないから、たぶん空気より重いはず。下に溜まっていくと思う。
僕は大地にすかしっ屁を放った。穴を閉じて証拠隠滅だ。
そして今更だけど分解できたんじゃないかって思った。
マジ今更だけど。
処理したことを伝えて来てもらう。川の側だしお昼にしようってことになった。AWACSには上空で警戒してもらおう。
食事の準備をする、フーちゃんとワワンパァの声。川のせせらぎと、風で揺れる木々のざわめきだけが聞こえてくる。
≪生き物いないのかな?≫
「ほういやあ鳴き声聞こえんね」
「アンデッド、虫、こんな感じなる」
「アンデッドはイヤじゃねえ。臭いし」
「きちゃない、あるする……アンデッド」
≪臭くないし、虫系のステージなのかな≫
そしたら先に処理するとか言って、フーちゃんが上空に。僕らも荷物持って上がって来てとのこと。なにするのかな?
「饗宴、炎泥の舞王、デュオ」
「ッ!?」
絶句。ホントに声も出ない感じ。辺り一面を溶岩が覆っていく。巨大な虫が飛びあがっているのも見えるけど、噴火するみたいに吹き上がる溶岩が飲み込んでいく。
「饗宴、氷結の舞王、デュオ」
そして溶岩を追いかけるように、ジワジワ広がる氷壁が熱を遮断。一騎当千どころの話じゃないかも。あとは勝手に燃え広がって終わるんじゃない? ってフーちゃんが。
なんてヒドイおもてなしなんだ。饗宴じゃなく狂宴じゃあないかな?
「無茶苦茶じゃああーーー!」
≪スッゴイねえ!!≫
「ふぅ、お昼ご飯するー。休憩する!」
さすがに疲れるらしい。王シリーズ単体だってkm単位の破壊を撒き散らすのに、デュオってことは2つ使ってるってことだよねえ。
環境破壊も気軽にやっちゃうフーちゃん。ダンジョン問題は伯爵がすぐ解決するって言ってたのも頷けるなあ。
敵もいなくなってそうだし、AWACSは警戒じゃなくて探索に切り替えよう。
「ダンジョン以外、使う、道ないする」
「ウ、ウチんトコで使われんで助かったわ」
≪デスヨネー≫
「あの時、ポーちゃん見るない、あるした。始まり、蠱惑の王。順番~」
≪え、僕が4種の王を見てたらデュオってた可能性もあったんだ≫
「危なああ!」
今使ったデュオ、炎泥のほうは熱操作と星の精霊王。氷結は熱操作と液体操作の精霊王なんだって。当然まだ他にもあるけど、内緒、プププ~だってさ。
≪魔石がまた残ってない気がする≫
「アッ」
「まあ、ほうじゃろうね。ウチも魔石欲しいけん次は残してぇや」
ブッパし過ぎるんだよフーちゃんは。ま、他のルートもあるし次に期待しよう。
次回≪MISSION:35 スタッグビートル・フォートレス≫に、ヘッドオン!
お宝
リング・オブ・アンチポイズン
カクヨムとの話数調整のため19時にも投稿します。




