MISSION:30 リザルト
≪邪人? って初めて聞くんだけど≫
「邪神の眷属じゃね。世界の敵じゃけえ殲滅せんといけん」
「ポーちゃん、初めて、会う、ところ、いるした。司祭。あれ、角なし」
≪ああ、あいつもかあ≫
力を発揮する時は目が赤黒くなるんだけど、それ以外の見た目は人と変わらないから悪意で発見するしかないみたい。そして今回のは角付きだったので強敵だったんだそうだ。フーちゃんは問題なかったけど。まあ僕も問題ないね。
「ウ、ウチだって平気じゃもん」
「冷静、失う、ダメェ~」
「うっ……ほんじゃけどアイツら邪人のせいで村が滅んだけえ……」
≪そっか……≫
「それ、でも、ダメする。力ある者、責任」
「……うん」
女神の加護を受けて復活したのは、復讐の為じゃないってフーちゃんが諭してる。世界の守り手として生まれ変わったんだから、ちゃんとしなさいってことらしい。
へえ、人間と同じような思考をするダンジョンマスターは、そういう役目なのかあ。幼女が自覚するには重い気がするんですけど……?
「まあ、人身売買される前に助けられて良かったわ」
「ユッグベイン、したら、人、素材、可能性あるした」
「ホンマ、ろくでもない」
だよねえ。僕の中にも100人以上の経験が混じってるはずだし。知識なんかはあんまり継承してない感じはあるけどさ。国の名前とか常識とか知らないから。
≪あ、フーちゃん、船着ける場所はアッチっぽいよ≫
「んー」
騎士の合図に従って、鹵獲した船が着水する。船ごと飛んで帰って来たんだよねー。相変わらずのフーちゃんちから。
野次馬からも「どないなっとんねん」みたいな顔で見られてるね。子供からは絶大な人気中。飛んできた船に狂喜乱舞してるもん。
助けた人たちからは、改めてお礼を言われた。飛ぶ船を見た驚愕からかなあ? 受けてきた恐怖や、これからの不安なんかが少し晴れてるような、そんな雰囲気を感じた。
幸いです。
僕たちは騎士の案内で、馬車に乗る。オープンカーだね。つまり、事件解決の功労者として、パレードの主役になることが決定してるみたい。解決することが分かってての準備なのかあ。代官はフーちゃんのこと知ってるんだろう。
夜空に花火が上がり、キラキラした紙吹雪が舞う。楽団が楽し気な曲を奏でる中、街中がフィーバー状態に。しかも始まったばっかだというのに、酩酊っていうバッドステータスに陥ってる人もチラホラ。
そんなメインストリートをゆっくり進んで、僕たちは領主館に到着。案内に従って、中庭で行われていた立食パーティの会場に入った。
「お帰りなさいませスー様。この度の御助力、ありがとうございました」
「ンッ。私、仕事、当然!」
「ハハハ、陛下や妹からお聞きしていた通りですね。気取らず飾らず奔放に、世界の守り手として御活躍なされて」
「ンフー、て、照れる、する」
クニャクニャしてるフーちゃん。クニャンクニャン程じゃないけど照れてるのか。
「お肉が好きとのことでしたので御用意しておりますが、せっかくですので海産物も御賞味いただけたらと思います。改めてありがとうございました」
「お魚、好き、あるする! 仕事、終わるした。今日、お魚パーティ、するー」
挨拶もそこそこに、離れていく代官。僕らの食事を邪魔しないように配慮してくれてるっぽい。できる男ですな?
しかも王様とフーちゃんのことを話す間柄ってことは……結構偉い人なんじゃないかと思ったり。でも割と気さくな雰囲気なんだよねえ。ま、そんなに関わることもないだろうしいいか。
ワワンパァに食べたい料理を伝えて、その内DPで出してもらおーっと。おお、DP料理って名付けたら分かりやすいな。
≪この中でコアに登録されてない料理ってある?≫
「あるけど、今登録中じゃよ。ポーちゃんも食べたいじゃろう?」
≪やった! ありがとワワンパァ≫
「ポーちゃん、これ、オススメする、あるー」
楽しく食事を頂いて、お暇。明日の昼頃に来てくれとのこと。今回の報酬とか顛末とか、話があるみたいだね。
宿に戻った僕らは風呂に入って身綺麗にする。
またしてもかあ。
なんで貴族の前に出る時に、そのまま行っちゃうことになってんだろうね? いや、まあ、返り血なんかは服にエンチャントされてる、浄化の魔法で消えてるけどさ。
≪明日からどうする? 事件解決したし、観光も十分したし、領主館行ったあとに王都へ帰る?≫
「うん。帰る、する」
「王都は緊張するけど、フーちゃんの服が楽しみなんよねえ」
≪超ワカルゥー≫
「楽しみ、あるする」
≪結局、海竜とかクラーケンとか見れなかったなあ≫
そんな雑談をしながらサクッと眠りについていた。僕、死んでも問題ないとはいえ、誘拐された人を守る必要もあって、やっぱ結構な緊張はあったからね。
では改めて領主館に行きましょう。
「此度の顛末ですが──」
そう言って聞かされたのは誘拐を繰り返してた小料理屋が、この街にもあったということ。今まで発覚しなかったのは旅行客をのみを狙っていたからだそうだ。
なんでも滅多に取れない美味しいのが手に入ったとか言って、店に出すには少なく、家族だけだと多い。なので閉店後に来るかい? みたいなやり口で、観光客を攫っていたんだって。今回捕まってた人に聞いて発覚したんだそうな。
その小料理屋も邪人が経営してたみたいで、もう誰もいなかった。逃げたかプチ殺した中にいたか、それは分かんないけど。近隣の人たちはもの凄い驚いてたらしい。まさかあの人が邪人だったなんてって。結構人気があったそうだし。
「今回のことでこの街、我が故郷からは殲滅できておれば良いのですが……」
「昨日、パレード、悪、臭いない、した」
「奴らはどこにでも現れますから、ウーム」
そう言いながらムムムと頭を抱える代官。邪人っていうのは表と裏の顔がかけ離れてるんだなあ。ホントにフーちゃんたちエルフや、精霊を使役可能な魔法使いくらいしか見破れないのかもしれない。
≪ワワンパァは見破れる?≫
「ダンジョンマスターになって初めて遭遇したけど、分かる。アイツら魔石持っちょるけんですかね?」
「おお、そうであった、報酬を持て!」
そう言ってテーブルに並べられたのは、複数の魔石とジャマダハル2本と直剣2本、そして杖。鹵獲した船は、修理して使うみたい。内部にあった価値のあるものは、被害者たちの持ち物以外、換金して彼らに渡すそうだ。
「魔石はポー、武器はワワンパァへ。そしてこの杖は妹からの注文でスー様へ」
≪頂いても?≫
「無論。この武器は邪人の持ち物だが、魔法の武器であった。ゆえにワワンパァのダンジョンで活用してくれると幸いだ」
ジャマダハルは防御のが1本と鋭利のヤツが1本。それに加えて、魔力分解が付いてる+3武器。剣のほうは魔力分解が付いてる+2の物だそう。だからフーちゃんの魔法が切れたのか。
「あ、ありがとうございます。良えんですかね、ホンマにウチが貰うても」
「構わぬ。それで、スー様。報酬は受け取らないそうですが、こちらの杖は衣装に合わせた物とのこと。ぜひお納めください」
「衣装あるするぅ?」
「手紙が届いております」
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フィア姉様、いつ頃お戻りの予定ですか? 注文した服はもう完成しておりますのよ! あのお姿、忘れることもできず、ついつい似合いそうな杖まで考えてしまいましたわ! 兄に頼んでおきましたので、必ずお受け取りくださいますよう、お願いします! お急ぎくださいまし。
~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~~・~
「おぉ……う? エリヴィラ、妹する?」
「お恥ずかしい限り」
≪ああ、なんとなく納得! この街にピッタリな感じ≫
「ホンマじゃねえ。太陽みたいな人じゃし」
「そんな訳でして、必ずお納めいただきます」
「分かるした!」
ロッドってヤツかな。60~70cm、フーちゃんの腰くらいまでの長さ。紅玉を包み込むように枝葉が絡んでるこの杖。世界樹をイメージしてるんだと思う。暗い銀色がベースで、明るい銀色で縁取られた緑色ラインが捻じれながら上に向かってる。そして葉の部分が金色になっててとてもカッチョイイ良い物。
「王都、戻るする」
「はい。ありがとうございました。お気をつけて」
王様宛の書簡を受け取り、僕たちは帰路に付く。
でも僕の一部はここに残って、ゴスロリ浴衣のデザインを伝えることになった。問い合わせがいっぱい来てるんだってさ。
ワワンパァが流行っちゃうね。
次回≪MISSION:31 新型≫に、ヘッドオン!
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明日からは18時更新の1回になりますが、よろしくお願いします(*^-^*)
今書いてるところは102話なので、ストックはあるんですけど……しばらく手を付けられそうにない状況ッ
おのれ現実世界、ゆるせんっ!




