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コロロの森のフィアフィアスー ~子エルフちゃんは容赦なし~  作者: ヒコマキ
第1章 不老と不死の怪物たち

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MISSION:28 釣り

 宿も取ったし、屋台のお魚を食べに行こうと息巻くフーちゃん。でもお金持ってないから買えないんじゃ? って思ったら、フロントでなにやらチケットをもらっている。


≪それなに?≫

「引換券~」

「おー、便利な仕組みじゃねえ」

「屋台、食べる。この街、醍醐味! 美味、あるする!」


 なるほど。一旦、宿が立て替えておいてあとで国に請求する感じなのか。じゃあ観光に出掛けますか。AWACS(エーワックス)には海の探索をしてもらおう。できることならシーサーペントとかクラーケンとか海賊船をよろしくぅ。


「食べる、歩くする、ながら、悪、臭い、探すする、ついでする」

「見つけられりゃあ効率が()えね」

「うん」


 観光ついでにユッグベイン探しするみたい。まあ全部が全部、あの秘密結社ってことはないんだろうけどさ。キンタマ殴打じゃ済まないレベルだと、どこかに拠点がありそうだよ。

 でも食べ歩きがメインなので、ワワンパァはガトリングガンを取り外してる。ゴツイし、悪に日和られてももったいないとのことで。


「こっちー」


 フーちゃんの案内に従って、港方面へ歩いて行く。そっちに屋台が並んでるらしい。ああっ! そういえば異世界観光初めてだよ僕……。森か、王城にいるか、ダンジョンか、魔物探してるかだったし。


 王都とか南の商業都市とか、あんまり覚えてないんですけど。この港街はしっかり覚えとこう。せっかく綺麗な街並みなんだしさ。

 建物とか統一感があるんだよね。石積みの壁、そしてオレンジ系の屋根。石畳も綺麗に並んでる。地中海の街を探索してるみたいで楽しい。初めての海外旅行は異世界でした。


 魚の外見がバトル系なのを除けば。

 いや、普通のも並んでるけど、牙とか角とか背びれが完全に武器じゃん。こういうのって釣りとか網漁では取れなさそうなんだけど、冒険者が狩ってくるのかな?


 それとも元々バトル魚対策した特殊な道具を使ってるのかもだね。漁の時にこんなのが混じってたら網がズタボロになりそうだし。


「はいよ、おまちィ!」

「美味、しそうある!」

「ホンマよぅねえ。向こうで出せるように取り込んじょく」

≪おおっ、ナイスアイデーア! ありがと、ワワンパァ≫


 バターガーリックソースっぽい香りが食欲をそそる串焼き。子供の握りこぶしくらいの、ブロック状にカットされた魚が3つ刺さってる。1本でお腹いっぱいになりそうなヤツ。


 あと角付きサバの塩焼きみたいなのを頼んでた。バトル魚だー。角をもって食べられるみたいだね。

 バトルとは。


「ムゥ、お腹、いっぱいなる、した」

「何日かおるんじゃろ? 明日にしときんさい」

「する」


 貝とかエビとかイカもタコも、食べたかったとぼやくフーちゃん。いきなり欲張り過ぎだけど、確かに殻付き牡蠣の網焼きは美味そうだったなあ。僕はワワンパァのダンジョン料理に期待しておこーっと。

 今食べても生臭いコゲた海味になりそうだし。


≪街でも観光しながら釣りする?≫

「ウチらが美味しい餌じゃね」

「ふふ~ん、分かるした!」


 そうそう悪者が引っ掛かるとは思わないけど、観光もしたいので正義なのだ。


≪まず最初にさ、アッチの丘の上に行かない? 街を一望できるし、ワワンパァの武器を渡したほうがいい気もするしさ≫

「おっけーじゃよ」「おっけぇ!」


 飛ばないほうが釣れると思っているのか、ホバーも使わず歩いて行くフーちゃん。とてもレアだ。ワワンパァの服が可愛い上に珍しいので、結構な視線を集めてる。移動速度がゆっくりだから、じっくり見られて恥ずかしそうだね。


 時間をかけて丘の上に。ベンチとかジュースとかオヤツとかの屋台が出てた。見晴らしもいいし、家族連れやデートしてる人もいるね。


「キレイな街じゃねえ」

「虹、掛かるする、もっとキレイ、なるする」

≪それ、絶対キレイじゃん≫


 展望台から見る景色は、空からの眺めとはまた違った良さがあった。風が気持ちいい。白っぽい壁とオレンジの屋根が、向こう側に見える青い海に良く映えてるよ。


≪王都もたまには観光してみたいな≫

「分かるした。帰るした、する時、する~」

「フーちゃんの服、できちょるかもね」

≪ふっふっふ、良きことだね≫

「ウー、少し、恥ずかしい、ある」


 さて、ちょっと離れたところに移動して、ワワンパァの武器を投下しよう。


<こちらエアタンカー、申請を受諾。ワワンパァアームズ射出準備良し。投下!>


 武器を包み込んだ僕が、アフターバーナーを吹かしながら急降下。これならそんなに待たせないね。バシューと逆噴射しながら到着。10秒くらいかな。装備する時間も合わせると15秒ほど見ておけば良さそう。

 その間は僕かフーちゃんが、ワワンパァをカバーしておけばいいんじゃないかと思う。

 二本の斧をジェットパックの背面へ、クロスするように装着。彼女はイカツイモードになった。


「ありがと」

≪はいよー≫


 景色も堪能したのでメインストリートに向かおう。


「重心が後ろにあるけえ歩きづらいわー」

「実験、する、ないした」

≪してなかったねえ≫


 かといって前面にわざわざ重し付けるのもなんだし、ってことで慣れる方向で解決にしたみたい。戦闘時にはどうせ手に持つんだからってさ。


 改めて街の人たちを見ると、いろんな格好してる。海が近いから水着の人もいるし、冒険者もいるので重装備の人もいる。麦わら帽子+サングラス+水着にパレオっていう、セレブな感じの人もいたりするなー。


 なんか肌晒してる人が多いような感じだけど、ノースリーブのワンピースに白い帽子、みたいな清楚系だったりして下品な感じでもない。ここにきてふと疑問が生まれた。


≪今って夏?≫

「そう」「ほうじゃね」


 暑い寒いがない身体になったみたいってことに気付いた。ィイ今更アァ。


「フーちゃんは暑くないの?」

「精霊さん、いるする。頼むする~」

「温度調節しちょるんか。さすがじゃねえ」


 そんな感じで3日ほど観光してたら、遂にフーちゃんの釣り針に獲物が引っ掛かったみたい。死ぬレベルじゃないけど悪の臭いが尾行してるってさ。結構派手に買い物したしね。金持ちと思われたんだろう。王家から出されるお金で、王家にお土産買ってる僕たち。日も暮れてきたし、一旦ホテルに帰還する。


 でもその尾行には目視出来ないくらいの、小っちゃい僕がくっ付いて逆に尾行してるよ。港に向かってる。僕らの宿泊場所が分かったので、アジトにでも戻るのだろう。見た目は普通の水夫だから、フーちゃんがいなかったら悪って分からなかっただろうね。


 フム。ヤツらのアジトはどうやら港の端にあるようだ。もっと詳しく状況を把握するため、僕は半分使った消しゴムくらいのサイズに増量する。悪者のアジトを掃除して増えるの、なんかイヤだけど。


≪こちらジアッロ1 イレイサー隊は分散して内部状況を調べろ≫

<イレイサー1 了解。丸裸にしてやろうぜ>

≪健闘を祈る。オーバー≫


 4機作ったマンゴー色の消しゴムカー部隊で、屋内マップを作成していく。ふたりにも状況を知らせるため、実況してるよ。


「船長から連絡が来た。今夜だそうだ。向こうさんがお急ぎらしいんで、補給だけ済ませてすぐ出港するとさ」

「了解。出荷の準備しておこうぜ。ってぇこった。今回は諦めな」

「ッチ、しゃあねえな。せっかく旨そうなガキだったのによ」


 どうやら僕たちは諦められたっぽい。出荷の準備とやらのために、床下にある倉庫から、隠し通路に入っていく悪党たち。

 そんな時、AWACS(エーワックス)からも連絡が入る。


<こちらAWACSヘヴンアイズ 怪しい船を見つけた。沖で2隻のボートを出した船がいるんだけど、そのボートが敵アジト方面に向かってるよ。旗艦っていうか本体というか、その船は漁港のほうに進んでるね>


 荷物なんてなく、空のボートが夜の海を進んでるってさ。アジトからなにかを本船に運び入れるためかな。

 なにか。それは人だった。アジトから岸壁に続く隠し通路の先に、攫われたと思われる人たちがいたんだ。

次回≪MISSION:29 邪人≫に、ヘッドオン!

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