MISSION:25 可能性
≪で、送っといた改装案だけど、どうかな?≫
「だいたいあれで良えと思うよ」
それとは別に水平尾翼とアンカーを、ブーツに取り付けることにしたみたい。上半身に追加武装を付けて重くなるし、バランスを取るのと同時に安定性を高めるのが目的だそうだ。
アンカーはテンションだけでコッチに残った僕が勧めた可能性が……使い道なさそうだよ。いや、確かにパカァって開いて、ガシュンってアンカーが地面に刺さるのはカッコいいけどさ。
で、新しいジェットパックは、もうできてるんだって。あとはコアをセットするくらい、とのこと。見せてもらったら形も新しくなってた。なんかチューブも上部から左右3本ずつ伸びてるね。バラけないよう纏められている。ミサイルポッドにエネルギーを供給するための物だと思う。
そしてジェットパックの横に、縦長な三角形型の幅広い主翼が取り付けられている。昆虫の羽みたいに横へ開く感じで、畳んでるとワワンパァの膝裏くらいまでの長さ。今までの2倍はありそうだね。
肩に掛ける部分が革製じゃなくなって、アーチを描いた木製になってた。ドールの肩と胸に当たる部分には、ロックボルトっていうのかな? バスって打ち込んでクルクルーってネジ締めるヤツ。意志持ってる系巨大ロボなんかを、拘束する感じのテンション上がる良いもの。ソレが付いてた!
≪よきよき≫
<でしょー?>
「なにがそんなに良えんか分からんけど、ドールのほうも改装するけん一旦バラすわ」
「私、道、作る、行くする」
「あ、待って待ってフーちゃん。ウチ、その作業見たいけえ、あとにしてくれん?」
「分かるしたー、じゃあ、待つ、する」
ジェットパックが装着される部分に、寸法を確認しながら穴を穿つ。コーティング剤と思われる液体もヌリヌリ。手首と肘の間にも同じ処理を施している。これはミサイルポッドを固定するためだね。
≪ミサイルポッドもできてるの?≫
「うん、あるよ。アイデアもらってからすぐに作っちょるけん。ほら、これ」
そう言って見せてくれたのはミサイルポッドじゃなかった。
≪うおぉぉおぉ! ガトリングガンだー!≫
テンションが上がってミョーンミョーンする僕を見たワワンパァは、ダンジョンに残った僕に言われた通りだったとケラケラ笑ってた。
くっそ、謀られた。嬉しいヤツだけどさー。
≪アレ? でもガトリングだと手が使えなくなるから困るんじゃ≫
「使わん時は半回転させりゃあ良えよ」
ほーん、手の先まで銃身が伸びてるので使い辛いんじゃないかと思ったけど、トンファーみたいな動きをさせるみたい。
……半回転させたら手首辺りにさ、そこそこデッカイ弾倉が来るんだけど、いいのかな?
「試したら割と平気じゃったんよ」
≪じゃあカッコイイだけだね。ね、フーちゃんもそう思わない?≫
「寝ちょるね」
退屈だったのか、お昼寝モードでした。ゴメン。起こすのもなんだし、もうちょっと武器の話を聞こう。
だってバレルも木製なんだもの。木目がウツクシイナー。
≪コレ、大丈夫? バレルが弾の射出に耐えられそうにないんだけど≫
「耐久実験済みじゃし大丈夫」
全部が木でできてる訳じゃないんだってさ。バレル内部と、エネルギーを圧縮する部分はミスリルを使ったそうだ。木も普通の木じゃなくボディに使用した霊樹で、硬さと粘りは相当なものなので問題ないみたい。当然のように熱対策もバッチリだって。
僕のミサイルが当たってもチョット凹んだくらいだったもんねえ。それにしても2時間足らずで作れるものなのかあ。凄すぎー。それを聞いてみたら、ダンジョンの機能で作りだしたと答えが返って来た。
ガトリングガンは僕が形作って教えたらしい。そりゃそうか、現代兵器だし、ワワンパァには分からない形してるもんね。
それにしたってさ、僕だってガトリングガンの中身は分からない。弾丸の供給とか発射とかバレルの回転とか。全部同期させないと使い物にならないはず。だというのに作っちゃってる。
ドールの作成とかダンジョンの神殿の装飾とかでも思ったけど、物作りに関してドワーフは凄すぎるんじゃないだろうか。ドワーフ自体凄いのか、ワワンパァだけが凄いのか、それは今の僕には分かんないんだけど。ワワンパァしか知らないからね。
とりあえず、フーちゃんもワワンパァもオカシイくらいスゴイってことにしておこう。
「そんでねぇ、昨日の今日じゃけど5、6日泊まってってぇや」
≪分かった≫
色々作るものが増えたのでDPを稼ぐ必要がある。とりあえずダミーコアがもう一個ないとなにも始まらないな、ってことで、結局は1週間くらいダンジョンでまったりすることにした。そのくらい経てば拠点用の資材も用意できるんじゃないかと思う。石材に関しては、国軍用ステージまでの通路を作った時に得た物があるって、ワワンパァが言ってるし。
フーちゃんが作る間に合わせの街道は、今日じゃなくてもいいかな。もう夕方になるしね。起こして夕ご飯にしようか。
≪ってことになったよ≫
「分かるしたー。時間余る、無駄。パァちゃん、訓練する」
「新装備じゃもんね!」
フーちゃん起こして説明。夕飯にしようとしたら、食後のデザートを取りに行くことになった。マンゴーが気に入ったみたい。ワワンパァドールはメンテナンスモードなので、本体と一緒に出撃だー。ちなみに本体は近距離戦しかできないそうだ。本体用のジェットパックに、追加のダミーコアが必要になるし、魔法は使えないんだって。マジックアイテムを作るから魔力は使えるそうだけど。
≪コア追加したらいいじゃん?≫
「ウチぁ戦闘が仕事じゃないけんね。もったいないんよ」
本物のコアは移動できないし、ワワンパァだけ逃げても意味ないし、ってことみたい。コアルームに到達されないよう、ダンジョンを強化するしかないそうだ。
「パァちゃん、死ぬ、イヤする!」
「そう簡単に死にゃあせんわいね。ガトリングガンのトラップを抜けてくるんは、そうそうおらんじゃろ」
≪確かに。フーちゃんと僕には効かなそうだけど≫
魔物も配置してるだろうしね。そもそも国と契約してるダンジョンなので、違反してまで潰しに来るのはいないと思われる。潰したところでダンジョンコアという大きな魔石が手に入るだけだもんねえ。それはそれで儲かるだろうけどさ。
潰さずに継続してダンジョンを利用したほうがお得だ。
「アンタらがオカシイだけなんよ」
「ンンー?」
≪ワワンパァのつよつよ装備だよ。楽しみにしててね≫
「おー、楽しみ、あるする!」
話してたら夜になってしまったので、マンゴー狩りはお預けになってしまった。ションボリするフーちゃん。
「まあ、ダンジョンの機能で出せるけえ」
「分かるした。仕方ない、あるする」
ついでに、と晩ご飯もダンジョンの機能で出していくワワンパァ。
魚介たっぷりトマトソースのペスカトーレ。ゴロゴロお野菜のポトフ。タレと油の香ばしい匂いが漂うスペアリブ。非常に美味しそうなご飯がテーブルに並べられた。
「美味、そう、ある!」
「デザートはあとで出すけん。冷たーいヤツ」
「おおー」
テンションの上がりまくったフーちゃんは、跳ねながらクニャンクニャンしてる。スーパー嬉しそうだ。
≪僕はあとでフーちゃんから魔力もらおっかな≫
「そういやあポーちゃんは食事せんねえ?」
≪ああ……匂いは人間の時と同じように感じるんだけど、味が……≫
ワワンパァに味の感じ方を説明した。ビール大好きだったのに麦畑で転がる味だったんだああああああぅ。そんな感じのことを。
「そんなんあんまりじゃあぁぁ」
「パァちゃん、泣く、した」
「だっで、酒の味が分からんようになるっで……あんまりじゃよぉぉ」
≪いやいや、大丈夫だから! フーちゃんの魔力と魔石があったら十分満足できるから!≫
まさかビールの味が分からないからって泣くとはねえ。
どんだけ酒好きなんだよ。
ドワーフ……なんてテンプレなんだ。
でも一応出してもらったものなので、僕も食べる。3人分あるし。ワワンパァはダンジョンに吸収しちゃえば、ある程度はDPが戻ってくるって言うけどさ。そりゃあもったいないってヤツじゃん。ワワンパァが大事にしてることじゃん。
≪いただきまー……っ!?≫
「どしたん? 無理せんで良えよ?」
「ン。私、魔力、あげるする」
ビクンと跳ねて、様子のオカシイ僕に声をかけてくれるふたり。違う。違うんだ。
≪あ、あ、味が……ある! え、うっそ、マジで!? 味があるよ!! ご飯に美味しい味がするよ!!!≫
僕は泣けない身体になったけど、号泣しながら夢中で食べた。フーちゃんも泣いてた。僕のご飯のこと、気にしてくれてたんだね。嬉しすぎても減るんだなあ、残機って。増える以上に減っちゃったよ。そんな僕たちを見て、ワワンパァはオロオロしながらデザートを出してくれた。
「まだあるけん! 美味しいの、まだあるけえ!」
マンゴーのシャーベットを僕たちは堪能した。慌てたのは分かったけど、いくらなんでも量が多いよワワンパァ。
でもありがとう。
次回≪MISSION:26 こちらダンジョン入り口前出張所≫に、ヘッドオン!
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