MISSION:24 オリハルコン
「それにしても、ポーちゃんの身体、ぶち硬いんじゃねえ」
「火花、出る、してた」
「ポーちゃん金色じゃし、叩いた時に火花出るんは黄鉄鉱の特徴じゃけど……うーん」
魔法の武器で叩いたのにダメージなかったもんね。硬さが黄鉄鉱なんかより随分上なんだそうだ。思い当たる節はあるみたいなんだけど、どうにも信じられないことっぽい。
「オリハルコンに近しい物質、っていうのをウチは感じちょるんよ」
≪はあっ!? 僕が? オリハルコン……ロマン金属じゃん≫
「ポーちゃんは鉱物じゃなく生物。じゃけんオリハルコンっぽい物質なんじゃろうかねぇ。なんでそんな超希少な金属の身体に、なっちょるんか謎すぎなんよ」
オリハルコンの特性として、魔力伝導率と硬度が高水準なんだってさ。しかも僕って増える。そういってワワンパァはクスクス笑う。でもちょっと……笑い事じゃない気もするね。フーちゃんもなんか思案中。
≪フーちゃんフーちゃん、あの時の連中、なんて言ったっけ? 僕と初めて会った時の≫
「ユッグベイン」
「えっ!? ポーちゃんってもしかして」
≪あいつらに作られたんだよね、僕≫
「思う、以上、戦力ある、する、かも」
世界に仇なす秘密結社なのに、資金力も技術力も高いっぽい。だからと言って、すぐに捕縛やら殲滅やらができるわけでもない。フーちゃんも見つけるのに苦労してるみたいだし。精霊が悪意に敏感なのにね。結社の末端部分は、いいことをしてるっていう認識なのかもしれないなあ。
「ほんじゃあ地道に探すしかないんね?」
「大変、あるする……」
結局は今までと同じように、頑張るしかないみたいだよ。
「戦力の増強が必要じゃね。実際に試したら対空戦闘に不安があるけぇ、ダミーコアを追加するわ。ポーちゃんのミサイル? のこと、教えんさい」
フルアーマーカスタムな感じのが頭に浮かんだ。問題は弾なんだけど、ダミーコアで作れるってさ。そして重武装化するということは重量も増えるから、飛行のための機構もそれに合わせないといけないだろうねえ。
主翼を大きくして、可変翼機みたいに可動させるのがいいのかな? 飛ぶ時にウィーンって左右に開く感じ。普段はジェットパックの横から下に向かって畳んでてさ。
そんでもって追加武装は、ヘリの横っちょに付いてるようなミサイルポッドを両腕に装着。肩とか足とかに付けるヤツは、誘導弾じゃないと当たらなそうだからなしかなあ。弾作れるんなら腕のだけで足りそうだしね。
ダミーコア追加するなら僕もダンジョンに行ってDPを稼ぐべきかなー。とりあえずフルアーマー・ワワンパァ・カスタムの草案を、理由も添えてダンジョンにいる僕に伝えといた。先行して作れるだろうし。
≪建築資材運ぶついでにダンジョンに行ってくるよ≫
「私、道、作る、やるするー」
「じゃあウチぁコッチから通路作りながら戻るわ。ダミーでもそのくらいならできるけんね」
≪AWACS、一応フーちゃんの道標用に僕を飛ばしておこう。5Kmごとにダンジョンまで。ヨロー≫
<分かったー>
「ポーちゃん、ありがと、ある」
≪アイアイ~≫
そのカテゴリーオーバーは僕です言う隊以外を総動員。輸送機のエアタンカーにする。王様に連絡を取って、資材置き場を聞く。
あ、ハイ、ソデスカ。言われてみればそりゃそうだよ。今日報告したのに資材があるわけがない。まだ手配している段階でしたとさ。ハイ、解散んんー。
なので半分に分かれて、フーちゃんとワワンパァに付いて行くことにした。
「ポーちゃん、ドジ、ある」
「ポンコツ臭が漂っちょる」
≪むぅ……チョットしたミスじゃーん≫
でも結局は全員で行動することになった。フーちゃんもトンネル作りが見たいんだって。ダンジョンの通路を作るところなんて、そうそう見れるものでもないからね。
「ほんじゃあ行こうか」
壁に向かってワワンパァがタブレットを操作し始めた。覗き込む僕とフーちゃんだけど、半透明な黒い板にしか見えない。
≪フーちゃんはなにか見える?≫
「見える、ない」
「まあ、こりゃあウチのダンジョン専用じゃけんね。マスター以外使えんし」
どうやらダンマスにしか見ることができないようだ。残念。ワワンパァがタブレットの上で指を滑らせると、クラフト系のゲームのように、ポコッポコッって四角く削れて行く壁。なんか気持ちいい。
徐々にアーチ状の入り口ができていく。馬車がすれ違えるくらいの幅だね。高さは結構ある。槍なんかも振れるんじゃないだろうか。
現代のタブレットと使い方は一緒っぽい。スワイプしたりタップしたり。最後に格子状の扉が作られて、入り口は完成。上下に開閉させてチェックしている。
通路作りは、入り口みたいな細かい作業じゃないようで、ゴッソリ削られていく岩盤……不思議すぎる。壁の中に地下があるみたいな謎空間が目の前に。
フーちゃんは通常の出入り口から出て、壁の裏側を見に行った。テレビの中のボールが、画面外に消えたのを追いかけるペットのようです。
かわよいよい。そんなフーちゃんが、戻ってきて一言。
「不思議、ある、すぎる。不思議ぃ」
「入口を境に異空間なんよ。面白いじゃろぅ?」
「うん」
≪ポコッポコッって消えていくのも、なんか癖になりそう≫
「なるねえ。地下迷宮はそれで作ってしもうたー」
気持ちよくなっちゃったそうです。
「もう、入る、できる? 崩れる、ないする?」
「平気。ダンジョンに向かおうや」
≪おー!≫
不懐の保護が働くから安全とのこと。壁をくり抜いてショートカットできないようになってるダンジョンの壁。神様力の賜物だねえ。
≪んっ? でも歩きの速度だとダンジョンまで2日くらいは掛かるんじゃない?≫
「ム、遅い、ある、する。良い、ないある」
「ほうじゃね……通路作りはすぐできるけえ、地面走る形のポーちゃんに乗って移動しようやあ」
≪分かった≫
AWACSも一緒に連れて行こう。そのほうがDP稼げるだろうしね。
では、ビルドマイイイイイィィンッ!! オープンカーになる僕。法陣術でちゃんとヘッドライトを点灯させる。
≪乗って乗って、走るよー≫
「見たことない形じゃ」
「へんてこ、四角……」
丸いオープンカーってあったっけ……? カクカクしたイメージしかないからアメ車っぽいのになったけど。
「形は問題じゃないんよ?」
≪まあ、フーちゃんがイヤなら丸くなるよ≫
「良いこと!」
なので時速40kmほどで走るテントウ虫型車両が、ダンジョンを駆け抜けるのだったぁ。
20分ほど進むと、ダンジョン側から伸びていた通路に繋がったので、速度を上げて国軍用ステージに向かう。といっても、まだステージはできていないとのことで、だだっ広い荒野があるだけだった。
このステージは秘密の場所なので、冒険者用のステージには繋がってない。冒険者が国軍専用の、この場所に入れないようにするためだ。王城とコアルーム手前のステージだけ、出入りが可能になってるよ。
「もったいない使い方なんじゃけどね」
まあ国軍しか入らないなら、入手DPも限られるってことなんだろうなあ。もったいないもったいない言いながら、隠し扉をオープンしてるワワンパァ。どれだけもったいないことが嫌いなんだよ……。国軍が強かったら逆に儲かるかもしれないじゃん?
≪朝ぶりー、ワワンパァ≫
「すぐ戻ってきたねえ」
「本体、柔らか」
「フーちゃんは自由に生きちょるねえ」
ワワンパァに抱き着きながら、彼女の腕とかを確かめるようにつつくフーちゃん。そんな姿を見て、ワワンパァはフーちゃんの本質を見抜いた。
まあ誰にでも簡単に見抜けるけど。色々とフリーダムが過ぎるのさ。
フーちゃんは。
次回≪MISSION:25 可能性≫に、ヘッドオン!
※オリハルコン
考古学的な真鍮のオリハルコンではなく、ファンタジー的なオリハルコンでオナシャス。




