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コロロの森のフィアフィアスー ~子エルフちゃんは容赦なし~  作者: ヒコマキ
第1章 不老と不死の怪物たち

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MISSION:18 力と力

 それぞれの僕も、僕と同じ思考で行動している。つまり別動隊にも戦車隊がいたので、部隊を編成可能だ。接敵する前に投下して、地上の掃討を任せよう。


<峡谷上部の敵機は視認可能。でも谷の両サイドは騒がしくなってきてるってことしか分かんないね>


 ダンジョンも魔物をここに集めてるみたい。力と力のぶつかり合いになりそうな雰囲気。残機が増え続ける僕に負けはないと思うけど、掃討するには時間はかかりそうだね。

 南を探索してたミダース隊も合流。フーちゃん隊以外は集結した。


 僕たちは峡谷を挟んで2部隊ずつ展開。それぞれが戦車部隊を投下する。


≪行こう≫

<こちらAWACS(エーワックス)ヘヴンアイズ。

 目標は北東より接近中。接敵までおよそ120(ヒトフタマル)


 戦闘指揮はAWACSに任せよう。バトル中だと視野が狭くなるし。


<各隊に指示を通達する。

 ブレイド、ハンマー、ファング、ランスの各地上部隊は進路を確保しつつ前進。敵地上部隊を掃討せよ。

 ジアッロ、ミダース、オーロ、アウルムの各機はジアッロ1に従い、敵航空勢力の無力化を急げ。

 こちらは引き続き警戒を行う>


<ブレイド了解≫≪ハンマー隊、了解≫≪ファング、了解≫≪こちらランス隊。了解した>


 放たれる言葉は敵勢力の撃破。各部隊の僕は了承の意を返した。


≪ジアッロ1より各機。

 ジアッロ、オーロ、ミダース、アウルムの各隊は可及的速やかに制空権の奪取。

 のちに特殊兵装を対地に変更し、地上部隊を掩護する。オーバー≫


 航空部隊の隊長機である僕はそう指示を出し、速度を上げながら雲の尾を引く。僕を頂点に、追従しつつも編隊を崩さない様は、練度の高さを証明しているようだゾ。


 まあ、全部僕だしね。


 緊迫した風の舞う、戦場には似つかわしくない麗らかな日差しを照り返す──黄金の翼。

 キンピカラプターとはいえ、それはまさに猛禽と呼ばれるに相応しい、武威を発しているのだ。


<オーロ1了解。FA(ファーストアタック)は我々オーロ隊が頂く>

<アウルム1、了解。とっとと終わらせて風呂に浸かりたいもんだな>

<こちらブレイド隊。地上の敵は俺たちが全て喰らいつくす。お空のキミたち、蚊トンボ相手に頑張りな!>


 醜悪な笑みを浮かべ、駆け寄る物の怪。

 咆哮を上げ迫り来る飛竜。

 眼前に広がる敵勢力。


<ハッ、言ってろ!!>

≪ジアッロ1より各機。目視で標的を捉えた。はしゃぎ過ぎるなよ?

 ブレイク!≫


 より一層盛り上げるために、怯える心を奮い立たせるかのような「雰囲気語」で僕らは語り、散開する。

 異形を破壊すべく射出されるロングレンジミサイル。

 魔獣と兵器。

 ヌフフ、まるで映画の主人公のようですな。

 その戦いの火蓋が今──


<オーロ2 FOX3!>


 ──切られた。


<早漏野郎!!>

<アウルム3 エンゲージ!>

≪こちらジアッロ1。後ろにエルヴンがいることを忘れるなよ……絶対に抜かれるな!≫

<了解! といっても大丈夫でしょ>

≪フーちゃんだしねえ。まあ、お昼寝中ってことだったし念のためだよ≫

<むしろ残しとかないと>

<確かにー!>


 まずは移動速度の速い空の敵を処理しないとね。それさえクリアしちゃえば問題ないでしょう。万が一、地上の敵がフーちゃんに届く頃には、彼女は暴れん坊にクラスチェンジしてるだろうし。


≪ミサイルで追い回しながら拡散粒子爆雷で仕留めよう≫

<ラジャ>


 大型飛行生物は後ろからの攻撃も避けるんだよなあ。やっぱ魔力かなにかを感知してるっぽい。なのでロック鳥戦の時みたいな戦いかたを行うことにした。

 順次発射される特殊兵装を、敵航空勢力を覆うように広げていく。


 ただ、ワイバーンと思われる魔物から発射される火炎は、魔力を介さないものらしく、触れたら死んでるね。食べられない。燃焼してるなにかが炎の中にあるかもだけど、そこに僕が届いてないや。せっかく粒子が覆ったけど、炎の通り道にぽっかり穴が開いちゃった。


 僕の粒子で制空権を取るのはムリかな。敵の羽ばたきなんかでも舞い散っちゃうし、結局は至近距離で拡散するしかなさそう。


 下位互換とは言え、さすドラ(・・・・)だ。火炎放射や火炎弾を使って航空部隊の僕たちを狙ってくる。

 この強敵には余計なことしないで、ミサイルをぶっ刺すのが一番効果的かもしれない。その刺さったミサイルで僕を増量しながら、さらにミサイルを追加しちゃおう。


 大型の鳥や昆虫は問題なさそうだ。コッチのミサイルを避けるとはいえ、射出系の攻撃方法を持ってないみたいで、取り込まれるために近寄って来てるとしか思えないね。ゴチになりまーす!


 味は試さない。ゴブリン並みのやっばいヤツがいたら危ないし。戦闘中にボェェってる場合じゃないんだ。


≪特殊兵装をマルチロックオンに変更。ミサイルをばら撒いてやれ≫

<オッケー、8TAAM発射!>


 次々と発射される僕に対し、徐々に攻撃が減少するワイバーン。回避行動が増えたからだ。このまま物量で攻めていこう。


≪ジアッロ1 FOX3!≫


 ミサイルが飛び交い、火炎放射が空を焦がすカオスな戦場は、なぜか僕に生を実感させていた。


<AWACSより各位。峡谷の先から敵航空勢力の増援を確認。排除を急げ!>

≪うおお? マジかあ≫

<地上部隊の掩護どころじゃないね!>

<こちらブレイド隊。地上は問題ないから空を制圧しろ!>

<エネミーダウン! オーロ1、ナイス。増援合わせて残り28!!>

≪了解、AWACS。ワイバーンなのに、まるでカラスの群れだなあ≫


 他の地上部隊からも問題なしとの通信。空に集中しよう。何体かは落としてるけど、まだまだワイバーンは残ってる。遠くから見たらさ、空に胡麻をまぶしたみたいに見えてるよ、きっと。


 そんな時、アイスボックスから焦ったような通信が入る。


<こちらアイスボックス! フーちゃ──>

≪えっ!?≫

「ずるい、私、やる、するーー!」

<──んがスッゴイ勢いで飛んでった、ってもうそっちにいるの!?>

≪えええええ!?!? いつの間に来たの???≫


 今、来る、したって言うフーちゃんが、なんかオーラを纏っているかのように揺らめいて見える。

 え……? これが本気のフーちゃんってこと? 今までの戦闘はそんなでもない感じ?


「全部、もらう、する、おっけ?」

≪う、うん。オッケー≫


『ポーちゃんに見せたことないの見せるべ! おぼろたる始まりの王!!』


 その言葉が放たれた瞬間、ワイバーンたちが喘ぐように悶え、殺虫剤をかけられた虫のようにポトポトと落下していく。


≪エエェエエェ……僕のミサイルも弾けながら落っこちてるんだけど?≫

『あ、ポーちゃんのも巻き込んじまっただ。すまねぁー。森のポーちゃんは避けてなー』


 ランランと目を輝かせながら、次の獲物を探すフーちゃん。完全に捕食者プレデターです。

 なんていうか……喰らった感じは、内側から膨張するようなフーちゃんの攻撃。朧たる、とかいう言葉と前に聞いた話から連想できるのは、真空状態にされたのかな、ってことだ。僕、息してないから内部に入ったわけでもなさそうだし。

 僕とワイバーンがワチャワチャ飛んでる、あの辺りだけの範囲。フーちゃんと一緒にいる僕たちには影響ない。


 なんてデタラメなんだ、エルフ。


きらめく怒りの王」


 炎の海と化す樹海。


とら蠱惑こわくの王」


 そんな樹海をササっと鎮火してしまう、液体操作と言ってた魔法。

 そしてドヤるフーちゃん。


「終わる、したっ!」

≪カッコイイ魔法だね!!≫

『だべ? だべ? オラの精霊さん、カッコよぐてメンコイんだべさ。んふふ~』


 クニャンクニャンしながら照れるフーちゃんは、とーってもかわよ(・・・)なんだけど、眼前に広がっていた森はとーっても、ヒドイ惨状となっておりますゥ。

 そして巻き込んだ僕を増やすためか、魔力を送ってくる。


≪ばらけただけで減ってないから平気だよ≫

「ポーちゃん、デタラメ、ある」


 と、驚愕のフーちゃん。いやいや、どっちがダヨー。どうやら朧の王は必殺の魔法だったみたいだね。煌めく怒りの王もそうだけど、朧たる始まりの王は群を抜いてカッコイイな! 僕的に、始まりの王とかー! 凄いワクワクするワードだよ。


≪始まりの王って言葉で、ワクワクしすぎてチョット死んだ。この死因は忘れてたなあ≫


 分かってる。だからバカなの? 死ぬの? みたいな顔で見ないでくんろ~。

 どうやら僕にはケモミミと同等の、破壊力がある魔法の呪文だったらしい。


<こちらAWACSヘヴンアイズ。峡谷の岩盤をくり抜いた、神殿の入り口らしきものを発見。合流されたし>

≪フーちゃん!!≫

「うん! 行くするー」


 ダンジョンらしいダンジョンが現れるのかな?

次回≪MISSION:19 ダンジョン暮らしのワワンパァ≫に、ヘッドオン!


※8TAAM:8ターゲット・エア・トゥ・エア・ミサイルの略

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