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コロロの森のフィアフィアスー ~子エルフちゃんは容赦なし~  作者: ヒコマキ
第1章 不老と不死の怪物たち

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MISSION:13 命の時間

 ◆


<間に合えっ!>


 竹とんぼ形から変形したサテライト。しかし、さすがに虫サイズでは速度が出せず、精々が紙飛行機程度だった。風に煽られながらも魔獣に接近していく。


「ドゥグ! くっ、なんとかセビンに回復薬をかけられないか!?」

「無茶言うなっ。攻撃がお前だけじゃ接近されるだろうに!」

「マイラ待ちかっ」


 冒険者達は声を掛け合いながら、魔獣の狙いを分散させるように挟撃するものの、彼らの弓矢では大したダメージを与えられてはいなかった。


 天然の鎧である毛皮。そしてあふれるパワーを内包した筋肉が、攻撃から身を守っていたのだ。ポーたちが考えるように弱点である眼球、もしくは柔らかな口内や耳の穴などに攻撃することが可能ならば、状況は変わるだろう。だが戦闘中である現状、それは針の穴を通すようなもの。現実的ではなかった。


 しかし彼らの行為は無駄ではない。沈黙を守っていたマイラと呼ばれた女性から、練り上げられた渦巻く魔力が立ち昇り、朗々たる(うた)声が森に木霊する。


「ねえ、聞いているかしら? 私は知っているの。ねえ? あなたたち。私は見たわ、あなたたちが空を駆ける様を。だからお願いしてもいいかしら?」

<なに言ってんだこの人!? イミフなこと言う状況じゃないだろうに!>

「あなたたちの狂乱を。光り輝く喧騒を。ねえ? 私は見たいの──天翔あまかける獄鎖!!」


 魔物を上下に挟む2つの魔法円が展開された。

 轟音が鳴り響き、閃光が駆け巡る。


「ゴアアアアアアアアアアアアアアッ」


 いかずちの魔術に打たれ、苦悶の咆哮を上げる魔獣。

 ポーにとっては初めて見る魔術が放たれる。幸いにも彼は効果範囲に入っておらず、残機が減ることはなかった。


<うっそ、魔法? 今のが魔法の呪文なのか……>


 雷による痺れの追加効果で、魔物の行動が一時的に止まり、それを好機とみた全員が行動を起こす。


<今のうちに取り付こう!>

「今よドゥグ! セビンを!」

「うおおお! 頼むぞカルゥ、近づけさせるなよおっ!」

「おおっ!!」

「ギャオオオオオオオオオ」

「うわっなんだ!?」


 カルゥが矢弾を放とうとしたその時、突如として苦しみ始める魔獣。それはポーが魔獣の眼球を分解し始めた瞬間だった。


<今のうちに逃げてくれれば……>


 少なくとも距離を取る時間は稼ぐつもりのポー。残機を増やしながら、分解速度を上げていく。


<FOX3!!>

<キター!>


 ミサイル役のポーが本体に先駆け到着し、攻撃の合図を出す。魔獣は顔を押さえて悶えながら暴れている。それは、やり取りこそなかったが、冒険者との共闘が上手くいっていた証だった。


 黄金の杭が、魔獣の足に突き刺さる。移動を阻害し、冒険者の安全を確保するために。


「ウソでしょ!? 今度はなんなのよお……」


 しかし、見たことも聞いたこともない物が魔獣を攻撃しているため、混乱するマイラ。危険が去っていないと考え、ポーの退避してくれという思いとは逆に、魔力を練り始めてしまう。


<説明しないとマズイ>


 メッセージウィンドウとして機能する程度の量を分離して、マイラに近づいて行くポー。その姿は黄色のスライムであるため、当然ながら冒険者を警戒させてしまった。


「てめえっ」

<待って待って! 大丈夫!! 助太刀するから安全な場所まで下がって!>


 飛来する矢を受け止めながら、ポーは説明を始めた。もう間もなく本体と、主であるフィアフィアスーが到着するため、落ち着いて安全を確保して欲しいと。彼はあえてコミカルに伝えた。


<いわゆる、ここは俺に任せて先に行けっていうヤツだよ( ´∀`)bグッ!>


 もっとも初めての実践であるため、ポー自身は若干の不安を覚えるのだったが、幸いにも暴れん坊であるスー家の娘が上空に到達した。


 ◆


≪間に合ったみたい≫

「ダイジョブ、あるする。すぐ終わる、する」

≪ここまで来たら僕にやらせてよ≫

「ムー……分かる、した」


 戦闘区域上空に辿り着いた時、でっかいモンスはもう悶え苦しむだけの状態だった。サテライトとマインミッソーが上手いことやったみたい。

 じゃ、ここは一気に片を付けようか。


≪スマートボム──投下!≫


 誘導型投下爆弾的な僕を分離して、目標を沈黙させた。初めての実戦だったからバタバタしちゃったけど……ミサイルと爆弾は一応考えてた動きができたと思う。これでフーちゃんにくっ付いてるだけの存在じゃなくなったね。飛ぶことも可能になったし本体にある程度残して色んな所に分散しようかなあ?

 見聞を広めるってヤツ。知らないことだらけだしね。


「救援に感謝する」

「ダイジョブ、ない。ケガ、ある。私、回復ない、する。間に合う、ないした」

「それでも命があった。礼については街に戻ってからにしてくれないか」

「ンー? 礼、不要。ポーちゃん、いる、あるする?」


 ボロボロの戦士と話してたフーちゃんから、いるものはあるかと聞かれたけど……特にないよなあ?

 魔石的なのがあったら、見てみたいくらいかなーと思って伝えた。


「分かった。カルゥ、頼む」

「ああ、スライムさんよ、今から解体するから見ていきな」

≪ありがとうございます≫

「傷が少ないから高く買い取りしてもらえそうだぜ? 本当に要らないのかい?」

≪この子は衣食住を保証されてますし、僕はマナがあれば問題ない。というわけで皆さんが有効利用してくださいな≫

「助けてもらった上に素材までもらうのは心苦しいが有難いよ──っと、これが魔石だ」


 デケェな、と言いながら見せてくれた魔石は、魔獣の心臓のようなものだそうで。コレを壊すことで活動停止するんだってさ。でも素材の中では価値が高いものらしく、傷をつけないよう細心の注意が必要とのこと。


 美味しそうな匂いがしているじゃあないか!

 今更ちょうだいとも言えない。後日になるかと思うけど探して食べよう。今日はこのパーティを連れ帰るほうが良さそうだし。前衛のセビンさんが怪我だらけで本調子じゃないもんね。


 その旨を伝えたところ、自己紹介をしつつ感謝の言葉をもらった。

 戦士のセビンさんがリーダーで、魔術士のマイラさんがサブリーダー。狩人のカルゥさんと、士のドゥグさんの四人パーティ。


 具士ってなんだろうって思ったら、効率的にアイテムを使う専門職があるようですな。アイテムを作ったりもするみたい。錬金術士とはまた違う職業ってことだけど魔法要素の有無かな?


 色々話して。

 仲良くなって。

 だからガシッと捕まえても大丈夫(謎理論)


≪飛んで帰りまーす≫

「やめてやめてやめてええええキャアアアアアアむぎゅっ」

「これはいいな、空の世界か。絶景じゃないか!」

「セビン、お前ははしゃぐんじゃねえ」

「大人しくしてろ!」


 マイラさんはフーちゃんにギュムってされた。セビンさんはふたりの言う通り大人しくしていてください。でもこの世界では空の旅なんてできる人は少ないだろうし、高いところが平気な人は、浮かれても仕方がないのかな。


 高いのも速いのも苦手っぽいギュムされ女子に悪いから“アクロバティックな空の旅をすることはない”と、フーちゃんを信じてるけど……それはそれで商売ができそうだなあ。

 娯楽じゃなくても地形を無視できるっていうのは、目的地への到達時間が激減するし需要はあるはず。


 世界に散らばった時にお金を稼ぐ、一つの手段として考えてもいいね。僕だけで人を運べるかは、試さないと分かんないんだけどさ。


≪当機はまもなく王都へ到着いたします。着陸の際は、危険ですので席からお立ちにならないよう、お願いいたしまーす≫


 せめて僕が足場になれば良かったかな? フーちゃんエアラインはそのまま飛ぶから下が丸見えだし……今更言っても遅いッスネ。


≪とーちゃーく。お疲れさまでした≫

「ありがとう。君たちは命の恩人だ」

「気にする、ない」

≪コッチにも色々と発見があったし、今回の出会いは無駄じゃないよ≫


 フーちゃんにキャリーされるだけの人生じゃなくなったし、美味しそうな魔石とか商売とかもね。

 そんな訳で王都入り口前でサヨナラする。

 もう会うこともないと思う。


 フーちゃんは生きてる時間が違い過ぎるうえに、立場も違うからねえ。僕も彼女にくっ付いて行動するので冒険者と冒険に出ることはないかな。

 でも出会いってのは一期一会的なものでも大切なんだなー、って僕は思った。魔法も見ることができたみたいだしさ。


 もっとも……フーちゃんの例のアレが、男子のナニを殴打するようなことになる人とは出会いたくないけど。

 メンドクサイからね!


 とか考えてるうちに王様んちへ帰還。いまだにこの世界の街を堪能できていない。AWACS(エーワックス)も外を探索するだけで、街には入らないしね。

次回≪MISSION:14 覚悟≫に、ヘッドオン!


戦士 剣士のケビンにしようと思ってたけど、せんしかなー?で、セビン

魔術士 まほうしだからマイラ 

狩人 かりうどなのでカルゥ

具士 どうぐ使うからドゥグ

つまりなにが言いたいかというと……もう出ない人たち。名前つけないと話が作り辛かったんでございますです


※キャリー

 チーム戦なんかのゲームで味方の強い人に引っ張ってもらう的な事

 「キャリーされるだけの人生じゃなくなった」のは戦力として機能するよーということ

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