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コロロの森のフィアフィアスー ~子エルフちゃんは容赦なし~  作者: ヒコマキ
第1章 不老と不死の怪物たち

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MISSION:12 黄金の翼

 1週間かけて魔力を練ることに成功した僕は、フーちゃんと練兵場へ。構築した術式を体内に設置して飛行準備に入る。

 メチャクチャ重ねた。


 トランプ重ねるみたいな感じ、って言えば分かりやすいかな。端っこをひっくり返すとペラペラーって、全部ひっくり返る感じに並べたものを何重にもした感じ。

 縦にも横にも重ねてあるからハイパワーのはず。


 僕を半分使ってラプターを形成している。あまりにも小さいと風の影響を受けるだろうから、ラジコン飛行機くらいのサイズにしてある。

 全長1.5メートル、全幅1メートルくらいのキンピカラプター。


 成金ジェット戦闘機……。


 高速で移動するんだから、強固な密着をしなくてはいけない。だからキンピカ状態は目立つけど仕方がないんだ。お下品でも仕方ないンダッ。ナンテコッタ。

 一応強度を増す術式を組み込んだ僕で、全身をコーティングしている。

 パチパチ拍手する、フーちゃんの応援を受けながら魔力を込めた。

 と、いうことで、いざ!


≪イグニッション!!≫


 爆散した。


「ビックリ、した、ある……」

≪ごめん、フーちゃん。そして魔力もちょうだい。僕が減っちゃった≫


 何事かと集まってくる兵士に実験が失敗したと謝りながら、エンジンだけを形成して地面に固定する僕。


 と言ってもジェットエンジンみたいな形じゃなく、デフォルメされたバットのグリップエンドがない感じの形。太い円柱が噴射口に向かって細く仕上げてある。仕組み的には、ライトガスガンが近いだろうか。


 というわけで機体の吸気口(エアインテーク)は単純に冷却用。魔法で風を送るので。


 太いところで空気を圧縮して加熱、膨張したものが細い管から勢いよくバビーって出る感じになってるんだけど、重ね過ぎたらしく弾け飛んでしまった。

 とりあえず重ねる量を半分にして試そう。


≪まわせー!!≫


 破裂した。


「ポーちゃん、ポンコツ、ある」

≪加減がムツカシネー≫


 縦横の積層構造だとパワーがありすぎるのかなあ? 縦だけの積層にして試してみようとしたら、AWACS(エーワックス)から飛行可能なレシピが送られてきた。

 あっちの僕に負けてしまったよ。

 クソゥ、場所に縛られない分、早めに試したんだな? でもありがとう。


≪じゃ、本番いきまーす≫

「ガンバレー、するっ!」


 あ、下方に噴射したら滑走路不要だね。VTOLラプターがいいや。


≪ジアッロ1、テイクオフ≫


 僕は大空に羽ばたいた。


≪やった、飛べた! これが地球力だよフーちゃん!!≫

「抱っこ、するある……ぶー」

≪イヤでーす≫

「魔獣退治、する。このまま行くする」

≪ジアッロ1 了解≫


 ポーちゃんなのに! とかブツクサ文句を言うフーちゃんに、出掛けることを伝えなくていいのか聞いたところ、問題ないと返ってきた。


 フーちゃんの大雑把な生き様を見たし……一応王様には伝えておくべきかな。向こうの僕に伝言を頼むと、たまには交代してくれと返事が来た。

 そうだね。あまり会うことのない、親戚のおじさんくらいの感じにはなってしまったけど、緊張はするもんなあ。


 なお、カテゴリーオーバーを検知する機関に、僕も1部隊在籍している。僕がカテゴリーオーバー枠なので僕を除外するためだ。「それは僕です」って言う簡単なお仕事をする、カナシイ部隊。


≪ところでフーちゃんは魔物のいる場所とか分かるの?≫

「飛ぶ、してる、見るしてる、いる」

≪つまりたまたま見つかるということかあ。こちらジアッロ1。AWACS、索敵を頼む。オーバー≫

<了解。索敵範囲を広げる。当機は王都の西北西約1kmの上空を飛行中。合流されたし。アウト>

≪だってさ、フーちゃん。アッチの方に僕がいるから合流しよう≫


 フーちゃんとはメッセージウィンドウの僕で会話をし、抱っこ用の僕が触手を伸ばして方角を指示。こんな風に思考しているのは、ラプターになったジアッロ1である僕。

 マルチタスクの達人になったなー。

 ところで……レーダーなんてないのに、アッチの僕はどうやって索敵するんだろうか? アッチはアッチで、上手いこと考えてくれてるんだろうけど。


「ポーちゃんいる、した!」

≪どお? モンスいた?≫


 草原を抜けた先の森上空で合流し、索敵の結果を聞いてみたけど、その質問には否が返ってきた。まだ索敵中だそうで。どんなふうにやってるのか教えてもらうと、虫サイズの僕をソノブイみたいに空から投下して分散させる人海戦術でした。まあ、空飛べるようになったし小型偵察機的に動けばいいのか。サテライトシステムと名付けよう。


 上空から見た景色を地図にして、マス目状に区切った戦術マップをアップしてくれた。モンスを見つけたら、これですぐに場所が分かるね。


≪いないね。この辺りだと王都に近いから駆除済みってことかなあ≫

「冒険者、仕事する、した」


 僕も実践を経験したいんだけどなー。敵がいないんじゃ仕方ないね。もっと離れた場所を探すしかない。幸いにも僕たちはもう空を飛べるので、行動範囲はかなり広くなるし平気だ。


≪さらに北方面へ行ってみようか≫

「分かる、した」

≪アレ? そういえばアッチの方向が北で合ってる?≫

「合う、する」

≪なんで分かるんだろう≫

『そういえばオラ、教えてないべ。相変わらずポーちゃんは不思議なんだべなあ』


 なんか感じるんだよね。北。


≪なんかあるのかな? 北に≫

「な、ない、する」

≪?≫


 焦るフーちゃん。


「せ、世界樹、あっち、ある、ない。世界樹全然、ない、ある」

≪そっかー≫


 世界樹があるらしい。

 そして行先は西に変更された。フーちゃんによると、北より西のほうがモンス居そうなんだってー。


「うん、北、ない」


 世界樹は北にある。

 でもエルフの極秘情報っぽいので、知らんぷりしておこう。あるないとか、ないあるとか、フーちゃん焦りすぎて早口でアワアワしてたしね。


 かわよ。


 子供って時々わけ分かんなくなって、変な言い訳とかするよねえ。塾さぼって公園に行ってない! とか言ってお尻にダメ喰らったことがあるー。お母さんの与ダメは、わりかし高かった……。


<AWACSより各機。X28.Y18に敵影を捕捉。大型の獣1体が南東に移動中。時速はおよそ30キロで走行中。なんだろう? パンダの2倍くらいの大きさ。熊? 僕たちにはモンスなのか野獣なのかは分からないね。見たことないし>


 そういえば見たことのあるモンスターって、僕だけだよなあ。異世界に来たのに確認できているモンスターは、スライムである自分だけとかサミシイ!

 ちなみに敵のいる場所は、航空写生(?)した地図をマス目状に区切ってXY軸に番号を振った、簡単なものに示されてるでーす。


≪さて、僕にやらせてくれるよね? フーちゃんにくっ付いてるだけの存在には、なりたくないからさ≫

「ムム……分かる、した」

≪抱っこ用の僕塊(ぼっかい)も戦闘準備! これよりジアッロ2を任命する≫

「ええー……抱っこない、する?」

≪する。行ってくるね。ジアッロ隊 出撃≫


 降り注ぐ陽の光を黄金の翼が照り返す。凄く目立って、隠密行動には全く向いていない。ラプターなのに派手仕様。


 僕のはステルスならぬ、ステラヌ戦闘機です。


<人が隠れてた! 襲われてるから急げ!>

≪分かった! フーちゃん!≫

『急ぐべ!』

<剣士が時間を稼ごうとしてる? 攻撃より防御主体だ。後衛は距離を取ろうとしてる……ダメだ、モンスの攻撃力が高い! 剣士が弾き飛ばされた。やばいやばいやばいっ!>


 ふざけている場合ではなくなった僕たちは、速度を上げて目標地点まで急ぐ。アフターバーナーを吹かして、先行するミサイル役の僕を4体射出。

 だけど──


<マズイ……やられた! 剣士が起き上がれない。ふたりが弓で攻撃し始めてるけど効いてなさそう。もう一人はヒーラーとかじゃないの!? なにしてんの??? コッチの僕は虫サイズだし攻撃力なんて、ほとんどないぞ!>


 あと数分くらいで視認可能な距離に、たどり着けそうだけど……間に合わないか?


<目を狙ってみる!>≪眼球狙ってみてくれ!≫


 同時に同じ回答へと辿り着く。増えることができたら、なんとかなるかもしれないけど……アフターバーナーを吹かすと、残機が減ることが発覚した。

 僕は焦る気持ちを抑えられないまま、覚悟を決める間もなく実戦を経験することになる。

次回≪MISSION:13 命の時間≫に、ヘッドオン!

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