MISSION:108 魂の数
「ハハハハッ、笑える!」
「まさか子供が来るとか思わなかった」
「言えてるぅ。子供に僕たちの基地を盗まれるとはね」
「しかも殺すとかウケるじゃん」
僕らと対峙した銀コケシ。スッゴイ笑ってる。
でも表情が変わることはなくて、口だけパクパクしてるから若干怖い。魚の獣人的な存在なんだろうか?
だとしたら水中戦とか、できそうなんだけどね。海中に攻めてこなかったのには、なにかしら理由でもあるのかもしれないな。
なんて思ってたらワワンパァが煽り返した。
「ハンッ、そんな子供に出し抜かれちょるんよ」
「脅威度をちょっとだけ上方修正してあげようじゃん?」
「コイツらッ」
「パァちゃん、落ち着くであります」
ワワンパァ……煽っといて煽り耐性低いよォ。
喋ってる間にちゃんと相手を観察するべきかと思いますよ。だけどそんなつもりはないようで、フーちゃんは魔力を高め、ルァッコルォはバフを掛け始めた。
「了解。さっそく試してみるか。マテリアル・ロード、セットアップ」
コケシも戦闘準備を始めたみたいで、なにかをセッティン……ッ!?
ザワッてしたっ!
≪僕になにした!?≫
「ポーちゃん?」
「グゲゥッ」
「ムーッ?」
「苦しみ始めましたな?」
胸の辺りから崩壊していく銀コケシ2。
「ありゃあ? このスライム、同タイプなのか」
うわーキモイとか銀コケシ1に言われる僕。ザワッとした感じは消えたけど……いつの間にか僕に細工をしていたってことだ。
切られた時だろうね。
≪攻撃を受けると、なにかされるみたい!≫
「安心してよ。キミにはもうなにもしない」
続く言葉は「魂がウジャウジャあってキモすぎだし」というものだった。
つまり、僕の魂を奪われて使われたということ。
コイツら、ヤバす──
「成り御雷!」
──ぎる!
って思った時にはルァッコルォが電を纏って、銀コケシを細切れにした。
「あああっ! ルーちゃん、ズルいしたっっ!!」
「カッコ良え!」≪スゴイ! 紫電の乱舞っ!≫
「えっへん! さすがそれがしといったところであります。まあそれは置いておきますが……」
ルァッコルォ的には、相当ヤバイと感じたらしくて、速攻で仕留めたそうだ。
うん、僕もそれは思った。
≪いつ僕の魂が取られたのかよく分からない≫
「想像、可能する」
みんなの意見も僕と同じで、最初のミサイルを切られたときだろうって判断してる。でも条件が簡単すぎるんだよね。
だからこそ、ルァッコルォが必殺技出したんだし。
≪僕だけでやったほうが、いい気がするんだけど?≫
「それ、許すない」
えー、だって僕なら魂とられてもザワってしただけだし。
コケシも僕の魂を使ったら身体が崩壊するみたいだし。というか、体内に侵入してた僕が暴走したのかも。
「ウチぁ完全に足手まといじゃ……」
「接近戦、する、ない、ダイジョブ」
「そうなるとそれがしの攻撃が、物足りないことになりますなあ」
≪アチラを立てればコチラが立たずってヤツだね≫
そもそもワワンパァは戦闘職じゃないし。ガトリングガンで属性弾使ってサポートしてくれてるから、足手まといなんかじゃないよ。
つまり……。
前衛は切られても関係ない僕と、切られない動きができるビリビリルァッコルォ。
後衛は高火力のフーちゃんと、サポートのワワンパァってことになるか。
「それ、良いこと」
≪気を付けてよ? ホントに≫
「じゃね。コイツらって、ポーちゃんみたいな存在なのかもしれんし」
「仲間が死んでも気にしてなかったですからなあ」
≪そうそう! 全部同じ思考してるか、同期してる可能性は高いよ≫
「うん。残機いっぱい、あるする、銀コケシ、可能性高いする」
コケシ1の状況をコケシ2が理解してる風だったもんね。しかもダンジョンで生産してるから、クローンは確定だしなあ。
残ってる奴らにも、共有されてると思って間違いないでしょ。
終わってみれば圧倒したといっていいけど、情報はしっかり取られちゃってるだろうね。ただ、僕の魂の力を使うのがマズイって思ってそうだから、拡散粒子のほうは使えると思う。
「ではこのダンジョンを奪いに行きますか」
「まだおるかもしれんけぇ、気ぃ付けんとね」
「ンッ! ポーちゃん、索敵よろしくするー」
≪オッケー。まずは様子を探ってくるよ≫
注意しながらコアルームまで進もう。
銀コケシの接近戦はルァッコルォのバフ2段目、纏い以上で神威成り以下って感じに見えた。
それに加えて不可視の術。魔力は感じなかったから隠蔽してるのか、そういう能力なのかは謎だけど、魂を奪う攻撃もある。
ゴエモンやネーネさんからは聞いてないから、遠距離攻撃はなしかショボイんだろうね。
ラジコンサイズで囲って見せておけば、コケシは粒子サイズに気付かない可能性があるから、小型機で探索しようってことでAWACSに頼む。
もし敵が残ってたらコッソリ始末しておいてもらおう。どう考えても僕以外はヤバイと思うし。
<らじゃ。サイズ調整してサテライト1番から30番までを投下>
≪ここの警戒も僕がやるから、みんなは休んでてー≫
AWACS内にあるオヤツを渡して、のんびりしててもらう。
ここの空中要塞ダンジョンも、同じ作りみたいだからすぐ終わると思うよ。動いてるコケシの残機次第だけど。
<ここにはもういないみたいだね。相変わらずのコケシ生産工場だったよ。製造中のは13で、卵状態が8個に肉団子状態のが5個>
「つまり、しばらく前に出たのが5匹で、最近8匹出た言うことなんか」
「そうでしょうな」
「想像、多いする、ね」
≪ねー。結構な数が活動してるのかも。厄介だねえ≫
魔石で動いてる魔物とは違うから、サーチも難しい。どういう方法で僕らを見付けたのか、調べてみないと。
ということで、みんなと一緒にコアルームへ直行した。
その間にサテライトたちが、ダンジョンコアをチェックしてたんだけど、どうやら浮遊石の場所が分かるみたいだ。
ワワンパァダンジョンの場所にも印があった。
「ホンマ、厄介じゃー」
≪さらにこのダンジョンコア、僕らが奪ったコアよりハイパワーだよ≫
「ズルいする」「じゃあ奪うのであります!」
「んんー、ちょぉ待ってぇや……んんん」
ダンジョンコアを見ながら、ワワンパァのCPUがなにやら計算中。ファンが唸りを上げるくらいの感じで、ウンウン考えてるみたい。彼女から導き出される回答とは、いったいなにか。
ピコーン! な感じで顔を上げるワワンパァ。
「パンツァーポーのコアに合体すりゃあ良え!」
「それがし、もらえないでありますか?」
「探知されるけえ危ないわ。ここのダンジョンマスターにゃあ、ならんほうが良えよ」
「ポーちゃん、特殊?」
≪だねえ。僕はもういろんな場所にいるし、コア壊されても全滅しないから≫
まあ……コケシも全滅しないんだろうけど。同タイプって言ってたし、魂を分割っていうか、そんな扱いができる存在というか。他のダンジョンマスターも分身できるからって、魂の分割が可能かどうかなんて分からない。
試して失敗したら死んじゃうもんね。そもそもダンジョンコアを破壊するのが、もったいないし。
≪ワワンパァダンジョンの浮遊石も、パンツァーポーのに合体させよう≫
「じゃね」
「ンッ。それ、安全なるする」
「ここのコアの制御は、一旦奪うのでありますか?」
あー、どうしよ?
制御を奪わないと銀コケシの在庫処分が大変かなあ。
「それがしもコアの操作をしてみたかったですー」
「銀コケシ、殲滅後、できるする、かも~?」
「かもじゃねえ~」
暢気だね~。でも僕がルァッコルォの契約精霊にならないと、永遠のボッチになっちゃうのでは。普通のダンマス分身じゃ、リモートの距離制限があるし。
複数の人と契約って可能なのかなあ? ワワンパァの精霊は頑張ってるみたいだけど。
≪とりあえずコア奪って、コケシの在庫処分した後にパンツァーポーに吸収させようと思う≫
「分かるしたー」
サクサク処分してダンジョンコアを取り除こうとしたら、ワワンパァから待ったが掛かった。
「ダンジョンからコア取ったら、崩壊していくはずじゃけえ先に出とかんと」
≪そうなんだ。じゃあみんなはパンツァーポーのほうに待機しててよ≫
僕はダンジョンコアを壊れないように守りつつ、脱出だね。死んでも平気なスラボディ、なんて便利なんだ。
みんなからの連絡を待って、ダンジョンからコアを切り離す。コレは物理的なものじゃなくて、システム的なものだよ。
マザーボードをモギッてするんじゃなくて、アンインストールする感じ。
まあ最終的には物理的にモギッなんだけど。
切り離す瞬間、ダミーコアいっぱい作ってからにすればよかったって思ったけど、スゴイ魔力がこのコアから感じられた。
浮遊石ってひょっとしたら、DPで魔力を溜めるのが正解なのかもしれない……。
どおりで人力じゃあ溜まらないはずだよ。
次回≪MISSION:109 光学迷彩≫に、ヘッドオン!




