MISSION:107 亡者
銀コケシが来てるんじゃないかというフーちゃん。
はいはい、欲しがりさんめェ。
とはいうものの、空からこのダンジョンを探知してるならその可能性は高い……のかなあ?
コケシ製造工場だったし、バレるのはまあ分かる。でも探知方法が分かんないね。僕がダンジョンコアを掌握してる以上、このダンジョンに異物はないからさ。
≪ネーネさんに報告してスルーでいいのでは≫
「えーっ!? 殺すするないぃ?」
「そうでありますよ! せっかくのチャンスッ」
「2人とも物騒じゃあ」
だって手を出すなって言われてるし。
しかも攻撃されても無傷だし。
僕らは放置しても特に問題ないような気もするので、一応ネーネさんには報告しておいた。
「攻撃、シツコイする。鬱陶しいあるする」
≪揺れもしないのに≫
周りに町があったりしたら人質的な危険はあるけど、現在地の周りには海しかない。
パンツァーポーを襲って来ないということは、海中での戦闘は避けたいと思ってるんじゃないかと考えられる。ゴエモンがコケシは剣士って言ってたし。
≪僕らが戦闘を仕掛けるとしても空中戦になるよ? ルァッコルォは足場がない状況になるかもだよ?≫
「……ほんなら仕掛けたほうが良えんかも?」
「ぶー、なにゆえですかあ」
ワワンパァが言うには、対コケシ戦での接近戦は神威成りが必要だって、ネーネさんが言っていたと。
だとしたら、相手も全力を出せない状況なのでは。ということらしい。
≪でもこの攻撃を繰り返す感じってさあ、もしかしてだけど僕らを誘ってるのかもって思った≫
さらに現在地の問題で、エルフの増援は1日半くらいは掛かりそうかなあ。エルフの戦士団は、まだ北大陸から出て来てないし。禊して急いで来て、しかも休憩なしで戦闘ということに。
そんなことを考えてたら、ワワンパァも同じことに気付いたみたいで聞いてきた。
「森の戦士たちぁ出発しちょるん?」
≪しちょらんのですよ、実は。まだ僕が足りてないというか。残機を送っておけば良かったかも≫
「増援遅い、私たちやるする、正解」
「正解ですな!」
ルァッコルォは隙を見てパンツァーポーの上に、敵を落としてしまえば足場になるって言ってる。だったら、とワワンパァが伝える作戦は、フーちゃんとワワンパァが遠距離攻撃で追って、拡散しておいた僕が塊になってドーン!する。ということになった。
……アレアレェ?
いつの間にか戦闘するということに。
≪ま、いいか。じゃあ空中要塞パンツァーポー、浮上します!≫
「攻撃が止みましたな」
「誘っちょったんじゃね」
「良い度胸する~」
みんなと相談して、作戦を考える。
まず初手はミサイルを切られて、やられたフリするっていうのがいいんじゃないかってことになったよ。サラサラーって拡散粒子爆雷になれば問題ないと思う。そうすれば対強敵用の、体内からボーン作戦も実行しやすいと伝えておいた。
ゴエモンとネーネさんから、銀コケシからの攻撃は喰らってはダメとのアドバイスをもらったので。念のためにチョットでも怪しかったら、僕が敵の体内から処理してしまうのがベストかな。
≪僕を巻き込んでの攻撃は、気にしなくていいってことで≫
「了解であります」
他の探索域から残機招集は間に合わないから、ここにいる僕らだけでやるしかない。そのまま邪人探ししてもらう。旅客機2機分はいるから問題はないでしょう。
小細工も合わせて色々と考えておくべきかなあ。
「そうは言うても、そろそろじゃろ」
「うん、明るい、なるした」
≪海上に出るよ!≫
さて、ホントに空中要塞として機能するのか、初フライトだからねえ。若干の不安はある……けど、パンツァーポーは離水した。
≪オッケ! ちゃんと飛べるみたいで良かった~≫
「遅いする」
フーちゃんはモニターを見ながらブーたれた。
それは仕方ないのです。
速度が普段の10分の1だからねえ。
「ま、少しぁ準備できるけえ良えよ」
「それがしはキャノン砲を置いていくか迷っております」
「ウチもー」
当たりそうにないって考えてるみたいだね。確かに神威成り級の速度に対応するなら、単発射撃じゃあ対処されそう。
「ガトリングガン作って良え? ルーちゃん用の」
≪いいよー≫
「お、ありがとうございます」
やっぱ連射系の方がいいよね。ワワンパァはデバフ効果も狙って、雷撃弾をチョイス。サクサク作って、ルァッコルォのバックパックを換装した。
「ム、見えるなるした!」
「景色に同化しちょったんか!」
「す、すごい機能ですなあ」
≪同型艦ってことは僕のも?≫
モニター越しに見えるのは、奪ったこのダンジョンと全く同じ形のクラゲ型ピラミッドだった。
つまりアレもダンジョンってことで、浮遊石を使ったものなんだろう。しかも周りから見えなくなる機能があるとは。
ダンジョンに、そういう追加オプションを付ける項目があるのかもしれないね。あとで調べてみよう。
同型艦を探知する機能もあるみたいだし……。
「儲かる未来じゃ」
「パァちゃんのにしますか?」
「ルーちゃん、ダンジョンマスターなるする、案、ありあるする」
「えぇ~、そうですかあ~?」
「ありじゃねえ」
まるでお金に目がくらんだ亡者のような幼女戦隊ですな。ヘーさんの時は、それでワワンパァがやられたというのに。
≪油断大敵、集中集中!≫
「「「おー!」」」
やっぱり誘ってたみたいで、相手の空中要塞の外壁が開いていくのが見えた。高度が同じくらいになると、敵要塞の中身が確認できる。僕のとことは違って、草原になってるみたいだ。
太陽光に照らされて鈍く光る場所へ、カメラをズームする。
「当たるした」
「ホンマじゃ」
「銀コケシでしたな」
≪2体かあ≫
相手の残機は分からないけど、やるんだったらここの2体は逃がさないほうがいいよね。僕らには探知できないんだから。いや……今のところ探知できる人はいないのか。
むむ? 誘ってるとは思ってたけど、まさか「こいこい」までされるとは思わなかったぞ。コレはアレか。ダンジョン同士だと攻撃しても無意味だから、ってことなのかもしれないな。
≪呼んでるみたいだし、出たら僕が攻撃してみるよ≫
「ン。やっつけるする」
「人体実験するような輩は逃すことはできませぬから」
「念のためにある程度のポーちゃんは、コアを守っちょいたほうが良え」
≪了解≫
せっかくアイツらから奪ったんだしね。
同じ高度に上がったので、進路を敵空中要塞に向ける。フーちゃんお馴染みの、軽ーい「行くするー」を聞きながら、僕らはエレベーターでパンツァーポーの上部ハッチから出撃。
予定通り僕が戦闘の火蓋を切る。切られて落ちる作戦というか。体内に侵入するために布石を打つのだ。
AWACSが大型徹甲弾を用意。
8TSAMで行っけー!
<FOX3!>
追撃するように全員で飛び立つ。
僕のミサイルが銀コケシにヒットする、そう思った瞬間。2体のコケシが剣を振って、ブレるような剣光が閃いた。
噂通りの剣技ってヤツだ。
「想定の範囲内であります」
「喰らえぇや!」
「問題なしする。冥き眠りの侯爵。果てなき安息の導」
付かず離れず、ピッタシの距離でみんなも攻撃開始。フーちゃんなんか殺意高めの即死攻撃してるよ。ワワンパァとルァッコルォは行動阻害を目的に、雷撃弾と凍結弾をばら撒いてる。
でも相手の剣はマジックブレイク付きのロングソード。
僕らの攻撃はほぼ無効化された。凍り始めた上で帯電してる地面を嫌ったようで、ジャンプして下がる銀コケシ。その隙に僕らは接近して空中要塞に着地する。
「殺すする、しに来た。死ぬする」
次回≪MISSION:108 魂の数≫に、ヘッドオン!




