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コロロの森のフィアフィアスー ~子エルフちゃんは容赦なし~  作者: ヒコマキ
第4章 大森林の暇人たち

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MISSION:101 スタンピード後

<FOX3!>

「すぷれっど・ぼるとォッ!」

<あ、キター!>

「来たか! 火力を集中してくれ」

<ラジャー>


 フレンドリーファイアはポーが防ぐ準備をしているため、遠慮なくワワンパァの口から放射される光の拡散弾が魔獣を貫く。


<ゴメン、遅れた>

「山の反対側の様子を見に行っとったんよ」


 軍務卿からの問題はあったかとの問いに、なしと答えるポー。続いて西からの部隊も、もう間もなく到着することを伝えた。


「うむ。であれば連合軍到着後、ワワンパァと共にここと南の村の中間点に向かってくれ」


 中間地点にある森の魔物はワワンパァに任せ、南の村に部隊を輸送せよと新たな任務が出された。ポーの任務は戦闘補助となる。

 連合軍が到着するまでの数分間。ワワンパァは魔物たちを蹂躙し、ポーは負傷者の回収や、フレンドリーファイアの防御を徹底することになった。


<僕らだけで来たほうが楽だった説……>

「そりゃあダメじゃろ。1つのパーティだけに依存するんは」

<むむぅ>


 確かに、と頷くポー。そういえば王様も、フーちゃん任せにしたくなさそうだったなー、などと思考を巡らせている間に西からの援軍が到着する。

 押されていた左翼はワワンパァの火力もあり、落ち着きを取り戻し始めていた。増援が展開されていく中、軍務卿の声が響く。


「今じゃ、反撃に出よ!」


 ポーとワワンパァは出撃の合図に合わせて南東の戦場に飛ぶ。20分程で到着した彼らは、指揮官の元へ。軍務卿の指令はポーの連絡網で伝わっているので、連合軍はすでに集合していた。


<乗ってください。今から南の村に輸送します>

「やっと思う存分パワー出せるわ」

<いいなー。僕、やっぱり運んでばっかになっちゃったよ>


 よろしくーと声をかけたポーが上空へ。安全圏へ到達したと判断したワワンパァ。


「3連じゃあ!」


 陽の光を存分に浴びて蓄積したパワーを集束。両手と口から光線として放出し、破壊を振りまく。明らかに過剰な攻撃力だったが、夜中にコソコソ出発し、見つからない大物を探す半日という時間が、ワワンパァの鬱憤を蓄積させていた。


 過剰になっても仕方がない。大人のようにガマン強くはない。

 とはいえ八つ当たりと同時に戦闘力のチェックもしているのは、彼女が真面目である証拠だ。


「弐式ぁ使いどころがないかもしれん……」


 ダンジョン入り口に客寄せのための置物にするか、ダンジョンの守りに使うという死蔵にするか。ワワンパァが出せる案としては、その2つだけだった。殲滅したあとの魔物を見て、彼女はションボリと項垂うなだれつつ、大型ドラゴンタイプの弐式を素材にしようと思うのだった。魔物の定めである。


 その頃のポーはというと、輸送を終えてサポートに回っていた。戦場に広く散り、索敵や負傷者の保護回収などと、便利に使われている。特に負傷者の回収のお陰で、ポーが参戦して以来、死者は出なくなっていた。


 そして夜明け。軍務卿からスタンピードの終息が宣言された。

 闇にまぎれてポーが魔物を暗殺したせいである。


「ポーちゃん……ガマンしんさいやぁ」

<ナイショ! ナイショ!>


 だって戦いたかったしー、とのこと。本隊や探索部隊とは違い、ダンジョンで働いていたポーたち。

 彼らとて少しくらいは暴れたかったのだから。


 なお全てが終わったあと、ポーは新たな部隊を立ち上げることになった。“僕は軍に入りません言う隊”である。ほぼリアルタイムで更新される戦術マップを、軍務卿が気に入ったゆえのスカウトだった。


 ◆


≪ズルイ!≫「ズルイするっ!」

「スタンピードでありますかあ」

「騙してゴメンじゃわ」


 くっそー、僕も僕に騙されてたよ。本隊で真実を知ってたのは、ワワンパァだけだった。ウソじゃなかったけど、中途半端な情報に踊らされてしまった。オイシイ匂いが衣装のお金だけじゃなかったとは。


≪弐式の戦闘、見たかったあ≫

「スタンピード、退治、したいするー」

「ですが弐式を素材にしちゃうのは、もったいないのではありませぬか?」

「残念じゃけど使い道がないんよねぇ……」

「弐式ってなんでしゅか?」

≪火力特化のドラゴン型ワワンパァです≫

「大きいし使いどころが難しいってことでありますな」


 ネーネさんも、あーなるほどーってなってた。経験があるっぽい。高火力の大型ってのは、ダンジョンの最後ら辺に配置するものということか。そうなるとほとんど出番がない。


 高いコストを払って出番なし。っていうカナシイ定めのガーディアン。しかも弐式はワワンパァだし、DPも増えないんだって。自分だから。


「無駄な出費じゃあ」


 ワワンパァのションボリ具合がいたたまれないヨ。あの時の話し合いは、ノリでやってた感がある。すごく楽しい時間ではあったけど、よくよく考えて行動していればナシっていう答えに辿り着いてたかもなあ。


「しかも無駄に凝った秘密の出撃口も作っちょるしね」

≪そうなの?≫

「ポーちゃんのアイデアでカッコイイの作ってしもうた」

≪ウッ、僕も悪乗りしちゃってたか。なんかゴメン≫

「ポーちゃん、アイデア、ワクワク多い」

「仕方ないですな!」


 みんながいる状態でも、作っちゃったんじゃないかなってさ。そこでなにやら思案顔だったネーネさんが一言。


「パァちゃんは本体とリンクしてるんでしゅか?」

「しちょりますよ?」

「本来ならこんな長距離はできましぇん」


 え!? ってなる僕ら。ネーネさんも都市くらいの範囲しか、リンクできないんだって。範囲外だからって行動不能になるわけじゃないそうだけど、あとで分身体から報告を受けるんだってさ。


 ダンジョンマスターの分身も、僕みたいにそれぞれが本人と同じ思考で行動するみたいだね。


「これはパァちゃんと契約してる、ポーちゃんの能力でしょーね」

「知らんかったわあ」

≪ねー。超便利だった僕≫


 そこで気付く僕。

 ワワンパァはワワンパァ同士で映像も音声もリンクしてるってことに。リモートじゃん? 僕ってリモート可能なんじゃん!


≪僕より僕を上手に使ってるじゃん、ワワンパァ! どうやってんの!?≫

「し、知らん! ウチにぁ分からんよ!? 最初っからそうなっちょるもん!」

≪ヌォォォ、いったいどうすればぁ≫


 使用方法が分かる分からないではなく、できるできないの呪いに掛かってるよ。


「己と向き合えばいつかは、でしゅかねえ? 魔法は本能。魔じゅちゅは知識でしゅ」

「ポーちゃんはかなり意味不明じゃけどね」

「ポーちゃん、不思議生物」

「ポーちゃんは謎の生命体ですからなあ」


 僕もよく分かんない。でも不可能じゃないって分かったなら、未来の僕の可能性に賭けよう。

 今の僕には分かんないし、できないので。

 ガンバレ、未来の僕。


 いくら魔法が本能で使えるものでも、知識がムダってわけじゃないってネーネさんも言ってる。発想の転換や閃きで使える可能性だってあるだろうし。

 チョーガンバレ、未来の僕。


 っていうか、そうなると僕はワワンパァと出会った頃から、契約精霊になってたみたいだね。ワワンパァを初めて王様のとこに連れて行った時には、もうすでにリモート状態だったはずだしさ。


「おー、確かにそうじゃわ。魔力登録した時、契約状態になったんかもしれんねえ」

「あり得ましゅね」


 出会う前の戦闘で、僕の欠片をダンジョンに取り込んでたかもだし。なんて便利なんだ、僕のスラボディ。


「長距離通信はダンジョンマスターん中でも、ウチだけの特権になっちょるねえ、ゥヒヒ」


 というか、ダンジョンマスターの分身には、最初から通信機能が搭載されてるんだよなあ。でも一般には流れてない技術。通信には魔物の鳥なんかを使ってるしね。王様と家臣のやり取りやギルドの連絡とか。本能を論理的に説明可能なダンマスがいたら、ブレイクスルーが起きそうだよね。


 ぜひ教えて欲しいデス!


 空間に映像やら音を乗せて飛ばす技術とか、スーパー変態技術じゃん。一般人にはどうにもなんないよ。

 スーパーチョーガンバレ、未来の僕っ。


 ワワンパァが理解するほうが早い気がするけど。


「しゃて、しょろしょろ私はおさしゅー会議に行きましゅ」


 僕らはどうする? ってさ。このまま世界樹のダンジョンで鍛えてもいいし、村に帰ってもいいみたい。

 会議には出なくていいんだって。というか、ネーネさんからは銀コケシに関わるなっていう、お達しが出てるからね。僕らの任務は報告した時点で、もう終わってるんだよなー。


 アベルガリアに帰還するって選択肢もある。

 世界樹のダンジョンを攻略もあり、だね。その場合は食料の確保は、ダンジョン内でやることになるんだけどさ。もうとっくに在庫は切れてるよ。


「世界樹ダンジョン攻略でありますな!」

「リオ、ところ、帰るする」

「ウチも南大陸に帰還」

≪僕も南大陸帰還に1票≫

「エエ!? なにゆえっ」


 収入がないからです。攻略してもダンジョンを奪えないんだよね。ただ魔物と戦うだけになっちゃうというか。フーちゃんも魔力の隠蔽修行に飽き飽きって感じだし。

次回≪MISSION:102 食べ物≫に、ヘッドオン!

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