八話 ギルドに強制加入です
八話 ギルドに強制加入です
エスパーダはかなりのスローペースで走っていた。アックスのプレイ状況を監視するためだ。
アックスは最初は乗り気ではなかったようだが、真面目にチュートリアルをこなしている。
モメることはないだろうと要は料理を作ることにした。黒星は中国料理しか教えてくれないので、それ以外は自主練みたいなものだ。味見はエスパーダにしてもらっていたので、今の事態を引き起こしているのだが。
もっと精進してエスパーダの体型コントロールまで出来るようになりたい。今は作れる物を作って、エスパーダに動いてもらうしかない。
料理を完成させて戻ってくると、エスパーダは走るのをやめて、アックスのスマホを覗き込んでいる。もうやめたのか。
「ギルドに入るの。そう。その、『エスパーダと愉快な下僕達』に」
ギルド名を聞いて、アックスは唖然としていた。
「イヤなの?」
エスパーダがアックスを睨んでる。
「そんなことはない」
「だったらやる」
「はい!」
アックスは慌てて捜査している。
エスパーダは加入を確認して満足そうに頷いてから、
「よし、これで終わり!」
と言った。
「え?」
要の一音にエスパーダの鋭い視線が返ってきた。
「今日は一日目だから。これから毎日走るから」
言い訳に聞こえるが、自分に言い聞かせているようにも聞こえる。
それよりも気になるのはアックスだ。要の視線に気付いたのか敵意を向けられる。
「人間、ゲームだろうとお前には負けん!」
アックスはスマホを掲げて、吠えた。
ムカついたが、ここは余裕を見せるべきだろう。エスパーダの彼氏としての余裕を。
「料理作ったんだけど食べてく?」
「食べる!」
食いついてきたのはエスパーダだった。ドヤって言ったので、要はなんだか恥ずかしくなった。