7/11
七話 これから走ります
七話 これから走ります
エスパーダはすぐにルームランナーに乗ることはせずに、室内履きを履いていた。
アックスはその様子を見守っている。
「他の家に配達に行かなくて良いのかい?」
要は純粋にそう思ったので聞いたが、アックスは不愉快そうな顔になる。
「分かっている」
要に向けて敵意を放つ一方、エスパーダには優しい視線を向けている。人間だから警戒しているだけではないと要の勘が告げていた。
「アックスには話があるから、帰られると困るのよね」
「え?」
嬉しそうだ。
「今、ゲームでギルドのメンバーを集めてるんだけど、アックスに入って欲しいの」
すぐにガッカリしていた。
「何? イヤなの?」
「そんなことは……」
エスパーダに詰められて、しぶしぶ異界大戦をダウンロードしていた。
「よし。私は走るから、アックスはチュートリアルをやること。良いわね?」
「はあ……」
「さっさとやる!」
「はいっ!」
アックスはスマホをいじり始めた。
エスパーダはそれを見届けてから、ようやくルームランナーに乗った。
「よし、痩せてやるわ」
気合い十分だった。