四話 彼とアックスが争っています
四話 彼とアックスが争っています
「どうも、エスパーダとおつきあいさせてもらっています宿守要です」
要は反射的に敵意を込めてしまった。それはアックスにも伝わったようで、剣を収め、好戦的に見上げてくる。
「アックス・アーチボルト。小人貴族アーチボルト家の長男だ」
「貴族の人が、配達?」
痛いところをつかれたのかアックスは顔を歪めている。
「社会勉強だ」
「アックスはイギリスの良いとこの出だからね。よく黒星とケンカしてたっけ」
「あいつは今何してる?」
「俺の料理の師匠になってくれてるよ」
「料理?」
「小人族の好みにあった味付けを教わっているんだ」
「あいつの料理は中国料理ばっかりだろう。貴族の口には合わない」
「エスパーダは食べてくれてます」
まだおいしいとは言ってはくれないが。
「だからルームランナー買ったのか」
これには要だけではなく、エスパーダも怒ったようだ。
「悪い?」
「いや、そんなことないが……」
エスパーダの攻撃は意外だったのか、しどろもどろになっていた。
「アックスはルームランナー運びに来たんでしょ。さっさと中に運んで」
「でも代引きだから金を受け取らないと……」
アックスはエスパーダには強く出られないようだ。何か弱みがあるのかもしれない。
「要が払うわ」
エスパーダは自信満々に言った。
「こいつが?」
アックスは訝しがっている。人間には払えないとでも思ってるのだろうか。要は引くに引けなくなった。
「払えますよ」
要はエスパーダのルームランナーの代金を払った。専用のアプリをダウンロードし、銀行口座と紐付けてからだったので時間がかかってしまったが。