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小人も三日坊主になるんです  作者: 古山 経常


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最終話 最終的に走るのをやめました

最終話 最終的に走るのをやめました



 翌日からエスパーダは朝方に走っていた。何日か続いたようだが、ある朝要が起きても彼女は眠っていた。多分頑張りすぎて疲れたのだろう。寝かせておいた。


 夜になって起きたエスパーダは電話をかけながら頭を下げていた。おそらく会社に無断欠勤を謝っているようだ。それだけで許してもらえる小人族の会社に要は羨望の眼差しを向けた。


 視線に気付いたエスパーダは要に言う。


「起こしてくれれば良かったのに」


「ごめん。疲れてんだろうと思って」


「確かに疲れてた」


「やっぱり朝走ってたから?」


「まあ、そうかな。それからアックスを鍛えるためにクエスト手伝ったりしてたから」


 こっちのほうが原因かもしれないと要は思った。


「無理はしないほうが良いよ」


「でも、要は痩せてる私のほうが好きでしょ?」


 要はエスパーダの問いに答えるため、そもそもの原因を思い返してみた。


 黒星に「太った」と言われたのも大きいだろう。エスパーダが激昂して、痩せる宣言をしたのだった。要がはっきりとダイエットなんて必要ないと言えなかったのも大きいだろう。エスパーダをダイエットに駆り立てたのは要にも原因があるのだ。


「俺はいつものエスパーダが良い。シャレにならないほど太らなければ、ダイエットはしなくて良いと思うよ」


「要に小人族の痩せた太ったが分かるの?」


 厳しいことを言う。


「分からないけど俺にだって好みがある。それはいつものエスパーダだから」


 なんかまた告白したみたいになって要はものすごく恥ずかしかった。


 言われたエスパーダの小さな目が徐々に潤んでいく。


「ずるい。言わなかったじゃん」


「ごめん。咄嗟に良い返しするのって苦手で」


「じゃあ、私痩せなくても良いの?」


 涙を拭って、要を見上げる。


「俺は良いけど、師匠が……」


「大丈夫。黒星には痩せたって言う。言い張る。だから口裏合わせてよ」


 嘘を強要された。これは断れない流れだ。要は観念した。


「分かった」


「絶対だよ」



 こうしてエスパーダのダイエットは終わり、エスパーダの提案で酒を飲もうということになった。ダイエット中は飲もうと言われたことがなかった。食べ物の融通が効かない分、調整しようとしてたのかもしれない。


 要はキッチンへ行き、缶チューハイを取ろうと冷蔵庫を開けた。


「あ」


 キンキンに冷えたエスパーダのフィギュアと対面した。




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