一話 私は宣言しました
一話 私は宣言しました
「やるわけねえだろ」
黒星の答えはこうだった。
要は料理を習っている時に淡い期待を込めてゲーム仲間にと誘ったが、あっさりと断られたのだ。
「そうですか」
「予想通りね。黒星にはそんなに期待してなかったし」
エスパーダはゲームをしながら、要の作った炒飯を口に運んでいる。ながら食いなので感想は要には言わなかった。
「行儀悪いぞ」
「要の味付けはまあまあよ。まずかったら、ながら食べなんか出来ないもん」
確かにエスパーダは要の料理を残さなくはなったが、一度もうまいとは言わなかった。言って欲しいが、うまいという言葉は無理矢理に言わせるものじゃない。もっと腕を上げなければ、要の女神であるエスパーダは微笑まないのだ。
「お前、運動してるか? 太ったように見えるが」
エスパーダの動きが止まった。その後スプーンとスマホを置いて、立ち上がる。
「私は太ってない……よね?」
黒星に怒鳴る途中で要に確認を取ってきた。自信を持って言えないようだ。
「小人族の太ってるか痩せているかの基準が分からないよ」
要は明確な答えを避けた。
するとエスパーダは要を睨み付けてくる。
「それって私の体型が変わったってことだよね」
その解釈は予想外で、要は言い返せなかった。
「よく分かった。私、ダイエットする!」
エスパーダは二人に向けて、力強く宣言した。