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平和戦争  作者: 轟 蒼
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新しい光

 もう何日目だろうか。何日も戦い続けているせいか体内時計が狂っている。未だ、敵兵はこちら側に突っ込んでくる。もうそろそろ勘弁してほしい。ほぼ無抵抗の人を打つのは簡単だが精神的にきつい。しかし撃たなければ一気に戦局が変わるためこちらも必死だ。弾が残り少ない、弾倉を交換しなければ。あちらこちらで投げ込まれた手榴弾が爆発する音が聞こえる。爆発音や兵士の声が聞こえる中、かすかに俺の名前を呼ぶ声がする。あたりを見るとルーブルが手招きをしている。「ルーブルどうした?」「いや、こんな時に聞くことでもないんだけどさ、ジョンは目標達成したらどんな人と変わりたいの?」そんなことすっかり忘れていた。俺たちの国では、戦場で兵士を150人殺すことが出来れば自分が望む生活を送っている誰かと生活を交換することが出来る権利が与えられる。そして、その権利を使えば二度と自国の戦場に戻らなくてもいい。そんな夢みたいな権利が存在するのだ。いわば二度目の人生を歩むことが出来る。交換された側からしてみれば突然兵士として戦場に送り込まれるわけだからたまったもんじゃないだろう。だが、多くの兵士はその権利を得る前に死んでしまう。それはそうだ150人を殺すなんてそう簡単なことじゃない。俺はたまたま運よくその権利を掴めるところまで来ている。「そうだな、戦争のない平和な国に住んでいる人と変わってもらおうかな」「いいな、戦争のない平和な国か、もし交換出来たら僕に連絡をしてね、そして一緒に飯を食べよう」「わかったよ、それまでお互い死なないようにしないとな」「うん」正直今の今までそんなこと考えていなかった。いや、考えることが出来るほどの余裕がなかった。腕につけられているデジタルカウンターをチェックすると、120と表示されていた。「あと、30人か」そう呟きながら再び持ち場に戻りタイミングを見計らって銃を構えた。銃を構えながらふと『ここの戦場はしんどいが、数を増やすにはもってこいの場所だな。』そう心の中で呟きながら敵兵を一人また一人と確実に仕留める。あれから何時間経過しただろうか、急に敵兵が来なくなった。前衛部隊が敵地を確認しに行くと、ピストルが2回なった。みんなの顔が自然と笑顔になった。敵兵が全滅していたのだ。俺たちは長い長い戦いに勝ったのだ。しかし、まだ国が勝ったわけではない。俺たちはまた戦場に向かわなくてはならない、だが今は勝利というものを嚙み締めよう。本部から撤収命令が下されて、俺たちは久々の内地で体を休めることが出来る。みんなの足取りもいつもより軽く見える。ルーブルの姿も見えた。腕を見ると160と表示されていた。戻ったら最後のご飯をルーブルと一緒に食べよう。


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